23.07.04
学童待機児がおよそ1600人増加、小1の壁

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。
【学童待機児がおよそ1600人増加、小1の壁】
吉田:小倉將信こども政策担当大臣は先月28日、共働きや、ひとり親家庭の小学生を預かる学童保育の利用を希望したのに、定員オーバーなどでできなかった「待機児童」は、2023年5月1日時点の速報値で、前の年と比べ1645人増え、1万6825人だと公表しました。施設の整備が追い付いていないことなどを理由としています。神庭さん、よく「小1の壁」と言いますが、改めて教えて下さい。
神庭さん:共働きやシングル家庭で、これまで保育園に預けていた場合、子どもが小学生になると預かってもらえる時間が減ってしまう逆転減少が起きるんです。これが「小1の壁」です。保育園なら早朝保育や延長保育があるので、朝の7時台に預けるとか、夜の7時過ぎにお迎えに行くということもできましたが、学校は8時20分始業で、1年生だと午後1時、2時台に授業が終わってしまうんですね。小学生とはいえ、ついこの間まで保育園児だったような子どもに、それから6時、7時まで長時間留守番させるのは心配ですよね。授業があるうちはまだいいですが、これから夏休みに入ると小さい子どもが1人で街をウロウロしたり、1日中動画やゲーム漬けになってしまったりということにもなりかねません。さすがにそれはマズイので、放課後や長期休暇中に子どもを預かってくれる学童保育の役割が非常に重要になってくるわけです。そんな頼みの学童に入れず待機児童状態になっている人が全国で1万6000人以上いる、というのが冒頭のニュースです。定員が少ないし無理だろう、とそもそもあきらめている人も含めると、隠れ待機児童は数十万人規模という説もあります。
JOY:学童に預かってもらえない場合、どうなっているんですか?
神庭さん:保育園の場合と一緒で、働き方や仕事を変える、最悪の場合は退職を余儀なくされるケースもあります。正社員からパートになる、給料は下がってしまうが時短勤務に切り替える、あるいはリモート可の職場に変えてもらう、といったパターンもあり得ると思います。
やれ子育て支援だ、女性活躍だと言いながらも、そういった支援の網からこぼれ落ちてしまう家庭が少なからずあるということは問題ですし、日本社会にとっても損失ではないかなと思います。
JOY:この「小1の壁」は、実際どれくらい深刻になっているんですか?
神庭さん:共働きやシングルの子育て家庭が増え、核家族化が進んでいますが、社会インフラがこうした変化に十分対応できていません。特に都市部に住んでいて親や親類に頼れないケースでは、学童に落ちた途端に詰んでしまうわけですよね。学童に登録している児童数は2022年段階で約139万人。2012年が約85万人だったので、10年間で1.6倍以上にも増えている計算。この間に学童の数も2万1000ヵ所から2万7000ヵ所弱まで増えたものの、伸び率は1.26倍ですから、旺盛な需要に対して、供給が全然追いついていないのが実情です。
吉田:課題はどこにあるのでしょうか?
神庭さん:学童の指導員さんは、本当に頭が下がる大変なお仕事で、とても熱心に子どもたちのことを見てくれています。ですが、待遇面では恵まれているとは言い難いです。全国学童保育連絡協議会によると、半数近い指導員が年収150万円未満です。経験年数5年未満の指導員が約半数を占めるなど、入れ替わりが激しく定着率も低いんですね。朝日新聞の【「#学童落ちた」課題はどこに 待機児童対策、保育園とは違う事情も】という記事によれば、需要予測が難しく、一旦入った後にやめるケースも少なくないそうです。東京の足立区では、年5千人超の申し込みがある一方、800人近くが年度途中で退室。習い事を始めた、親が退職・時短にした、といった理由があるそうです。また、ある程度の広さがあって、避難経路が確保でき、おやつを作れる炊事場のある物件を見つけることが、特に都市部では難しいという事情もあります。
JOY:問題山積ですが、どうしたらいいんでしょうか?
神庭さん:政府は今年度末までに152万人分の受け皿を整備することを目指していましたが、目標の達成は厳しい情勢です。岸田総理は国会で「小1の壁を打破することは喫緊の課題」と答弁。小倉こども政策担当大臣も「待機児童の解消に向けた取り組みをさらに強化をしていく必要がある」と話していて、政府としても危機感は持っているんですね。日経新聞によると、非正規職員が多い学童の職場環境を改善するため、こども家庭庁は来年度にも、常勤職員を配置した場合に運営費の補助金を増やす方針を出しています。職員の方の待遇改善のためにも、これはどんどんやっていただきたいなと思います。ただ、一方で心配なのは、とにかく学童の数を増やせ!で粗製濫造に走って、学童保育の質が低下するのも困ります。小学1年生、2年生くらいの子どもはとにかくよく動くんですよね。すし詰め状態で目が行き届かなくなり、思わぬ事故につながらないように、目が届くように人を配置するとか、補助金を手厚くする、待遇改善も大切だと思います。学童保育の量と質の両立を目指していただきたいと思います。
そして、今日の #JOYコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #JOYコメ ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) July 4, 2023
『学童待機児がおよそ1600人増加、小1の壁』
学童に登録している児童数が10年間で1.6倍以上も増えており、全国の待機児童の数は、2023年5月1日の時点で約1万6000人、前年と比べて1645人も増えたそうです。#ワンモ
#JOYコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) July 4, 2023
僕にも2歳半の子どもがいますが、いずれ子どもが小学校に上がった時は僕も妻も働いているので、この問題に必ず直面することになります。やはり親としては学童保育の“質”にこだわりたい人もいると思うので、ただやみくもに学童を増やすのではなく、質の部分にも期待したいです。#ワンモ
#JOYコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) July 4, 2023
国としても待機児童の解消に向けた取り組みを早急に強化してほしいです。課題はたくさんありますが、速やかな解決を願っております。#ワンモ