23.07.17
7月13日木曜日に施行された「撮影罪」

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。
【「撮影罪」について】
吉田:盗撮を許さない社会に向けて、先週、撮影罪が施行されました。新たに施行された撮影罪、一体どんな内容なのか、神庭さん教えて下さい。
神庭さん:性的な部位や下着などを正当な理由なく撮影した場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されます。そうやって撮影された写真や動画を不特定多数に提供したり、公開したりするとさらに罪が重くなり、5年以下の懲役か500万円以下の罰金、またはその両方が科されます。性的な盗撮画像を誰かに提供したり、公開したりする目的で保管する人にも2年以下の懲役か200万円以下の罰金に処されるということです。
ユージ:これまでそういう法律はなかったのでしょうか?
神庭さん:これまでは各都道府県の「迷惑防止条例」で盗撮行為を取り締まってきました。
ユージ:ではなぜ、今回、新たに撮影罪が施行されたのでしょうか?
神庭さん:そこがポイントです。全国一律、同じ法律で取り締まれるようになり、厳罰化されることに意味があるんですね。実は航空機の中でキャビンアテンダント(CA)さんの盗撮被害が相次いでいて、空の上の出来事なので、これまではどの県の条例を当てはめて摘発するか決めなければいけませんでした。ところが、犯行時にどの県の上空にいたかの特定は難しく、摘発できない、処罰できないケースもあったということです。これでは空の上は盗撮天国ということになってしまうので、法律・条文の「抜け穴」を早急に埋める必要があったわけです。
ユージ:CAさんの盗撮被害、耳にしたことがあります。
神庭さん:航空会社の労働組合でつくる「航空連合」の昨年の調査によると、「乗務中に盗撮・無断撮影に遭ったことはあるか?」という質問に38%が「ある」、33%が「断定できないがあると思う」と答え、合計7割超を占めました。前回2019年調査では6割強だったので、3年ほどで大きく増加していることになります。また、「ある」「あると思う」と答えた人の11%が、スカート内や胸・お尻を撮られたと答えました。
このアンケートでは盗撮・無断撮影行為に対してどのように対処したかも聞いているのですが、画像の削除や口頭注意など何らかの対応ができたケースは4割強にとどまり、特に対処することができなかったという回答が6割弱に達しました。警察や地上の係員に引き渡したという回答は、たったの3%しかありませんでした。こういった背景もあり、航空業界は撮影罪の新設を求めていたんですね。
吉田:今回の撮影罪は、こういった被害に対する効果はありそうでしょうか?
神庭さん:少なくとも6割弱が泣き寝入りという現状は改善されるのではないかと思います。先ほどの航空連合は「抑止力の向上も期待できる」と歓迎しています。まずは法律をしっかり周知して、そもそも盗撮行為をしようなんて思わせない、未然に防ぐことが大事です。加えて、盗撮が起きてしまった時にいかにスムーズに警察に引き渡し、処罰を受けさせるかといった運用面も整備していく必要があります。
先ほどのアンケートでは、盗撮になかなか対処できない理由として「お客様の気分を害するかもしれないと躊躇」「声掛け・確認に恐怖感があり勇気が出ない」といった回答が寄せられていました。法律ができたからといって、現場のCAさんのこうした不安感がすぐに払拭されるわけではありません。CAさんが極力、精神的な負担を感じずに済むように、盗撮犯の発見→確認→警察への引き渡しに向けたプロセスを社内でマニュアル化しておくことも大切かなと思います。
ユージ:撮影罪の課題はあるのでしょうか?
神庭さん:撮影罪の対象は性的な部位や「下着」を盗撮する行為なので、最近話題になることが多いアスリートの盗撮は、規制対象にならないんですね。海水浴場の水着も下着ではないので対象外。ユージさんや吉田さんのような有名人、芸能人の方が街で無断で撮影された場合、これも撮影罪では規制されません。とはいえ、ユニフォームや服を着ている写真も対象に含めるとなると、規制範囲がかなり広くなるので、冤罪が生まれるリスクも高まると思うんですね。摘発対象になる写真とならない写真を、どうやって線引きするかが課題になるかなと思います。当たり屋ならぬ「撮られ屋」が観光地とかで勝手に写り込んで難癖をつけてきても困るので、悪用されないような法律にする必要があるのではないかと思います。
ユージ:難しいですね…。
神庭さん:弁護士ドットコムの【撮影罪に入らなかった「アスリート盗撮」、注意に"逆ギレ"する人も…現場は限界】という記事によると、大学陸上の大会では、撮影ルールに違反した人を見つけると、学生さんたちが声掛けしているそうなのですが、怒鳴りつけられたり、「バカにしやがって」と逆ギレされたりすることもあるそうです。「金返せ」と言って、学生から入場料を奪って帰る不届者もいるということで、ひどい話です。現状では法規制が及ばないので、自主ルールでやるしかないわけなんですけれども…。スポーツの大会に関してはご家族とか、大会関係者、メディアにだけ腕章を渡して、腕章のない人は撮影NGというくらい厳格にやってもいいのではないかと思います。陸上だと女子選手はおへそが出るセパレートタイプのユニフォームを着ていることが多いですが、タイムへの影響なども見極めつつ、学生さんがセパレートではないユニフォームも選べるようにしていただけるといいかなとも思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) July 17, 2023
今朝のテーマは先週施行された「撮影罪」
実は航空機のなかでのキャビンアテンダント(CA)さんの
盗撮被害が問題になっています。空の上の出来事なので
どの県の自治体の条例を当てはめて摘発するのか特定が難しく、
処罰できないケースもあったそうです。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) July 17, 2023
こういった被害を防ぐためにも、「撮影罪」の施行は
CAさんや航空会社のみなさんにとって非常に助かる法律です。
しかし、他にも悩んでいる人はたくさんいて、
例えばスポーツ選手たちも、ユニフォームや水着は
規制対象にはならないということで、盗撮被害に悩んできました。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) July 17, 2023
「撮影罪」にはどこまでの行為が当てはまるのか。
撮影行為を一緒くたに罪としてしまえば、
街での一般的な撮影も盗撮になってしまう可能性もあります。
施行されたことがゴールではありません。
何が良くて何がダメなのか、そのラインを明確に作っていく必要があると思います。#ワンモ