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23.03.14

放送法をめぐる文書、その問題点とは?
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。今日は「BuzzFeed Japan」編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。神庭さんが注目した話題はこちらです。


【放送法をめぐる文書、その問題点とは?】

吉田:高市早苗経済安全保障担当大臣は9日の参議院内閣委員会で、放送法の「政治的公平」に関する行政文書について「明らかに正確ではないと断言できる」と重ねて主張しました。神庭さん、この問題はずっと続いていますが、改めて教えてください。まず、議論の中心になっている「放送法」について。


神庭さん:放送の「健全な発達を図る」ことを目的とした法律です。《不偏不党であること》《政治的に公平であること》などと定められています。政府の旧来の解釈では、政治的公平の判断にあたっては、1つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断する、とされてきました。ところが2015年、当時の高市総務大臣が国会で、旧来の政府解釈から一歩踏み込むような答弁をして話題になったんです。


吉田:どんなことを仰ったんでしょうか?


神庭さん:1つの番組だけであっても、選挙期間などにことさら特定の候補者ばかりを取り上げたりするような場合には「一般論として、 政治的に公平性であることを確保しているとは認められない」と述べました。解釈変更ではなく、あくまでも「補充的な説明」という建前はとっていますが、戦後の放送行政のなかで、1つの転換点となる答弁だったことは間違いないと思います。


吉田:その答弁と、今回の文書がどう関係してくるんですか?


神庭さん:3月2日に、立憲民主の小西議員が公表した総務省の内部文書なんですが、この文書には答弁の舞台裏での政治家と官僚の攻防が非常に生々しく記録されているんです。主役は高市さんというより、安倍政権下で総理補佐官を務めていた礒崎陽輔元参院議員。文書によれば、礒崎さんは「全体で見る」という総務省の解釈について「逃げるための理屈」「1つの番組でも明らかにおかしい場合がある」と指摘。総務省の官僚たちがたびたび礒崎さんに説明に行くんですが、虫の居所が悪かったのか、「補佐官はご機嫌が悪かった」とか、「激高する結果になった」という記載もあるんです。


ユージ:確かにそれは生々しいですね。


神庭さん:解釈変更に慎重な山田真貴子総理秘書官が、礒崎さんについて「今回の話は変なヤクザに絡まれたって話」と辛辣にディスるような記述も出てくるんです。ほかにも、高市さんが「そもそもテレビ朝日に公平な番組なんてある?」と言ったような記述もありまして、ちなみに高市さんは国会で否定していて「テレビ朝日を否定するはずもない。私は羽鳥アナウンサーの大ファンなので。」と言っているので一応補足しておきます。ほかにも礒崎さんが「サンデーモーニングはコメンテーター全員が同じことを述べている。明らかにおかしい」と発言したとか、具体的な番組名、固有名詞もバンバン出てくるんです。
一番スリリングなのは、総務官僚が礒崎さんに対して「安倍総理に話す前に当時官房長官だった菅さんの耳にも情報を入れたらどうか?」と提案する場面。礒崎さんは激怒して「何を言っているのか分かっているのか。これは高度に政治的な話。官房長官に話すかどうかは俺が決める話。局長ごときが言う話ではない」「俺の顔をつぶすようなことになれば、ただじゃあ済まないぞ。首が飛ぶぞ」とまで言っているんですね。行政文書で、ここまで踏み込んだ内容、メモというのはなかなかお目にかかれないかなと思います。


ユージ:山田秘書官が言ったという「変なヤクザに絡まれたって話」がありましたけど、神庭さんは今回の放送法をめぐる文書の問題、どうお考えですか?


神庭さん:3つの論点があって、まず1つ目は公文書管理の話。立憲民主の小西議員がこの文書について質問した時、高市さんは「捏造だ」と反論して、まずこの文書が本物かどうかという真贋論争からスタートしなければいけませんでした。結局、あとになって総務大臣が「すべて総務省の行政文書だ」と認めましたが、最初からきちんと公文書として適切に保管・管理してあれば、真贋論争に無駄な時間を割かなくてもすみました。
2点目は議論の焦点が「高市さんの去就」にスライドしてしまったことです。小西さんに「仮に捏造でなければ、議員辞職するか」と追及されて、高市さんは、売り言葉に買い言葉なのか「結構だ」と言ってしまいました。これは答弁の仕方として少し稚拙だったと思うんですよね。仮に文書に捏造があったとすると、そんな捏造を許した責任の一端は、当時総務大臣だった高市さん自身も負うことになります。もしそうなら公文書偽造で刑事告発した方がいいと思うんですね。「放送法問題」よりも「高市さんの進退」の方が注目度が高いので、結果として大きな話題になって、高市さん側から見ても、敵に塩を送ることになってしまったのではという気がします。


ユージ:なるほど。放送法の解釈とはそもそも違う話ですもんね。3つ目の論点は何ですか?


神庭さん:これが本題ですが、放送のあり方について。かなり、イデオロギッシュな問題になってきてしまっているんですが、大前提として、表現の自由を歪めるような公権力の介入や検閲は許されません。じゃあ番組単位であればどんなに偏っていてもいいのか?と言われれば、それも違うと思うんです。たとえば、選挙の投開票日前日に総理がゴールデンタイム1時間出ずっぱりで特番に出演したら、仮にほかの番組でバランスをとったとしても、ちょっとどうなの?という話になりますよね。そもそも、現代の視聴者は放送局単位で視聴するというより、バラバラに切り離された状態で番組ごと、コーナーごとに視聴している人も少なくないです。不偏不党、バランスというのは、わざわざ国に言われるまでもなく、いい番組をつくるため、視聴者のために放送事業者が自主的に目指すべきものなんじゃないかなと思います。


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