23.07.18
トラックの速度引き上げと、2024年問題

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。
「トラックの速度引き上げと、2024年問題」
吉田:警察庁は13日、高速道路で時速80キロとなっているトラックの最高速度の引き上げに向けて、有識者検討会を設置すると明らかにしました。神庭さん、検討会ではどんなことが話し合われるのでしょうか?
神庭さん:現状、高速道路での最高速度は、乗用車が原則100キロです。乗用車の場合、各都道府県の公安委員会が個別に速度を定めることができて、新東名高速や東北道などで最高速度が120キロに緩和されているところもあります。一方、8トン以上の中型・大型トラックは安全性の観点から80キロに制限されています。これは1963年に道路交通法の施行令で定められて以来、60年間変わっていません。しかし、トラック運転手の人手不足が深刻化していて、いわゆる「2024年問題」が間近に迫るなかで、引き上げを検討しよう、というのが今回のニュースです。全国物流ネットワーク協会の試算によると、100キロに引き上げると、東京〜大阪間の輸送時間が1時間半短縮できるということです。
吉田:根底にあるのは「2024年問題」ですが、改めてこの問題を教えて下さい。
神庭さん:働き方改革の一環で、来年4月からトラック運転手の時間外労働に関して、年間960時間までという上限が適用されるようになります。月に直すと平均80時間です。全日本トラック協会の昨年の調査では、年960時間を超えるドライバーが「いる」と答えた事業者が27.1%。このままだと3割弱の企業が労働基準法違反になってしまうため、対応が迫られているということです。「2024年問題」と良くないことのように言われるのですが、もともとはドライバーの皆さんの労働環境を守ろうという動きです。長時間労働が蔓延すると健康を害したり、事故に繋がったりもしますから、そこを改善すること自体は良いことだと思います。
ユージ:そうですよね。では、問題となっていることは何でしょうか?
神庭さん:1人頭の労働時間が減ると、運べる距離も短くなり、交代要員も必要になります。雇う側は余計に人件費がかかり、発注する側もコストが膨らみます。もともとトラックドライバーは高齢化が進んでいて人手不足なのですが、2024年問題で、ますます人手不足が深刻化すると懸念されています。野村総合研究所の試算によると今の状況が続いた場合、2030年には、2015年との比較で全国のおよそ35%の荷物が運べなくなり、東北、四国などの地方では40%を超える懸念があるということです。
吉田:そうなると、私たちの生活にも影響が出ますよね。
神庭さん:まず考えられるのは、さらなる物価の高騰です。2024年問題というと、「ネット通販や宅配便が届かなくなる!」みたいな方向で報道されがちなのですが、これは若干ミスリードです。元トラックドライバーでライターの橋本愛喜さんは、新刊の『やさぐれトラックドライバーの一本道迷路』でこう指摘しています。「声を大にして言っておくと、2024年問題は『宅配』ではなくほぼ『企業間輸送』の問題だ」「宅配と企業間輸送はもはや『異業種』。日本で運ばれている荷物量において、宅配はたった7%以下でしかない」と指摘しています。「企業間輸送」と聞いて、じゃあ私たちの暮らしに関係ないのか、と思う人もいるかもしれないですが、そんなことは全然なくて、大いに関係しています。コンビニやスーパーに並ぶ商品のほとんどが企業間輸送を経て製造されています。原材料や部品を工場に届けるのも企業間輸送ですから、そこで目詰まりが起きて物流コストが上昇すれば、当然あらゆるものの値段が上がるということになります。
ユージ:なるほどね。他に考えられることはありますか?
神庭さん:ドライバーの長時間運転が必要になる長距離輸送が難しくなることで、スーパーの品揃えなどにも影響が出るかもしれません。イー・ロジット社長の角井亮一さんはJBpressのインタビュー記事でこのように話しています。「首都圏の食品スーパーに並ぶ生鮮食品や乳製品などで、棚に並んだ日から賞味期限までの期間がこれまでより短くなったとか、欠品が目立つようになったとか、そんな事態が起きてもおかしくありません」と話しています。
ユージ:スピード感を持って配達できてたから、賞味期限・消費期限が長かったんですね。この2024年問題、神庭さんはどう考えていらっしゃいますか?
神庭さん:国交省は対策として「再配達削減PR月間」などのキャンペーンを行っています。もちろんやらないよりやった方がいいのですが、さっき言ったように2024年問題が企業間輸送の問題だと考えると、打ち手としてややズレています。また速度制限アップに関しても、それによって安全性が損なわれないか、より神経を使うことになってドライバーさんの負担にならないかといったことはしっかり検証して欲しいなと思います。トラックの運転手さんは急いで目的地まで行くのですが、着いた先の倉庫で「ちょっと待っててね」と時間調整で待たされます。調査によると、1運行あたりの荷待ち時間は1~2時間が32.4%を占めて、3時間超の運行も9.8%あったということです。荷待ち時間に対して荷主が待機時間料をしっかり払うことで、ドライバーの残業時間を抑制していく必要があると思います。何より大切なのは待遇改善で、人手不足というのは、安い賃金で馬車馬のように働いてくれる人が不足しているという話で、賃金を上げれば人は集まります。1年前の段階で、アメリカでは入社1年目から年収1400万円や2000万円を提示しているところもあり、教習所に希望者が殺到しています。「働き方改革」と綺麗事を言われても、残業時間が減って、残業代が減るのはな…と喜べない方もいると思うので、その辺りしっかり手当していただきたいと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) July 18, 2023
『トラックの速度引き上げと、2024年問題』
物流業界ではトラックドライバーの人手不足が深刻化しており、なおかつ給料の問題や、一人でこなすには膨大な仕事量など、さまざまな方面を見直す必要があると思いました。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) July 18, 2023
なかでも、僕も改善した方が良いと強く思ったのは、中型・大型トラックの最高速度です。現在は道路交通法により80キロに制限されていますが、この法令は1963年以降変わっておらず、いまだに60年前のトラックの性能と道路事情に合わせた速度制限になっているわけです。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) July 18, 2023
そのため、現在の車両の性能と安全性に合わせたルールに見直す必要があると思いました。他にも、ドライバーが目的地の倉庫に到着すると、荷主の都合により、1運行あたり1~2時間待機をしなければならない「荷待ち時間」というものがあります。#ワンモ
#ユジコメ④
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) July 18, 2023
この荷待ち時間に対する対価も荷主がしっかり支払う必要があるのではないでしょうか。現在の物流業界の課題を改善するために、細かなポイントでいろんな変化が求められているのだと改めて感じました。#ワンモ