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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

23.04.17

競争が激化するネットスーパー
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は「BuzzFeed Japan」編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


【競争が激化するネットスーパー】

吉田:競争が激化しているネットスーパー市場ですが、先日、イオンはネットスーパー専業大手のイギリス オカド・グループと業務提携し、新たなネット事業をこの夏に始めると発表しました。乱立するネットスーパーとは一線を画すスタイルということですが、まずは具体的な営業スタイルについて教えてください。


神庭さん:イオンはすでに「イオンネットスーパー」というサービスを展開していますが、それとは別に「Green Beans(グリーンビーンズ)」という名称の新サービスを夏に始める予定です。生鮮食品や日用品など5万点の商品を千葉の大規模倉庫に揃え、前日の夜8時までに注文すると、翌日の朝7時から夜11時まで1時間刻みで配送してくれるということです。東京・千葉・神奈川の一部エリアが対象で、1年をめどに東京23区全域、5年以内に1都3県に拡大することを目指しているそうです。


ユージ:どのあたりが新しくて、他のネットスーパーとの違いがあったりするんでしょうか?


神庭さん:一番大きな違いは、これまでのサービスは最寄りの店舗から商品を出荷していましたが、Green Beansは拠点となる大型倉庫から配送するということなんです。最寄り店舗からの出荷だと、時間がかからず届くメリットがある反面、店頭に在庫がないものは欠品になったり、代替品が届いたり、ということがままあったわけです。その点、倉庫からの配送であれば商品数も豊富で欠品率を下げることができます。店舗でのピッキングは結構な手間がかかり、従業員の負担になっているんですが、千葉の倉庫ではイオンが提携しているイギリスのネットスーパー オカドの集荷ロボットを導入しています。東洋経済などによれば、倉庫内ではAIを搭載した1000台のロボットが24時間フル稼働するそうです。お客さんから注文が入ると、ロボットが6分ほどで50個の商品をピックアップ。一般的な店舗に比べ10倍もの効率を実現したということです。


吉田:他にはどうでしょうか?


神庭さん:日経新聞によると、従来のイオンネットスーパーの配達時間が午前10時から夜9時までの2時間刻みなのに対して、Green Beansは朝7時から夜11時までの1時間刻み。商品を受け取るために家で待機しないといけない時間が減り、朝の出勤前や夜遅く帰宅してからでも受け取ることができるということなので、忙しい人や共働き世帯などには嬉しいサービスではないかなと思います。また、イオンネットスーパーは最低注文金額が税抜きで700円ですが、Green Beansは4000円。まとめ買いを促し、1回当たりの買い物の単価を上げたいのではないかなという狙いも感じます。その点で、もう一つ興味深い機能があるんです。


ユージ:どんな機能ですか?


神庭さん:「スマートカート」という機能で、AIが過去の購買データをもとに、定期的に購入している商品や、必要そうな商品をオススメしてきてくれて、1クリックで買い物カゴに放り込んでくれるんです。そこから引き算で、いらない商品を削っていくイメージ。「あれ買って、これ買って…」の足し算的な普通の買い物とは正反対ですね。これは「早く決められて便利」という人と、「おせっかいで鬱陶しい」という人とで意見が分かれるかもしれません。イオンのネットスーパー事業はハイペースで成長を続けていて、昨年2月期の売上高が750億円規模になったんですが、2031年には、売上を8倍の6000億円まで引き上げることを目指しています。Green Beansがその起爆剤になるかどうか注目ポイントです。


吉田:最近、ネットスーパーを利用する人が増えていますが、イオン以外の他社の状況はどうでしょうか?


神庭さん:セブン&アイ・ホールディングスもイトーヨーカドーネットスーパーの大型拠点を横浜に開設予定です。楽天が西友やベイシア、いなげや、大阪屋ショップと組んでネットスーパーのサービスを提供したり、Amazonがライフコーポレーション、成城石井、バローホールディングスと提携したり、はたまた直営で「Amazonフレッシュ」を展開したりと、ネットスーパーの世界で大手ITプラットフォーマーの存在感が増してきているんですね。


ユージ:メリットもいろいろあると思いますが、課題はあるんでしょうか?


神庭さん:そもそもスーパーという業態自体、営業利益率が低いといわれています。ネットスーパーをやろうとしたら、そこにさらにコストが乗っかってきます。「ネットスーパーは儲からない」とも言われているんですね。先ほどのイオンのGreen Beansの例だと、倉庫のなかの商品のピッキングはロボットを使って自動化できるわけですが、店舗からではなく拠点の倉庫から遠方に配送するとなると、その分輸送コストは上がります。自動化で減るピッキングのコストと、膨らむ輸送コストをどうやってバランスするかが工夫のしどころだと思います。物流の2024年問題が叫ばれるなかで、ドライバーをいかに確保するか、燃料価格の高騰を考えると、今後配送料の値上げも懸念事項としてあります。環境負荷の問題もありますよね。とは言え、多忙な子育て世帯や共働き世帯、近くにスーパーがなくて買い物難民化している高齢者の方などいらっしゃいますから、ネットスーパーの潜在的な需要が大きいのは確かなので、こういった課題と向き合いながら、どうやってマネタイズするか、収益化していくか、その道を模索していってほしいなと思います。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。





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