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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

22.11.29

電力会社が大幅値上げを申請、その背景について
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
引き続きコメンテーターは、BuzzFeed Japan編集長の、神庭亮介さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!


電力会社が大幅値上げを申請、その背景について

吉田:東北電力は24日、大半の一般家庭が契約する規制料金で平均32.94%の大幅な値上げを経済産業省に申請したと発表しました。神庭さん、改めて、なぜ値上げが必要なのか教えて下さい。


神庭さん:世界的に石炭や天然ガスなどの燃料費が高騰していることが一番の要因です。ここ数年、脱炭素シフトでエネルギー価格が高騰する「グリーンフレーション」が広がっていましたが、ウクライナ情勢の悪化がさらに拍車をかけました。燃料価格の上昇を電力会社がいよいよ吸収しきれなくなり、値上げの申請に踏み切った形です。


ユージ:当然、東北電力だけの話ではないんですよね?


神庭さん:東北電力に続いて、中国電力も25日、家庭向けの規制料金で平均31.33%の値上げを申請しました。このほかに東京電力、北陸電力、四国電力、沖縄電力も値上げ申請に追随する見通しです。一方、北海道電力、中部電力、関西電力、九州電力の4社は現段階では規制料金の値上げを表明していません。関電や九電では原発の再稼働が進んでおり、化石燃料の値上がりの影響が相対的に小さく抑えられるなど、電力会社ごとの事情もあります。


吉田:「規制料金」というのは、何なのでしょうか?


神庭さん:電気料金のプランは国が認可する「規制料金」と電力会社が自由に決められる「自由料金」の大きく2つに分けられます。8月にも解説しましたが、火力発電に必要な原油や天然ガス、石炭の輸入価格の変動に応じて、毎月の電気料金を調整する「燃料費調整制度」という仕組みがあります。そして、規制料金の方は、青天井で電気料金を上げられないように、基準となる燃料価格の1.5倍までは価格転嫁できますが、上限を超えた場合は電力会社が自腹を切って損をかぶることになります。ところが各社、その上限に到達してしまい、発電にかかるコストが電気料金を上回る「逆ざや」状態に陥ってしまいました。それを解消して規制料金に転嫁できるようにするのが今回の申請の狙いです。


ユージ:中には自由料金プランの方もいますよね?そちらはどうなるんですか?


神庭さん:自由料金の方は国の認可なしに電力会社の裁量で変えられることもあって、規制料金に先んじて、既に値上げの動きが進んでいます。もともと自由料金は、「電力自由化でお得になる」という触れ込みで広がってきたわけですが、一時的に規制料金よりも自由料金の方が割高になる逆転現象が起こっています。来春に規制料金の値上げが認められれば、自由料金とのねじれ現象も解消されるかもしれませんが、それまでは規制料金に乗り換えた方が相対的にお得になる可能性もあるので、契約している電力会社によく確認してみてほしいです。


吉田:規制料金の方の審査はどうなりそうですか?


神庭さん:東北電力は東日本大震災を受けて2013年にも値上げをしていますが、朝日新聞によると、その時は11.41%の値上げ申請に対して認められたのが8.94%でした。あれだけの大災害があっても満額回答ではなかったです。なので今回も30%超の申請がそのまま通るとは限らないです。何なら、その辺も見越して最初からバッファー含めて少し高めの球を投げている、まであり得ます。人件費の削減含めコストカットを極限までやった上で、「それでも仕方ないから上げてくれ」という話でないと国民としても納得できません。経産省もそこは厳しく見ると思います。


ユージ:今回の電気料金の大幅値上げについて、神庭さんはどう見ていますか?


神庭さん:先月、政府が決定した総合経済対策では、光熱費やガソリン代などエネルギー関連支援に総額6兆円を投じ、標準世帯で1家庭あたり4万5000円ほどの支援効果があるということです。岸田総理は電気代を2割引き下げると言っていますが、電力会社の要求通り3割上がるとすると、ぜんぶ帳消しになってしまいます。逆に政府の補助があることで、「だったらいいよね」とばかりに電力会社が過大な値上げ要求、便乗的な要求をしていないか?というのは、よくよくチェックする必要があると思います。中部電力、中国電力、九州電力、関西電力がカルテルを結んでいた疑いがあるとして、公正取引委員会は立入検査を進めてきました。このうち中部、中国、九州の電力3社には独禁法違反で数百億円の課徴金を命じる方針だと報じられています。カルテルで私腹を肥やしながら、国民には電気料金値上げという形でツケ回しをするというのは許されないので、そこはしっかりウミを吐き出してほしいと思います。


吉田:「補助」という形は適切なのでしょうか?


神庭さん:物価高、エネルギー対策自体は必要ですが、その方法や出口戦略はしっかり考えるべきです。今回の補助金のように、いったん税金を集めてからお金をバラまくというのが政府のいつもの進め方ですが、そうであれば最初から税金を下げる方が事務手続きのコストも減らせてスマートです。特に物価高対策であれば、期間限定で消費税を下げる方がわかりやすく即効性があるのではないかと思います。


ユージ:エネルギーの問題に関しては自由電力もありますし、今後どういう風に変わっていくのか注目ですね。



そして、今日の #ユジコメ はこちら。







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