23.08.03
最低賃金、全国平均の目安1000円越え

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
コメンテーターは引き続き、情報社会学がご専門の城西大学助教、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!
「最低賃金、全国平均の目安1000円越え」
吉田:先月28日、厚生労働省の諮問機関である「中央最低賃金審議会」は、2023年度の最低賃金の目安を現在の961円から41円引き上げて、全国平均で時給1002円にすると決めました。この上げ幅は過去最高で、平均時給の目安が1000円を超えたのは今回が初めてです。しかし、日本の賃金は先進国の中でも低い方だといわれています。果たして、日本の賃金水準は国際比較でどの程度なのか?どうやって、他の先進国並みに引き上げていったら良いのでしょうか?塚越さんに解説いただきます。
ユージ:厚生労働省の諮問機関「中央最低賃金審議会」が最低賃金の目安を全国平均で時給1002円にすると決めましたが、東京都の最低賃金はすでに1000円を超えて1072円です。今回の1002円は、どういう「目安」なのでしょうか?
塚越さん:1002円というのは全国平均の目安です。毎年、夏に労働者の代表と雇用主の代表、そして中立的な立場の公益委員で構成する審議会で話し合い、最低賃金の目安を提示されます。これを参考に都道府県ごとに審議会が具体的な額を決めて、10月頃から適用最低賃金はその名の通り時給の最低限で、アルバイトやパートを含むすべての働く人が対象で額は毎年度改定されます。毎年目安に応じて都道府県の最低賃金が引き上がるので、全国平均ではありますが1002円を超えることになります。
吉田:最低時給の平均が1000円超えるというのは良いことですが、日本の最低賃金は先進国の中でも低い方でしょうか?
塚越さん:各国の最低賃金も、昨今の物価上昇を受けて上がっています。それを昨日の為替(1ドル143円)で換算するとイギリスは年齢等によってばらつきがあるのですが、最も高い23歳以上の最低賃金は、今年4月から10.42ポンド(1906円)。フランスは今年1月から11.27ユーロ(1773円)。ドイツは現在12ユーロ(1888円)。来年はさらに上がることも決まっているのですが、このように非常に高いです。アメリカは連邦政府が決めた最低賃金が7.25ドル(1036円)になっているのですが、州ごとにも最低賃金があり、半分以上の州は毎年改定しています。アメリカは州や企業によってばらつきがありますが、高いところだと最低賃金が15ドル(2145円)のところもあります。レートが円安になっていることもあります。それでもやはり海外の主要国と比べると圧倒的に低いです。
ユージ:最低賃金は上がっていくようですが、正社員として働く方の給与は、どんな状況ですか?
塚越さん:1990年代半ばまで日本の賃金は世界トップクラスでした。しかし、1997年以降、名目賃金はほとんど上昇することはなく、物価上昇分を差し引いた「実質賃金」は、1997年を100とすると、2016年で89.7に低下しました。2021年の日本の平均賃金は、OECD加盟国でデータのある34カ国中24位です。平均の77%という低水準。同じく労働生産性もOECD平均より低いです。少し前までこうしたデータをあまり知らない人も多かったと思いますが、個人的には2021年のオリンピックあたりから、報道されるようになったのと昨今の円安もあって、残念ながら「日本は安い国」というのを誰もが認知するようになりました。
吉田:どうして日本の賃金水準は低いままなのですか?
塚越さん:様々な要因がありますが、例えば安倍元首相が提案した「アベノミクス」は、簡単に言えば企業がまず儲かり、その恩恵が末端にも行き渡る「トリクルダウン」でしたが、実質そうなりませんでした。大手企業の収益は改善したのですが、賃金は上昇しませんでした。他にも、デフレが続いたこと、企業の生産性が低いこと、また賃金の安い非正規雇用を増やしたことなど、とにかく複合的な理由で賃金上昇が生じないとのことです。
ユージ:どうしたら日本の賃金が先進国並みに引き上がるでしょうか?
塚越さん:難しいですが、まず今回の最低賃金の引き上げは岸田政権の意向も大きいです。ただ、中小企業は大手との取引単価が上がらないと、社員を雇用できなくなる場合もあり、そうすれば全体としてマイナスにもなりかねないので、こうした点には注意が必要です。また、岸田政権が進めている「リスキリング」を充実させて、雇用の流動性を高めて、給料の高い分野に労働力が集まり生産性が高まるといった方法もあります。他にも、賃上げすることで税制を優遇する「賃上げ促進税制」などもあります。さらに、賃金だけでいうなら、フランスなどは物価上昇に応じて最低賃金が自動的に引き上がる制度になっているので、日本でも導入する点があります。いずれにしても、物価上昇に賃金上昇がなかなか追いついていません。世界水準にするなら1500円が必要だと思うのですが、そうすると1.5倍になるわけですよね。すぐにはなかなか難しいです。構造的な問題なので、簡単なゴールはないということで、少しずつ課題をみながら変えていく必要があります。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) August 3, 2023
『最低賃金、全国平均の目安1000円越え』
ついに最低賃金の全国平均が1000円の大台を越えた、となると聞こえは良いですが、まだ1000円か…という意見も非常に多く見受けられました。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) August 3, 2023
海外の最低賃金は物価上昇に応じてどんどん引き上げられており、フランスは今年から1773円に、ドイツは現在1888円で、来年さらに引き上げられることが決定しています。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) August 3, 2023
このように海外と比べると、日本の「やっと1000円越え」ってどうなの?と感じてしまいます。日本も物価上昇に伴い賃金も引き上げられるべきだと思いますが、上がり幅が物価上昇に追いついていないというのが大きな課題です。#ワンモ
#ユジコメ④
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) August 3, 2023
全国平均が1000円を越えたというのは嬉しいことですが、まだまだ引き上げられるはずだと僕は思います。昨今の物価上昇などもあり、労働者にとって厳しい時代になってきているので、ここはどうにか賃金をさらに上げるための政策を考えてほしいと思いました。#ワンモ