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23.03.06

被災地の沿岸部での子どもの人口減少が加速。被災地の活力はどう復活させるべきか?
nullネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。

今日は「BuzzFeed Japan」編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。神庭さんが注目した話題はこちらです。


被災地の沿岸部での子どもの人口減少が加速。被災地の活力はどう復活させるべきか?

吉田:今週土曜、3月11日に東日本大震災から12年を迎えます。そうしたなか、東日本大震災で大きな被害を受けた岩手・宮城・福島3県の沿岸部で、子どもの人数が急速に減っていることが、最新の国勢調査の結果からわかっています。震災前の2000年の段階では、14歳以下の子どもの比率が15.5%で九州・沖縄に次ぐ高さだったのが、2020年には11.3%にまで減少しているということなんです。


ユージ:少子高齢化が全国的に加速しているとはいえ、かなりの減少幅ですよね。


神庭さん:そうですね。少子化自体は震災前からの全国的な傾向ですけれど、比較的ましな方だった3県の沿岸部で子どもの人口が急激に落ちているのは、やはり震災の影響が大きいんですね。津波被害を受けての移転、原発事故を受けての避難など、直接・間接の影響で、若年層や子育て層が流出したとみられています。
さきほどから被災3県と一括りにしてお話していますが、岩手・宮城・福島の3県のなかでも状況はまばらで、深刻度には差があります。とうほう地域総合研究所の調査リポート「福島の進路」によると、2010年から2021年の間に福島県全体の人口は205万人から186万人に9.2%の減少、岩手県も134万人から122万人へ、同じく9.2%と大きく減少しています。一方で、宮城県は232万人から228万人と2.0%の小幅減で踏みとどまっています。


ユージ:たしかに、かなり違いがありますね。


神庭さん:宮城に関しては、東北最大の都市・仙台がありますので、働き口も比較的多く、「ミニ東京」のような形で周辺から若年層や女性を引き寄せることができています。それに比べると、津波の被害が大きかった地域や原発事故の避難区域だったところなどは復興が遅れていて、働き口がないので若者がいなくなり、高齢者の単身世帯や夫婦だけの世帯が増えているということです。


吉田:子どもの人口が減ることで、地域にどんな悪影響が考えられますか?


神庭さん:子どもが減ると、小学校や中学校は統廃合になります。人口が減ってスーパーや病院がなくなったり、バス便やローカル線が維持できなくなったりすることもあるので、子育て世帯が住みづらくなり、ますます流出が加速してしまう…という負のスパイラルに陥ります。


ユージ:そうですね。他にも何か課題ありますか?


神庭さん:産業構造の変化にも目を向ける必要があると思います。朝日新聞の《東北被災3県、若い女性の人口減続く》という記事によると…
漁業や農業など一次産業の担い手が激減しているそうなんですね。復興需要によって一時的に建設業に携わる人が増えましたが、ひとしきり復興のための工事が終わると急減してしまいました。観光客は回復しておらず、宿泊業、飲食業も減少の一途で、雇用を吸収できるような産業の創出が急務になっています。
そして皮肉なことに、急激な高齢化が進むなかで、介護の現場は深刻な人手不足に陥っています。毎日新聞は一昨年の記事で、福島県社会福祉協議会の担当者のこんな声を紹介しています。
「労働力になる若い世代が避難先で定住し、流出したのが大きい。帰ってくるのは高齢者が多く、むしろ介護施設の利用者になるような人たちだ」
「被災地はどこも人手不足で賃金が高いが、介護保険下で基本的な給与が決まっている介護現場は給与水準が相対的に低く、ますます人が来ない」…ということなんですね。


ユージ:うーん。これはどう対策したらいいんでしょうか?


神庭さん:はい。先月「東京一極集中」について特集した時にもお話したんですが、仕事のあるところ、お金のあるところに人が移動すること自体は当たり前のことで、地方に若い人の働き口がないことが最大の問題ですので、「故郷を捨てるんですか?」みたいな感情論を持ち出しても意味がないんですね。「復興」の名のもとに、必要性の薄い工事や公共事業を行なっていないか?というのを、フラットな視点で見返すことも重要だと思います。一過性で建設需要が生まれても、事業が終われば人はいなくなってしまうので、それよりは、地域に産業を生み出し、次世代にもつながっていくような、生きたお金の使い方をしてほしいと思います。その意味で注目しているのが、4月に発足する福島国際研究教育機構(F-REI エフレイ)です。


吉田:これは、どういったものなんですか?


神庭さん:福島や東北の復興を促し、日本全体の競争力をアップさせるために、国が福島県浪江町に設置する研究教育機関です。ロボット、農林水産業、エネルギー、放射線科学、創薬医療などの5分野で、研究開発や産業化、人材育成、司令塔機能を担います。日経新聞によりますと、2023年度から7年間の予算規模は合計約1000億円。2029年度までに、研究者と職員あわせて600人体制の組織を目指しているということなんですね。こちらは、補助金ありきの大盤振る舞いにならないよう、すでにある研究と新規の投資対象とをしっかりと整理したうえで、将来的な被災地の雇用や、日本のイノベーションにもつながるような有益なプロジェクトにしていってほしいな、と思います。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。





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