23.02.20
連日報道されている中国の偵察気球問題

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は「BuzzFeed Japan」編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。
【連日報道されている中国の偵察気球問題】
吉田:アメリカと中国の間に起きている「気球騒動」。2月4日に1つの気球を、その後も飛行物体を撃墜したのが、そもそものはじまりでしたが、日本の防衛省は九州と東北で確認された3件の飛行物体が中国の無人偵察用気球だと強く推定されると14日に発表しました。これを受ける形で、中国外務省は15日までに、米国の主張に追随しないよう日本を繰り返しけん制。日中関係の新たな火種となる可能性も出てきています。神庭さん、改めて問題の経緯について教えてください。
神庭さん:アメリカは今月4日、南部サウスカロライナ州沖で中国の気球を撃墜しました。映像解析や、回収した残骸の分析結果などから通信傍受用のアンテナやセンサー、太陽光パネルなどを積んでいたことが明らかになりました。アメリカ側は、中国が主張するような気象観測用の気球ではなく、偵察用のものだとみているんですね。これ以外にも10日にアラスカ、11日にカナダ、12日にミシガンで、相次いで飛行物体を撃墜してます。ただ、CNNによると、サウスカロライナ以外の3つの飛行物体に関しては、中国に関係しているという証拠はないそうです。バイデン大統領は「これらの3つの飛行物体は民間企業や娯楽、あるいは気象調査やその他の科学調査を行う研究機関のものである可能性が高い」と話しています。
ユージ:いろいろ言われていますが、4日に撃ち落とされた気球に関して、中国側の狙いは何だと思いますか?
神庭さん:ワシントンポスト報道によれば、気球は中国の海南島で打ち上げられ、その段階から米軍と諜報機関がモニタリングしていたそうです。中国の人民解放軍はこれまでにも、グアムやハワイ上空に偵察気球を飛ばしていましたが、今回は強風の影響で北に流され、アメリカ本土やカナダへ突入していったそうです。これだけ聞くと「わざとではなかった」という話になりそうですが、本土じゃなくてグアムやハワイなら偵察してOKというわけでもないですよね。アメリカ本土に流された後もモンタナ州の核ミサイル施設周辺を飛んだりしているので、中国側が完全にコントロールを失ったわけではなく、「風にあおられた」という偶然をうまいこと利用して、偵察を続行していた可能性も指摘されています。
吉田:そうしたなか、気球は日本にも飛来しているとのことですが…。
神庭さん:少なくとも3年以上前から飛んできていて、2019年11月に鹿児島、2020年6月に宮城、2021年9月に青森の上空で飛行物体が確認されていました。その当時は防衛大臣も「安全保障に影響はない」と発言していて、ある種、軽視されていたんですね。ところが今月14 日、防衛省は「更なる分析を重ねた結果」として「当該気球は、中国が飛行させた無人偵察用気球であると強く推定される」という見解を発表しました。
吉田:そもそも、偵察衛星などもあるのになぜ今ごろ気球なのか?というところも気になりますよね。
神庭さん:確かに気球は衛星に比べればローテクですが、そのぶんコストは安く大量生産もしやすいというメリットがあります。撃墜された時のダメージも小さいですし、無人なので人的被害もありません。朝日新聞は防衛省関係者の声として「人工衛星では困難な、地上近くを飛び交う電波情報を収集したのでは」という見方を紹介しています。そうやって平時から電波情報を収集することで、何かあった時に、いち早く自衛隊や米軍の動きをキャッチしようとしているのかもしれませんね。
ユージ:日本に飛んできたら、撃ち落としていいのか?というところも議論になっていますよね。
神庭さん:政府は最近、武器使用の要件を緩和し、外国の無人の気球などが日本の領空に侵入してきた時に、武器を使って撃墜できるような新基準を発表しました。自衛隊法の84条は、外国の航空機は領空に侵入した際に、《これを着陸させ、又はわが国の領域の上空から退去させるため必要な措置を講じさせることができる》と定めているんですね。どんな時に「必要な措置」をとれるかというと、「正当防衛」と「緊急避難」の場合に限定される、というこれまでの運用だったんです。ただ、戦闘機ではなく無人の気球を相手にした時に「正当防衛」「緊急避難」が当てはまるかというと微妙なので、基準を緩和したわけです。
ユージ:気球への対応、神庭さんはどう思いますか?
神庭さん:何も言わなければ、「どうぞご自由に偵察してください」という話になってしまうので、対外的に「場合によっては撃ち落とすぞ」と示すことは僕は重要だと思います。一方で、自衛隊法を字義通りに解釈したときに「上空から退去させる」という言葉から「撃墜」という結果を導き出すのはちょっとしんどい感じもするんですね。一時的には運用の緩和で対応できるのかもしれませんが、近々で自衛隊法の改正も含めて検討すべきではないかと思います。また、どうやって軍用気球と民生用を見分けるのか?という技術的な問題も残ると思います。世界最新鋭の装備を誇る米軍ですら、4発中3発は軍用ではないものを撃墜してしまっている可能性があるわけです。そこの精度をどうやって高めるのか、誤射のリスクを下げるのか、という部分は課題として残っているのかなと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) February 20, 2023
テーマは「連日報道されている中国の偵察気球問題」
アメリカは何度も侵入してくる中国の気球を、
民間の気象観測用ではなく、偵察用のものとみて、相次いで撃墜しました。
僕は正直、今回の件でアメリカは何も悪いことはしていないと思っています。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) February 20, 2023
なぜならアメリカは、未確認飛行物体を見かけたからといって
すぐに撃墜したわけではなく、警告もして、それに応答がなく、
無人であることを確認して撃墜に至っている。
一度ではなく何度も領土内に入ってくる中国の気球を
アメリカ側もずっと見逃すわけにはいきません。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) February 20, 2023
僕は、中国が何度も侵入し追撃されるのを繰り返すことで、
どんな状況になればアメリカは追撃してくるのか…
そのデータを集めているのでは?と考えてしまいます。
となると、今後も日本で同じようなことが起こる際には
厳しい対応を取っていく必要があるのではないでしょうか。#ワンモ