23.04.27
教員免許を持たない社会人教員

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
情報社会学がご専門の城西大学 助教、塚越健司さんにお話を伺います。
塚越さんに取り上げていただく話題はこちら!
『教員免許を持たない社会人教員』
吉田:今週火曜日、東京都教育委員会は、今月1日から都内の小学校で1年生の担任をしていた男性が教員免許を取得できていなかったことがわかったため、採用を取り消したと発表しました。男性は『免許取得見込み』として採用されたのですが、今月12日、区の教育委員会が改めて確認したところ、“必要な単位が取れておらず、免許を取れていない”ことが判明しました。このケースでは『免許取得見込み』として採用された人物が、“取得できていなかった”という事例です。一方、今、全国の教育委員会では、教員免許を持たない『社会人経験者』の教員採用が増えているそうなんです。その背景には何があるのか?塚越さんに解説してもらいます。
ユージ:教員免許を持たない社会人を先生に採用する例が、実際、増えているのかどうか?これについてはいかがでしょうか。
塚越さん:まず、民間企業で一定期間働いたり、あるいは、特殊な技能をもつ社会人経験者を対象に各都道府県が教員採用試験の受験資格を与えることになります。これに合格すると『特別免許状』という免許状を与えるということで、教壇に立てるようになるということです。普通は、大学などで単位を取ったりしないと得られない『教員免許(=普通免許状)』というのがあるんですけれども、これがなくても教員採用試験が受けられ、受かって、この『特別免許』を取って、教壇に立つことができるんですね。この『特別免許状』は、“与えられた都道府県だけでしか教壇に立てない”というものになっています。こういった『特別免許状』を取る社会人の方が増えているということなんですね。例えば、広島県は2012年度の教員採用試験から教員免許のない社会人の選考を『工業』と『看護』の科目ではじめまして、それを今年度からは『福祉』の科目でも対象を拡大。同じく今年度から、島根県は高校の『情報科』を、鳥取県も中学の『技術』の科目を追加して、各地で社会人を採用しようとしているということなんですね。
吉田:単純に“教員の数が不足している”ということでしょうか?
塚越さん:そうなんですよね。まず、定年退職する方が増えているという一方で、学校の長時間労働が社会問題化したこともありまして、志望する若者が減少する傾向にあって、人材不足になっています。例えば、文部科学省が2021年に調査したところ、公立の小中高校と特別支援学校で教員が2065人足りず、全体の4.8%に当たる1591校で計画通りの教員配置ができていなかったということがあるんですね。また、文部科学省が2022年11月8日に公表したデータによりますと、2022年度から高校で共通必履修科目となった『情報科』の担当教員は、昨年5月時点で16.3%となる796人が“情報免許をもっていない”ことがわかったんですね。これらのケースでは、別の教科の免許をもっている人が臨時で情報科目を教えることで対応したんですけれども、「それは、よくないよね」ということで、文部科学省も情報の免許をもつ専任の教員の採用を後押ししようとしているんですけれども、実際は難しいということです。なので、そういうこともあって、『特別免除状』を持つ人、つまり、社会人から採用しようという動きを考えている感じなんですね。
ユージ:教員不足を解消するために、どんな対応がされているのでしょうか?
塚越さん:例えば、山口県は今年、『教職チャレンジサポート特別選考』という制度を新設しました。これは大学や短大を卒業したが教員免許を持たない人に向けて、この選考に受かると教員免許を取得するための学費をサポートしますということです。通信などで教員免許を取るためのお金を年間26万円を上限に補助するということで、教員のなり手を増やそうとしています。あるいは、文部科学省は、2025年度から最短2年で小中学校の教員免許を取得できる教職課程を4年制大学に設置する方針も作っていて、学校の先生を増やしていこうといろいろサポートしている感じなんですね。
吉田:特別免許状制度を使うことについて、現場からはどういった声があがっていますか?
ユージ:いろいろな声がありまして、中には批判もあります。例えば、今日お話しした『特別免許状』というのは、学校教育の多様化を目的に1988年に創設されているんですよね。つまり、「いろんな人たちを増やしていこう!社会人を経験した人たちにも学校の先生をやってもらおう!」ということなんですけれども、今見るとですね、現状は、「“教員不足だから穴埋め”という感じで採用しようという動きになっていないか?」と…。そうすると、「ちょっと趣旨が違うんじゃないの?」みたいなことでちょっと批判されているところもあります。また、いろいろな対応はされているんですけれども、やっぱり、根本的な要因は、教職員のなり手が少ないということ。その裏になるのは、先生が非常に激務だということなんですよね。部活の顧問など、非常に忙しい。僕の友達にも高校の教員の方がいらっしゃるんですけれども、「本当に忙しい…」と言っているんですよね。だから、いろんな先生を増やして、今、働いている先生方の負担を減らすということも大事ですし、あとは、やっぱり、待遇をよくすることに国が動いていって、改善されればですね、自然となり手が増えていくのかなと思うので、その辺も考えていただきたいなと思いますね。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) April 27, 2023
『教員免許を持たない社会人教員』について
今朝は塚越さんに、教員免許を持たない「社会人経験者」の教員採用が増えている背景について解説していただきました。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) April 27, 2023
家庭環境や発育スピードが違うたくさんの子ども達を一人で見なくてはいけない、学習指導要領に沿って授業をしなければならない、部活動や生徒のメンタルケアなど…
人員不足などが要因だと思いますが、これではあまりにも負担が大きすぎると思います。#ワンモ
#ユジコメ③?よって、僕はこの制度には賛成の立場です。
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) April 27, 2023
教員免許がなくても、得意分野を活かして教えることができる人材を見抜いて、スポット的に採用するのはアリだと思います。?#ワンモ
#ユジコメ④
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) April 27, 2023
何よりもまずは、現在教員免許を持っている先生方の労働環境の改善と、仕事に見合った給料がいちばんの願いです。結果的に子どもたちの未来にもつながることだと思うので、ぜひ改善してほしいと思いました。?#ワンモ