23.07.13
ふるさと納税の返礼品基準や運用方法の見直し

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
コメンテーターは引き続き、情報社会学がご専門の城西大学助教、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!
「ふるさと納税の返礼品基準や運用方法の見直し」
吉田:総務省は先月27日、「ふるさと納税」の運用方法や返礼品の基準について変更と見直しを行うと発表しました。毎年「ふるさと納税」の専用サイトを眺めながら、「どの自治体から、どんな返礼品を受け取るか?」納税先選びを楽しみにしている方にとっては気になる発表です。いったい、どんな変更見直しがなされるのでしょうか?塚越さんに解説いただきます。そもそも「ふるさと納税」とはどのような制度なのか改めて教えてください。
塚越さん:ふるさと納税は2008年に開始された制度で、「納税」とあるのですが、実際は自治体への寄付です。寄付した金額のうち、自己負担額2000円を除いた額が、翌年の住民税や所得税から控除の対象となるということです。さらに寄付者には返礼品が贈られ、実質的に2000円で高価な特産品などをもらえるというものです。寄付できる限度は、年収や納税額で人によって異なります。つまり、払う税金の額は変わらないけど、ふるさと納税によって返礼品が貰えるので、お得な納税方法ということで、近年急速に普及しており、2021年度の寄付総額は過去最高の8302億円となりました。
吉田:今回、総務省が発表した「ふるさと納税」に関する変更見直しとは、どのような中身だったのか?まずは、運用方法の変更について教えてください。
塚越さん:総務省によるルールでは、返礼品の調達にかかる費用の割合は寄付額の3割以下で、送料や事務なども含めた経費の総額を寄付額の5割以下になっています。寄付額の半分以上は自治体のために活用されるべきという考え方になっています。ただ、実際には総務省が把握していない、寄付金の受領証の発行だったり、住民税の控除に必要な情報を自治体間で共有するための費用といった「隠れ経費」があります。総務省は今回、これらの隠れ経費も対象にして報告を求めるように、運用方法を変えました。
ユージ:この変更は「ふるさと納税」をする側にとっては、どういう影響があるのでしょう?
塚越さん:2021年度の自治体の平均経費率は46.4%とすでに高水準で、5割を超えてはいけないというルールです。そうすると、先ほどの「隠れ経費」を含めると5割を超える自治体が出ることになります。実際、2021年度のふるさと納税額上位20の自治体のうち、隠れ経費を含めると13の自治体で基準の5割を超えていると朝日新聞は伝えています。新たに経費としてカウントされる費用は3.9%程度と見られていますので、多くの自治体は返礼品の中身などを見直すことになると考えられています。そうなりますと、例えば、これまで同じ納税で500グラムの肉を返礼品として貰っていたとして、それが同じ納税額で300グラムになるかもしれない、ということです。
ユージ:もう1つ聞きたいのが「返礼品の見直し」とは、どのような内容ですか?
塚越さん:こちらは返礼品として認められる地場産品の基準を見直すというものです。加工や製造の主要部分を自治体で行っていれば原則として認めますが、「熟成肉」と「精米」については、原材料についても同一の都道府県内産であることを求めるとします。どういうことかというと、例えば熟成肉はこれまで、他県や海外から仕入れて地元で熟成しても地場産品として返礼品にできたのですが、これは本当に付加価値のある加工がされたかどうだかが分からないので、今後は熟成前から一貫して地元の肉を地元で作りましょうということです。こうすると、これまで曖昧だったものがルール化されるので、これまで返礼品とされていたラインナップが無くなるという可能性もあります。
ユージ:「ふるさと納税」って、頻繁に制度の見直し変更が行われている印象がありますが、何でそうした見直し変更が繰り返されるのですか?
塚越さん:松本総務大臣は先月の記者会見で、「この改正によってふるさと納税が本来の趣旨にあった運用がされる」と述べています。自治体が返礼品を豪華にする競争が起きているのですが、それは結局誰のためになっているのか分からなくなっている、という問題があります。元々は、地方活性化や税制の公平性確保に効果があるとして始まった制度ですが、むしろ自治体の格差を拡大させているのではないか、と指摘されています。場合によっては例えば東京都世田谷区では100億円近くの税収が減っているということです。そうなると税は公平に渡るものなのですが、自治体ごとに色々な格差が生まれてしまうということで、それはどうなのか、と色々言われています。制度がある以上、利用者として使う分は全く問題ありません。今、話しました公平性や格差の問題を考えると色々ありますので、例えば今後はもう少し基準を厳しくしたり、納税できる額も減らして返礼品を高くすると、本来の意味で「応援」できますし、「自分の生まれ故郷を応援する」制度にしていくことを求められるのではないかと思います。そういう意味で、少し運用を変えていくべきなんだということが議論になっているので、さらなる見直しが必要だと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) July 13, 2023
『ふるさと納税の返礼品基準や運用方法の見直し』
我が家でもふるさと納税を利用したことがあります。返礼品として大量のイチゴや美味しいお肉が届くこともあるので、やはりスペシャルな気分になりますし、楽しい制度ですが大きな課題もあります。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) July 13, 2023
例えば世田谷区では、住民が他の自治体にふるさと納税を行うことで住民税の減収が続き、本来世田谷区に納められるはずの税収の多くが他の自治体に流出してしまうといった問題があります。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) July 13, 2023
また、近年大きな広がりを見せるふるさと納税ですが、まるで返礼品の豪華さを競うかのような自治体も出てきています。そうなると、返礼品が豪華な自治体と、ふるさと納税の恩恵をあまり受けられない自治体とで格差ができてしまいます。#ワンモ
#ユジコメ④
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) July 13, 2023
ふるさと納税本来の目的が、自治体を応援することよりも返礼品を貰うことがいちばんの目的になってきてしまっているように感じるので、今回の運用方法の見直しや、返礼品の基準をフラットな目線で見る必要があると思いました。#ワンモ