23.04.18
75歳以上の公的医療保険料の段階的な引き上げについて

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は「BuzzFeed Japan」編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。
【75歳以上の公的医療保険料の段階的な引き上げについて】
吉田:一定収入のある75歳以上の公的医療保険料を段階的に引き上げる健康保険法などの改正案が13日、衆議院本会議で賛成多数により可決され、衆議院を通過しました。神庭さん、まずはこのニュースの概要を教えてください。
神庭さん:後期高齢者の医療費負担について、一定以上の収入がある75歳以上の人たちに負担増を求める内容になっています。保険料には上限があって、現状は66万円ですが、今後2年かけて80万円まで引き上げます。対象となるのは、年収153万円を超える人たちで、75歳以上の4割、約700万人ほどが該当するといわれています。厚労省の試算によると、保険料負担の増加幅は、年収200万円の人で年3,900円、年収400万円で年1万4,000円、年収1100万円なら年13万円となります。
吉田:引き上げの背景は何でしょうか?
神庭さん:高齢化で医療費が膨らむなかで、現役世代の負担は限界に達しつつあり、75歳以上の後期高齢者の当事者であっても、ある程度負担してもらおうという考え方です。また、子どもが生まれた時に支給される「出産育児一時金」もこれまでは現役世代が負担してきましたが、一部を後期高齢者医療費から賄えるようにします。医療も福祉も、若い世代、現役世代が高齢者を支えて仕送りをするという一方通行ではなくて、逆方向からも支えられるようにする全世代型社会保障の一環と言えるかなと思います。
ユージ:これは賛否が分かれそうですね。
神庭さん:国会では、自民・公明・国民民主の賛成多数で可決され、立憲民主、維新、共産、れいわは反対に回りました。負担増を求める年収153万円は、月額ベースに直すと12万7500円。SNSでも、「生活保護を受給できるレベルの高齢者に負担増を求めるのはどうなのか?」「インフレで大変なのに、ギリギリの人たちから搾り取るのか?」という声は出ています。
ユージ:確かにそうですね。一方で、苦しいのは現役世代も一緒という見方もありますよね。
神庭さん:国民負担率といって、個人や企業の所得に対して税金や社会保障の負担がどれくらいになるかを示す指標があります。この国民負担率、1975年度には25.7%だったんですが、高齢化を背景に増加を続け、1990年度に38.4%、2021年度には過去最大の48%に達しました。所得の半分近くが税金や社会保障費で強制的に徴収されるというのは、現役世代にとっては大きな痛手ですよね。石川啄木は《はたらけど はたらけど 猶(なほ)わが生活(くらし)楽にならざり ぢっと手を見る》と詠いましたが、半分持っていかれたら楽にならないのも当たり前という感じがしますよね。
ユージ:所得の半分をもっていかれたら、さすがに「どうなの?」と思っちゃいます。
神庭さん:実は、ヨーロッパや北欧諸国は軒並み日本より国民負担率が高くて、日本はOECD加盟国のうち25位なので、国際的に見るとべらぼうに高いわけではないんです。ただ、高福祉・高負担の国と単純比較することはできないとは思っていて、たくさん取られても、そのぶんだけ見返りがあって将来も安泰ですよね、社会保障制度がしっかりしていますよね、というなら分かるんですが、日本はそうなっていないところが問題かなと思います。
吉田:今回の保険料引き上げについて、神庭さんはどう見ていますか?
神庭さん:年金、医療など公的部門を通じた受益と負担を考えると、現役世代と高齢世代の間では、差し引き1億円の世代間格差があると言われています。だからこそ、全世帯型社会保障という考え方自体は大賛成ですし、どんどん進めてほしいと思っています。余裕のある高齢者に、応分の負担を求めるのも当然のことだと思うんです。問題は、年収153万円を「余裕がある」と言えるか?という部分です。負担能力の判定方法がザルだから反発が出てしまいます。年収という形でフローだけに着目しているんですが、年収0円で1億円の資産がある人もいるし、資産や貯蓄がなく、年金だけでカツカツの人もいるわけです。フローだけでなくストックも見て、そのうえで本当に余裕のある高齢者の方には、今回の引き上げ以上にもっと負担を求めていいのではないかと思います。
ユージ:計算についてはちょっと考え直してほしいと思いますね。年収153万円って正直、余裕があるとは言いづらいですよね…。
神庭さん:政府による再分配というのは、格差を縮めるためにあるんですけれども、実際はシルバー民主主義のもとで世代間格差を押し広げる方向の施策がとられ続けてきました。日経新聞によると、今回の保険料引き上げで現役世代の負担は年800億円ほど抑制されるということです。800億円というと「おー凄い!」と思うかもしれませんが、1人あたりに直すと、年間たったの1000円分にしかならないんです。現役世代の負担感を考えると、ほとんど焼け石に水の状況です。世代間の公平性を考慮して、真の意味での「全世代型」社会保障を作っていく必要があると思います。一方で、誰でもいつかは高齢者になるわけですから、世代間の対立を煽るのではなく解消していくために、乗り越え、支え合っていくことが大事かなと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) April 18, 2023
『75歳以上の公的医療保険料の段階的な引き上げ』について
僕が疑問に思ったポイントは、75歳以上で年収153万円を超える人たちが保険料の負担増を求められるほど余裕があると言って良いのか?この年収を対象に負担額を増やして良いのか?ということです。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) April 18, 2023
ヨーロッパや北欧諸国は国民負担率が日本より軒並み高く、日本は国民負担率がOECD加盟国(38カ国)のうち25位と、国際的に見ると特別高いわけではありませんが、国民への見返りが少ないと言われています。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) April 18, 2023
負担率を上げるのであれば、それ相応の福祉や金銭的な見返りがないと国民の不満が募ってしまうので、福祉と負担とのバランスをどう保てるかが重要だと思いました。#ワンモ