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23.06.06

高速道路“有料”2115年まで、無料化にならない背景と、今後の課題
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


「高速道路“有料”2115年まで、無料化にならない背景と、今後の課題」

吉田:2065年までとしていた高速道路の料金徴収期限を50年延長し、2115年までとする改正 道路整備特別措置法などが先月末、参議院本会議で可決、成立しました。神庭さん、まずこのニュースの背景を教えてください。


神庭さん:「償還主義」と言いまして、高速道路の建設費を返し終わったら無料にするのが原則です。法律でも決まっています。この問題を理解するために、少し歴史を遡りますが、NHKビジネス特集の記事《いったいなぜ? 高速道路有料期間は2115年まで延長へ》によると、日本初の有料高速道路は、1963年に開通した名神高速道路で当初は有料期間が25年間。1969年に全線開通した東名高速も23年後には無料化する予定でした。とはいえ、両方とも全然無料になっていません。なぜかというと、返済が進まず政府が期間の延長を繰り返してきたからです。記事によると、今回で10回目の延長になるそうです。


ユージ:そもそもどうして予定通り無料にならないのでしょうか?


神庭さん:その背景にあると言われているのが、1972年、田中角栄政権の時代に導入された料金プール制です。高速道路を路線ごとの独立採算で考えると、都市部に比べて地方の路線では採算が成り立たなくなってしまいます。そのために、全国の高速道路を一体のものと捉えて、1つのプールで収支を計算することにしました。田中角栄さんは『日本列島改造論』を掲げて日本中にガンガン高速道路を引っ張ろうとしていたので、それにかなう方針と言えると思います。ところが、黒字路線の利益を借金返済に当てていればよかったのですが、実際にはどんどん新規の高速をつくる拡張路線にお金が使われてしまいました。料金プール制で高速の整備が進んだ反面、どんぶり勘定で無駄なお金がたくさん使われる副作用も生んでしまったそうです。


吉田:途中で変えていこうという動きはなかったのでしょうか?


神庭さん:借金漬けの自転車操業みたいなやり方は良くない、ということで小泉政権時代の2005年に旧道路公団が民営化されました。一定の効果はありまして、時事通信によると2005年の民営化段階で約38兆円あった有利子債務が26兆円まで減りました。2005年時点では、2050年には借金を返し終わって無料にできるはずでした。ところが、ここでもう1つ問題が浮上します。


ユージ:どんな問題でしょうか?


神庭さん:道路の老朽化による維持・更新の問題です。2012年に起きた中央自動車道の笹子トンネルの崩落事故をご記憶の方も多いと思います。この事故では天井板が崩れ落ちて、9人の方が亡くなりました。これを機にインフラの老朽化対策として巨額の費用が必要になることが判明し、2014年に無料化の期限を15年延ばして2065年にしました。それを今回さらに50年延ばして、2115年になったのが最新の状況です。


吉田:先のこと過ぎて実感が湧きませんが、「2115年」という数字になにか根拠があるのですか?


神庭さん:国会審議では野党議員がこのように質問しています。「借金返済が終了する2115年は、あのドラえもんが生まれたとされる2112年の3年後という22世紀の未来であり、現在予想できる交通システムとはまったく違う未来である、という可能性もあり得ます」「このような将来への負担の先送りが認められるのでしょうか」。これに対して、斉藤鉄夫・国土交通大臣はこのように答弁しました。「2014年から開始した詳細な点検により新たに更新が必要な箇所が判明したことを受け、料金徴収期限を延長することにしております」「新たに判明した更新需要について、2014年当時の老朽化などに関する知見においては、見通すことは困難であったと認識しております」。また2115年まで、という借金返済計画についても、斉藤鉄夫・国土交通大臣は「現時点において、債務の償還に関する試算として適切」と説明しています。


ユージ:「2115年」問題、神庭さんはどうお考えですか?


神庭さん:首都高に限らず、各地の高速道路で老朽化が進んでます。改修は待ったなしなんです。建築資材も高騰しており、メンテナンスには今後もお金がかかり続けます。皆さんが「無料化なんてどうせ無理でしょ」と気づいているのに、政府だけが「いえ、ドラえもんが生まれる頃には、きっとタダにしてみせます!」と言い張っているような状況です。「いつかは無料にする」という幻想を振りまくのはやめて、「すみません、無理でした」とさっさと国民に謝るべきだと思います。そのうえで一刻も早く、永久有料化に向けた議論をスタートさせた方がいいと思います。一方で、問題をややこしくしているのが、固定資産税の扱いです。高速各社は将来の無料化を前提に固定資産税を免除してもらっていて、その額は日経新聞によると5000億円規模にもなるということです。今は「公共の財産だから非課税でいいよ」と優遇してもらっていますが、有料化するなら、その分がコストとして降りかかってきます。高速会社の経営問題にも直結してくるため、もし永久有料化に舵切りする場合、この優遇措置をどうするかも整理が必要になりそうです。


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