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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

23.08.31

そごう・西武の労働組合によるストライキ
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
引き続きコメンテーターは、情報社会学がご専門の城西大学 助教、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!


「そごう・西武の労働組合によるストライキ」

吉田:今週月曜日、そごう・西武の労働組合は会社側に対して、今日、8月31日にストライキを行うと通知しました。会社側は、今日、アメリカの投資ファンドに対して、そごう・西武の売却を正式に決議したい意向があり、労働組合としては、これに反対の意志を示すためのアクションでした。ところが会社側は売却方針を変えないまま、昨日、ストの対象となっていた「西武池袋店」の臨時閉館を決定。ストライキは決行されるものの、その目的が失われ、今後どんな展開が予想されるのか?塚越さんに解説してもらいます。


ユージ:『そごう・西武の労働組合が「ストライキ」を行う意向』ということが、明らかになったのは先月下旬のことでした。その際、このコーナーでダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭さんに解説いただきました。今回は「いよいよストライキ決行当日」ということで、視点を変えた質問をさせていただきたいと思います。そもそも、なぜ「そごう・西武」の労働組合は、会社の売却話に反対してストライキを起こそうとしているのでしょうか?


塚越さん:まず、現在の「そごう・西武」は、「セブン&アイ・ホールディングス」のグループ企業になっています。親会社のセブン&アイは、赤字が続いている、そごう・西武をアメリカの投資ファンド(フォートレス)に売却しようと考えています。そして、家電量販店大手のヨドバシホールディングスをパートナーに迎え入れて、そごう・西武にヨドバシを出店させ、経営を立て直す方針です。これに対して、そごう・西武の労働組合側は、百貨店の売り場面積が減れば従業員も減る、つまり雇用が守られない事などを懸念して反発して、調整が難航していた状態です。


吉田:既にストの対象となっている「西武池袋店」の臨時閉館は発表されていますが、もしも閉館しない状態で百貨店の労働組合がストライキが決行されると、お店はどうなっていたのでしょうか?


塚越さん:池袋店の従業員900人ほどが対象で、始業時間から終日まで、つまり一日中ストを行うということです。ストが起きたとしても、例えば取引先のブランドの売り場従業員は、百貨店の雇用者ではないので普通に働けます。また、本部の社員や他店舗からの応援があれば営業はできるかもしれないです。とはいえ、混乱は避けられないので、店舗営業を行うかどうかは経営側の判断になると、今回は「臨時閉館」という対応を選んだということになります。


ユージ:労働組合としては、お店が臨時閉館されてしまい、ストの意味合いが薄れてしまったことになりますか?


塚越さん:ストライキに意味はあったと思います。経営陣は、売却手続き完了後も労組と今後に向けた協議を続ける考えを示していますが、早期売却の方針は譲らないという姿勢を示したことになります。同じく労働組合によれば、基本的には取引先やお客に迷惑がかからないようにしたいですが、休業なのか営業するのか、いずれにせよ最後まで経営側と交渉したいとのことです。スト回避の条件の「親会社のセブン&アイが売却決議をしないこと」「簡単に言えば従業員の雇用が守られること」は、今後の交渉次第ということになります。ただし、売却に慎重だった、そごう・西武の前社長が解任されたり、セブン&アイ側に立つと見られる人を新たに取締役にするなど、セブン&アイは売却路線なので、この対立はかなり根深く、解消は難しいとみられています。


吉田:臨時休館されるものの、ストライキは実行される見込みということで、今後、社員の皆さんはどうなってしまうのでしょう?例えば「懲罰人事」が行われる可能性はありますか?


塚越さん:以前も神庭さんがお伝えした通り、ストライキは21世紀になって減って、日本ではほとんどみられなくなりましたが、基本的にストは憲法28条で認められた労働者の権利です。労働者は経営側より立場が弱いので、「団体行動権」という名前でストの権利が認められています。いくつかの要件、例えば物を壊すような暴力的なストではないといったもので、正当性のあるストライキである場合、参加した従業員が違法行為や規則違反に問われることはなく、逆にストに参加したという理由で解雇すると、会社側が違法となります。特に、この組合の規約では、ストの権利を確立するには組合人の過半数の賛成が必要です。7月に行った投票では、組合人の93.9%がストに賛成ということで、組合としてはストに積極的です。


ユージ:今後、労働組合側は会社側とどのような交渉を行うことになるのでしょうか?


塚越さん:雇用維持などに関して、団体交渉と協議が続くと思われます。ただ、大規模なストライキは近年では稀で、ここまで報道もされているので、経営側としてもブランドイメージの問題もあると思います。日本ではストライキが久しく行われていないこともあり、お客に迷惑になるというイメージを持つ人もいるかもしれませんが、労働者の権利は回り回って働く多くの労働者に関係するものですし、ストが注目されれば、他の業界にも波及するかもしれないです。日本は労働者が減ってきています。労働者が労働のことをもっと考える時代になってきたと思うので、今回のストに関しては貴重な手段になると思います。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。



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