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23.06.20

連合が廃止を求める方向へ、第3号被保険者制度
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


「連合が廃止を求める方向へ、第3号被保険者制度」

吉田:労働組合の中央組織・連合 芳野友子会長は15日の定例記者会見で、「第3号被保険者制度」について「不公平な制度だと思っている」と語り、廃止を求める方向で連合内で検討していく考えを示しました。神庭さん、まずは第3号被保険者について、教えてください。


神庭さん:日本の年金は3階建てになっていて、1階が「基礎年金である国民年金」。2階が「会社員なら厚生年金、自営業の方なら国民年金基金」。その上に3階の「私的年金であるiDeCoや企業年金」がきます。1号、2号、3号というのは、土台にあたる「1階」部分の「国民年金」についての話です。「1号」被保険者は自営業者・農業者とその家族、学生、無職の方、およそ1400万人います。「2号」は会社員や公務員など、厚生年金や共済組合に入っている方でおよそ4500万人です。そして、今回のテーマである3号被保険者は、2号被保険者に扶養されている配偶者、およそ760万人が該当します。「20歳以上60歳未満で、年収が130万円未満」という条件があり、98%が女性でサラリーマン家庭の主婦が多いです。


吉田:連合は今回どうして、3号被保険者の廃止を求めているのでしょうか?


神庭さん:「不公平だから」というのが理由なのですが、1、2、3号でそれぞれ誰が保険料を支払っているか考えていかないといけません。1号は本人または世帯主、配偶者です。2号は事業主と被保険者が半額ずつ折半します。会社員は月々のお給料やボーナスから天引きされています。3号は本人が個別に納付する必要がなくて、配偶者(専業主婦であれば夫)が加入する厚生年金、共済組合などが広く薄く負担しています。最近、共働き世帯が増える中で共働きだと夫も妻も2号として両方保険料を支払わないといけないのに、3号の専業主婦(主夫)だけ1円も払わずに済むのはずるい、不平等という声があるのは確かです。今回の連合の3号廃止提言には、そうしたライフスタイルの多様化も影響しているのではないかな、と思います。


ユージ:この廃止の提言には賛否両論ありそうですね。


神庭さん:「廃止したらますます少子化が深刻化する」「子育てや介護で働きたくても働けない人もいる」「専業主婦世帯は(自宅での育児で)保育園への補助金、税金を節約しているのに叩くのはひどい」といった批判意見の一方で、「さすがに、まるまる免除するのは今時やり過ぎ」「高所得層への優遇策になっているので廃止を支持する」「社会保険は家族形態に対して中立であるべき」などの賛成意見も見られます。「ずるい」「ずるくない」みたいな感情論をぶつけ合っていくと、同じ子育て世帯の中で分断されてしまいます。みんなで足を引っ張り合って平等に貧しくなっても仕方がないので、日本社会全体で豊かになるための建設的な議論をした方がいいと思います。そこで重要になってくるのが「年収130万円の壁」をどうするか?の議論です。


ユージ:神庭さんに何度か説明していただいていますが、改めて130万円の壁について説明をお願いします。


神庭さん:130万円の壁というのは、パートナーの扶養から外れて社会保険に加入して保険料を払わないといけなくなる年収ラインのことです。130万円を超えると3号被保険者でいられなくなり、2号被保険者として自分で保険料を納付する必要が出てきます。パートで働いている3号の主婦(主夫)の方の中には、この130万円の壁にぶつかって手取りが減るのを嫌がって、働く時間を抑える形で就業調整する人が少なくありません。最近、パートやアルバイトも含めて賃上げが進んでいる中で、せっかく時給を上げても130万円の壁を避けてシフトを減らそうという働き控えにつながってしまいます。ただでさえ人手不足なのに、そこでさらに人を雇わないといけなくなり、ますます人手不足のスパイラルに陥っていきます。これは問題だということで、岸田総理も制度を見直す考えを示しています。


吉田:神庭さんは3号被保険者の廃止論について、どう考えてますか?


神庭さん:いくつもある壁の中でも、130万円の壁はとりわけ心理的な影響が大きくて、人手不足の折に国がわざわざ勤労意欲を阻害するような方向に誘導するのはどうなのかな?と前々から思っていました。3号被保険者の制度ができた1986年当時は、サラリーマン男性と専業主婦という家庭が多かったです。専業主婦が離婚したり、障害状態になったりして無年金になったらまずいという問題があって導入された制度で、一定の役割を果たしたとも思います。ただし、そこから大きく時代が変わりました。日経新聞がまとめた内閣府のデータによると、1985年と比べて共働き家庭が1.7倍の1240万人に増える一方で、専業主婦家庭は4割減の571万人にまで減っています。1093万人いた3号被保険者も、直近で763万人まで減ってきています。そろそろ制度のあり方を根本から考え直す時期にきているかもしれません。130万円の壁に関して、「オーバーしたら働き損だよ」とよくいわれています。確かに短期的には手取りが減りますが、厚生年金に入ることで、将来的にもらえる年金や保障が手厚くなるメリットもあります。連合も政府も、いたずらに共働き家庭と専業主婦家庭の対立を煽るのではなく、短期長期のメリット・デメリットも含めて丁寧に説明していく姿勢があるのではないか、と思います。この議論をするときに立場が違う専業主婦の方と共働きの方それぞれに対してリスペクトを持って議論するというのが大事だと思います。


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