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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

23.08.14

中国、日本への団体旅行を解禁!
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


「中国、日本への団体旅行を解禁!」

吉田:中国政府は10日、新型コロナウイルス流行を受けて停止していた日本への団体旅行をおよそ3年半ぶりに解禁したと発表しました。そこで今朝は、気になる日本経済への影響や課題について神庭さんに解説していただきます。まずは、その影響について、教えてください。


神庭さん:まずは、3つのポイントに分けて解説します。まず1つ目は、インバウンドへの追い風です。発表を受けて、中国人観光客増への期待からデパートや鉄道、航空、ホテルなど、観光・インバウンド関連の株が軒並み上昇しています。日本を訪れる外国人客全体ではコロナ前の2019年との比較で7割くらいまで集客が戻ってきているのですが、中国はコロナに関する規制もあって低調でした。コロナ前は日本を訪れる外国人の実に3割、959万人を中国人客が占めていたので、そのうちの何割か戻ってくれば、観光関連の産業に与える影響は非常に大きいと思います。


ユージ:中国からの観光客はどれくらい増えそうですか?


神庭さん:みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社 上席主任エコノミスト 坂中弥生さんは、今年に日本を訪れる中国人観光客が198万人ほど上振れすると試算しています。団体旅行の解禁がなければ250万人ほどと見られていたので、一気に450万人弱にまで膨れ上がる見通しです。中国では、9月末から10月上旬にかけて大型連休があるので、そこで多くの観光客がなだれ込んでくるということになります。「中国の人達が団体旅行から個人旅行にシフトしているので、団体を解禁しても期待しているほど増えないのではないか?」という声や、「通販などでも多様な日本製品が買えるので、わざわざ日本に来て爆買いするの?」といった声があるのですが、そうだとしてもゼロだったところに上積みされるのは確かです。団体旅行が解禁になることで、つられて個人旅行が増えることも期待できるかなと思います。


吉田:中国の団体旅行解禁、2つ目のポイントは何でしょうか?


神庭さん:2つ目のポイントは、「オーバーツーリズム」です。「観光公害」という言い方をすることもあるのですが、観光客が大幅に増えることで、マナー違反やゴミ、騒音、交通網の混雑や宿泊費、家賃の高騰といった、周辺住民や自国民にとってはネガティブな副作用も起きてしまいます。NHKの特集「どうする“集まりすぎる”客 観光地とオーバーツーリズム」では、京都の状況を掘り下げて取材しています。そこで紹介された地元の人たちの証言によると、舞妓さんさんを取り囲んで写真を撮ってくれと強要したり、舞妓さんの着物を引っ張るといった「舞妓パパラッチ」が問題化しているそうです。民泊の場所が分からないのか、夜の11~12時近くにピンポンが鳴り、見知らぬ人が家の前に立っていて、怖かったという話もあります。他にも、路線バスに乗れないとか、タクシーがなかなか捕まらないとか、様々な問題が起きています。


ユージ:最近「オーバーツーリズム」の言葉を耳にするようになりましたが、うまい対策などありますか?


神庭さん:Forbesによると、イタリアのヴェネツィア、イギリスのマンチェスター、スペインのバルセロナなどのヨーロッパ都市では、旅行者や宿泊者に対する「観光税」を導入したり、値上げしています。東京や京都、大阪にも「宿泊税」はありますが、1泊あたり100~1000円程度とかなり安くなっています。外国人観光客が殺到している都市では、その分だけ交通網の整備やゴミの処理などにお金がかかります。周辺住民にも負担がかかっています。それを補うために宿泊税をさらに引き上げるとか、新たに観光税を設けるといったことも選択肢になってくるのではないでしょうか。宿泊費に対する料率を一定にしておけば、ハイシーズンには高めに税金を徴収して、閑散期には下げるというダイナミックプライシング的な運用もできるようになります。1箇所の観光地に人気や負荷が集中しないように、様々なエリアの多様な魅力を発信していくことも必要だと思います。


吉田:では、3つ目のポイントお願いします。


神庭さん:3つ目のポイントは、日中関係の今後です。報道によれば、岸田総理は「中国からのインバウンドの回復がさらに進むことを期待する」と表明しています。中国の呉江浩駐日大使も「人的往来を強化し、相互理解を促進する」「友好こそ唯一の正しい選択だ」と話しています。これだけ聞くと、めでたしめでたしのような気がしてくるのですが、そんな簡単な話でもありません。少し前に、原発の処理水放出に中国が反発して日本の海産物に対して実質的な禁輸措置を取っていることを解説しました。言ってみれば、右手で握手しながら、左手で殴り合っているようなものです。日経新聞は「処理水の海洋放出には強く反発し、日本産水産物の輸入規制では揺さぶりをかける。『アメとムチ』で臨む対日姿勢が透ける」と分析しています。処理水の時も、外交や経済安全保障はお互いの首根っこの掴み合いだという話をしましたが、観光も中国一辺倒、中国依存まで行くと、いざという時に人質にとられてしまうリスクが高まってきます。中国のなかに理解者、親日派を増やしていくという意味でも観光客の受け入れが大切ですが、ある種「水物」と割り切って、いなくなったらいなくなったで対応できるように、次の一手も見据えて、他国からの観光客もしっかり開拓していくことが大事ではないかと思います。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。




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