23.08.07
映画バービーの合成画像騒動とその背景

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
コメンテーターは引き続き、情報社会学がご専門の城西大学助教、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!
「映画バービーの合成画像騒動とその背景」
吉田:昨日、8月6日は広島原爆の日。78年前、世界で初めて原子爆弾が広島に投下された日です。そうしたなか、原爆とバービーを合成した画像をめぐり波紋が広がっています。
ユージ:ファンがSNSに投稿した「キノコ雲」など原爆投下を連想させる画像があったのですが、これに対してリツイートしてコメントをしたことについてです。あと、吹き替えを務めた高畑充希さんの投稿も話題になっています。中東でも検閲上の問題に直面して、公開が危ぶまれていたり、話題に事欠かない映画になっています。
吉田:配給会社「ワーナー・ブラザース」のアメリカ本社が正式な声明文で謝罪するまでの事態になっていますが、改めて、この問題の本質・背景には何があるのか、塚越さんに解説いただきます。この騒動の経緯について教えてください。
塚越さん:少し入り組んだ話になっているのですが、まずアメリカでは原爆開発を主導した有名な科学者であるオッペンハイマーを題材にした映画「オッペンハイマー」が、アメリカで7月21日に公開され、すごく人気になっています。監督が「TENET テネット」などで有名なクリストファー・ノーランですが、原爆の開発者ということもあるのか、日本の公開は未定になっています。こうした中、アメリカで同じく7月21日に、バービー人形を実写化した映画「バービー」も公開され、こちらも人気になっています。公開日が同じで両者とも人気ということで、SNS上では両作品を合体させたハッシュタグ「#Barbenheimer」がブームになりました。それが、海外の映画ファンがX=Twitterでこの両者を掛け合わせたファンアートを作りました。その中の1つに、オッペンハイマーの肩の上にバービーが乗っているものなのですが、背景におそらく原爆で焼かれたように火花が飛んでいて、日本人ならどうしても原爆を連想するものです。一部のファンがやっているだけならそんなものか、という感じですが、アメリカの「バービー」公式アカウントが、その投稿に「思い出に残る夏になる」と返信しました。他にも、バービー役の俳優の髪型が原爆を連想させるキノコ雲なっている画像を投稿したユーザーに対して、「バービー」公式アカウントが、「バービーの彼氏のケンは素晴らしいスタイリストだ」などと返信しました。これが日本で「原爆をからかっている」として問題になりました。
ユージ:これは、誰がどう見ても心地いい話題の取り上げ方ではないですね。今回のこの騒動、日本とアメリカの対応はどうなっているのでしょうか?
塚越さん:7月31日に日本でも映画化しますので、日本でも「バービー」の公式アカウントが配給会社「ワーナー ブラザース ジャパン」の声明としてハッシュタグ自体は公式と関係ないものですが、アメリカ本社の態度に配慮が欠けていたと謝罪しました。その後、8月2日には、ジャパンプレミアムがありまして、監督とプロデューサー、日本版の吹き替えをした俳優の高畑充希さんが出席しました。アメリカの俳優はハリウッドのストライキがあり出られないので、監督方で出ました。高畑充希さんは、ジャパンプレミアムの前に自身のSNSで「今回の件は本当に本当に残念です」を投稿し、共感を得たのですが、ジャパンプレミアム自体はこの炎上に関して言及がなかったということで、一部のファンからは批判や落胆の声が出ています。一方で、アメリカでは、ワーナー・ブラザースの公式アカウントが謝罪した翌日8月1日にメディアに向けて謝罪しました。内容が「最近の無神経なソーシャルメディアの反応に極めて遺憾に思っています。スタジオは心よりお詫び申し上げます」とコメントが短くて、何にどういう意味で謝罪しているのかよく分からず、問題になっているリプライを削除しただけです。日本アカウントは丁寧な謝罪でしたので、アメリカの対応について疑問に思います。
ユージ:この騒動の背景について塚越さんはどうみられていますか。
塚越さん:ネットでも言われているのですが、これが「9.11」や「ナチス」を連想させるようなものだったらアメリカの方はしないですよね。
ユージ:他国が「9.11」をいじってTwitterを面白おかしく投稿していたら、アメリカは絶対イヤですよね。
塚越さん:そう考えると、アメリカの方は悪意があると言うより、あまり考えていないというのがありますね。専門家が指摘しているのですが、原爆投下によって戦争が早く終わったと考える方も減ってきているのですが、アメリカの中では原爆投下を正当化する方も多いです。そこの認識違いが今回の問題を生んでしまったと考えられます。そう考えると、この話題を埋めるように日本側からも「原爆ってそういうことじゃない」と伝えるようなきっかけにして溝を埋めていく努力が必要だと思います。今回は、日本人として残念な問題です。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) August 7, 2023
「映画バービーの合成画像騒動とその背景」
SNS上でのファンの投稿画像が原爆投下を連想させるもので、
それに対して映画バービーの公式アカウントが
いいね的なコメントをつけたことが大きな問題になっています。
僕も非常に悲しい気持ちになりました。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) August 7, 2023
アメリカの配給元も公式な謝罪をしていますが、
日本側からは謝罪として受け入れられないようなものでした。
もしかしたらSNS担当1人の判断だったのかもしれませんが、
チェックが甘い。たった1人の意見だったとしても、
その意識の低さは連帯責任を問われても仕方がありません。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) August 7, 2023
逆に言えば私たちも、例えばジョークのつもりで言ったことが
配慮に欠けて、相手の人や国を悲しい気持ちに
させてしまうことがないように、
今後も気をつけていかなければと改めて思いました。
映画バービーは以前から非常に話題になっている作品なだけに、
今回の件は残念です。#ワンモ