network
リポビタンD TREND NET

今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

23.07.20

都立高校入試 英語スピーキングテスト実施問題
null

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
コメンテーターは引き続き、情報社会学がご専門の城西大学助教、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!


「都立高校入試 英語スピーキングテスト実施問題」

吉田:今月3日、都内の中学校や都立高校にお子さんを通わせている父兄や、中学高校で英語を教えている先生や英語教育の研究者などで構成されている『都立高校入試へのスピーキングテスト導入の中止を求める会』が会見を行い、去年の秋から実施されている英語のスピーキングテストには、「さまざまな問題がある」として、東京都教育委員会に対し中止を求めました。この「スピーキングテスト」は、今後、全国的に実施される可能性が指摘されていて、東京都に限った問題では無いようです。そこで今回、改めて「都立高校入試で、英語のスピーキングテストを実施する問題点」について、塚越さんに解説いただきます。


ユージ:そもそも「英語のスピーキングテスト」とはどのような内容ですか?


塚越さん:日本の英語教育は長年、実践的に「使える英語」、つまり話せる英語になっていないことが問題でした。ですので、話すこと、つまりスピーキングを改善するために導入されたのがスピーキングテストです。受験生はマイクのついたヘッドセットをつけて、タブレット端末を見ながら答えます。問題は、英文を声に出して読み上げるものや、イラストをみて英語で答えるものなどあります。例えば、「電車に乗っていたら、花をくわえた鳥が入ってきて帽子の上に置いていった」みたいなイラストがあります。複雑なイラストだと思うのですが、この状況について、英語で40秒以内に答える問題があります。このスピーキングテストは20点満点です。都立高校の入試は、学力検査が700点で、内申点が300点。これにスピーキングテストの20点が加わり、計1020点です。20点は、全体的に決して少なくない点数だと思います。


吉田:昨年の秋、スピーキングテストが実施される前から問題が指摘されていたそうですが、その時は、どのような点が問題になっていたのですか?


塚越さん:たくさんありますが、まずは不公平性の問題です。まず、スピーキングテストは音声なので採点に時間がかかるため、秋に実施します。昨年はフィリピンにデータを送って、採点されました。秋に実施すると、親の転勤などで急遽都内に引っ越した生徒で、都立高校受験を希望する人はテストが受けられない、また病気や怪我で受けられない人もいます。そうした不受験生に対して、「英語の筆記試験の得点が同じだった別の受験生達のスピーキングテストの平均点を加点」します。つまり、自分と同じくらいの英語学力だった、他人の試験結果の平均が自分の点数になるということです。スピーキングテストは新しい分野で、英語の実力とは異なります。なにより他人のテスト結果が反映されるというのは、公の試験という性質上、問題だと思います。もう1つは、テストの実施事業者が民間企業の「ベネッセ」という点です。テストはベネッセ独自のシステムを使って実施されます。すると、ベネッセ方式のテスト導入している中学に通っている生徒や、ベネッセのスピーキングテスト講座を受けている生徒が有利になるのでは?という指摘があります。また、ベネッセが実施してる別の英語検定試験に似ている、といった指摘もあって公平性が担保されていません。また、ベネッセが運営するサイトに受験前に個人情報を登録しなければいけません。公的な試験でなぜ民間企業に登録しなければならないのか?という批判があります。


ユージ:実際に実施してみてどうだったのですか?


塚越さん:先日、行われた『都立高校入試へのスピーキングテスト導入の中止を求める会』の会見で、昨年受験した生徒の親が「情報開示請求で解答音声を取り寄せた」と話していました。他の受験生の音声も混じっていて、適切に採点されたか疑問に思ったそうです。受験生自身も、「他の人の声がうるさい。」と話していたようです。やはり、公平性の観点から問題だと思います。


ユージ:この問題、今後どうなっていくと思いますか?


塚越さん:いろいろ指摘されているのですが、東京都の教育委員会も問題がなかったということで批判があっても、このまま続ける方針です。場合によっては全国に広がる可能性もあります。ただ来年度以降は、ベネッセは名乗りを挙げずに、今年度限りで事業者を撤退します。来年度からはイギリスの非営利組織「ブリティッシュ・カウンシル」が運営します。いろいろと変わってきますが、来年度以降どういった変化が生じるのか、その点も注意してみていく必要があります。数年前、国が大学入学共通テストに英語民間試験の導入を考えていたのですが、見送ったことがありました。しかし、東京都は民間企業で続けるということで、この辺も噛み合わないところがあり、来年度から運営も変わります。


ユージ:イギリスは、アメリカ英語とイギリス英語がありまして、発音も違えば言葉の言い回しも結構違います。そこも採点基準でどちらが重視されるのか気になります。


塚越さん:そうですね。そうなると、受験生がいちばん混乱します。親御さんも混乱しちゃうので、この辺はきっちりしないといけないなと思います。我々も注目していかないといけないなと思います。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。







過去の #ユジコメ を音声でCHECK!!

  • X
  • Facebook
  • LINE
Top