network
リポビタンD TREND NET

今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

23.07.26

人手不足がさらに深刻に、建設業界の2024年問題
null

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
コメンテーターは引き続き、情報社会学がご専門の城西大学助教、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!


「人手不足がさらに深刻に、建設業界の2024年問題」

吉田:建設業界では、来年4月から時間外労働の規制が強化されることから、人手不足の深刻化が懸念されています。塚越さん、「2024年問題」といえば、物流業界のイメージがありますが、建設業界でも、同じような問題が起きると言われているんですね?


塚越さん:こちらは2024年4月から、時間外労働の上限規制が厳格化されることに伴って予想される、人材不足の問題です。物流業界も2024年問題と言われていますが、建設業界も問題になっています。なぜ2024年かというと、そもそも政府は2019年に働き方改革関連法を施行し、残業規制等を強化していて、今回の問題もこれに起因します。残業規制は重要ですが、働き手の高齢化と若い世代の就業者の減少が進み、結果的に長時間労働が常態化していた建設業界では、対応に時間がかかるとして、運送業などと並んで5年の猶予が与えられていました。その期限が来年の2024年にきます。運用が適用されると従業員の時間外労働の上限は月45時間、年360時間が原則になります。1人あたりの労働時間が削減されるので、どうしても人数が必要になるのですが、人材不足の業界でその傾向に拍車がかかるので、問題です。建設業界の人手不足は深刻化していて、昨年の建設業界の就業者数は479万人です。ピークは1997年の685万人なので、25年で200万人減っています。働き手も高齢化が進んでおり、就業者のうち55歳以上の割合は35%で、全ての産業と比較すると、平均よりも5ポイント高いです。逆に29歳以下の就業者は12%程度で、こちらすべての産業と比較すると、平均より5ポイントほど低いです。つまり高齢化が進む一方で若手が減っている状況です。


ユージ:僕も建設業界にいたので、大変なんですよね。「建設業界の2024年問題」、何か対策は進められているのでしょうか?


塚越さん:まずは賃金を引き上げて、若手の人材を確保することです。例えば、積水ハウスグループの「積水ハウス建設」では、今年4月は高卒など39人の大工が入社したのですが、これを再来年の2025年には133人と3倍以上にすることを目指しています。そのため、今年4月入社の社員の年収を、前年比で最大11%(約17万9千円)増やしました。さらに工事責任者は、これまで30代で500~600万円程度だった年収を、来年4月から最大1.8倍の約900万円にするとのことで大幅に給料を引き上げます。また、社内では大工という言葉を「クラフター」と変更して、若者に受け入れやすいようにイメージを変えたり、制服も若者に人気のブランドのデザインを採用しました。さらに完全週休二日制、男性育休取得率100%などを徹底するとのことです。こうしたことができるならば、相当の変化になります。近年は、新たに新設する住宅の着工件数が横ばいですが、需要は多くて基本的に業界は好調です。一方で、現状でも小学校建設に人を集められず、予定までに建物が完成しないといった事例もあります。そんな中で来年、残業規制が生じるとなると、待遇を改善することで若手人材を確保したいとのことです。


ユージ:その他にも、進められている対策はありますか?


塚越さん:他にも大和ハウスは、自社では職人を雇用していないのですが、下請け企業の人材確保を支援するために、独自の補助金制度を導入し、特定の技能者には1年間に渡って毎月7万5千円を拠出する他、オンラインの技能研修など、下請け企業の若手育成を行います。あるいは、現場の省エネ化も課題になっていて、大和ハウスのグループ企業である大和ハウス工業だと、自ら掃除する自走型のロボットを共同開発企業とともに開発し、今年度中に30台現場に投入します。


吉田:「建設業界の2024年問題」、塚越さんは、どのようにご覧になっていますか?


塚越さん:基本的には時代の流れということなので、様々なロボットを使ったり賃金を上げたりすることで、若手を増やしつつ省エネ化することが大事だと思います。ただ問題は、大企業以外の中小や零細企業です。中小企業だと賃金を上げるのも難しく、また親会社に単価の値上げを交渉するのも難しいです。業界全体で連携されないと、体力のない企業が倒産し、結局は業界全体が苦しむことになるのかな、と思います。先ほどの大和ハウスのように大手が下請けの企業を支援したり、業界全体で手を組むことが重要なのかなと思います。一人勝ちや一人負けということではなく、競争力を保ちつつWinWinの関係を作っていけるような体制をつくれるかどうかにかかっています。


ユージ:大企業が自信持って良いお金を下請けに払うのが大事だと思います。下請けのオークションのような感じで、どこが1番安く対応するか価格競争しています。


塚越さん:そうなると最終的にとんでもないことになってしまうので、気を付けないといけないですね。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。






過去の #ユジコメ を音声でCHECK!!

  • X
  • Facebook
  • LINE
Top