22.11.15
そごう・西武の売却

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は「BuzzFeed Japan」編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。
【そごう・西武の売却】
吉田:「セブン&アイ・ホールディングス」が今月11日、傘下の百貨店「そごう・西武」をアメリカの投資ファンド、「フォートレス・インベストメント・グループ」に来年2月1日に売却すると発表しました。神庭さん、今回の売却の背景には何があるのでしょうか?
神庭さん:百貨店業界の再編で、そごう・西武は2006年にセブン&アイ傘下に入りました。しかし、その後も伸び悩み、今年2月期は10年前から売り上げが半減してしまいました。3期連続で赤字を計上するなど経営が低迷していたんです。2007年段階で28あった店舗数も直近では首都圏や広島、福井など10店舗まで減ってしまいました。そんななかで、セブン&アイの株主からは、稼ぎ頭のコンビニ事業に注力するように求める声が強まっていて、セブン&アイは今年に入ってから売却手続きを進めていたというのが背景になります。
吉田:近年ではヨドバシカメラ自体が、家電だけではなく、いろんなものを売っていて、ある意味“百貨店化”しているような気もします。ヨドバシカメラと連携することで、どうなっていくんでしょうか?
神庭さん:読売新聞が関係者への取材をもとに報じたところによると、ヨドバシが西武池袋本店や西武渋谷店、そごう千葉店の一部を取得する案が出ているそうです。特に西武池袋本店に関しては、ヨドバシが建物のほとんどを取得するとみられているということです。朝日新聞は「旗艦店である西武池袋本店は、地下1階から4階にヨドバシカメラが入る案が浮上している」と書いているんですね。あくまでも「デパート」「百貨店」という枠組みでいくのか、有楽町そごうが撤退して、ビックカメラが入ったように、家電に振り切った形になるのかは、まだよくわからないんです。
吉田:課題はなんでしょうか?
神庭さん:西武池袋本店の1階には現状、エルメスやルイ・ヴィトン、ロエベ、グッチが入っています。仮にヨドバシが1階に来た場合、お店のたたずまいは激変しますよね。ハイブランドが上層階に移るのか、ヨドバシと同居するのか。シャワー効果といって、上層階にレストランや書店など客寄せ的なテナントを入れると、そこからシャワーのようにお客さんが降ってきて、お店を回遊しながら「ついで買い」してくれる、というのがひとつの定石としてあります。ヨドバシが上層階に入るならシャワー効果は十分だと思いますが、報道の通り「地下1階から4階にヨドバシが入る」ということになると、お店全体としてどんな統一感、コンセプトで展開していくのか気になるところです。あとは従業員の雇用がどの程度、維持されるのかも注目したいですね。
ユージ:いい悪いは別にして、イメージの問題もありますよね。歴史ある「そごう」「西武」だからこそ買いに行く、という人も結構いるんじゃないかなと思います。
神庭さん:歴史を振り返ってみると、そごうの創業は1830年。呉服店から始まった老舗で、1990年代には売上高日本一の百貨店グループになっているんです。2000年に多額の負債を抱えて、一旦、破綻しています。一方の西武は「武蔵野デパート」として1940年に開業して、戦後、西武百貨店に社名を変えました。糸井重里さんの「おいしい生活」というキャッチコピーが有名ですよね。1980年代には、パルコやロフトといったグループ企業も含めた「セゾン文化」が花開きました。ファッションやトレンド、ライフスタイルの発信基地として多くの若者に親しまれたんですが、バブル崩壊後に苦境に陥り、2003年に私的整理になってしまいます。セブン&アイのもとでの再生を目指してきましたが、それも限界を迎え、今回の売却劇になってしまったんですね。
吉田:デパート・百貨店の苦境はずっと言われていますよね。やはりネットショッピングなどが浸透し、買い物スタイルも変化したということでしょうか?
神庭さん:ネット通販が一番大きいと思います。わざわざ外に出向いて、リアルで買い物することの意味が薄らいできたと思います。「ショールーミング」といって、店頭で商品や実機に触って確かめた後に、一番安い通販サイトで購入するという消費行動が一般化してきました。あとはファストファッションの広がりも大きいと思います。ユニクロのような高品質で低価格の商品が、身近で簡単に買えます。「ユニバレ」が恥ずかしいとか、もはや誰も言わなくなりましたよね。最後に大衆、中間層が細ってきたことも大きいと思います。そごうや西武は、富裕層だけでなく、中間層も惹きつけるような店づくりで、消費を大衆化してきたんですね。ところが、いまや一億総中流は過去の話で、デパートでブランド物を買っている余裕なんてないよ、という人も少なくないです。こういった要素が相まって、百貨店業界に逆風が吹いているのは間違いないと思います。
ユージ:今回の売却から、見えてくるものは何でしょうか?
神庭さん:今後どうやって生き残りをしていくか、方向性はいろいろ考えられますけど、僕は富裕層向けの外商の販売力を強化するのも一手かなと思っています。日経によると、三越伊勢丹は旗艦2店の売上高の2割を外商が占めるということです。先ほどショールーミングの話をしましたが、丸井はそれを逆手に取って、「売らない店」戦略を推し進めています。店頭で商品に触れ、グループ会社のクレジットカードを使ってネットで買い物してもらう作戦です。そういった他社の成功事例はどんどん貪欲に導入していけばいいんじゃないかなと思います。百貨店はオワコンじゃないかという報道も出ていますが、確かに百貨店全体の売上は1991年から比較すると半減しているんですが、オワコンは言い過ぎだと思っていて、今年の中間決算を見ても、そごう西武は赤字だったんですが、他のデパートは軒並み黒字転換を果たしています。長引くコロナ禍に苦しめられてきましたが、経済再開とともにお客さんも戻り始めていますから、百貨店業界の中でも明暗がくっきりしてきたということなのかと見ています。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) November 15, 2022
「そごう・西武の売却」について
「セブン&アイ・ホールディングス」が今月11日、傘下の百貨店「そごう・西武」をアメリカの投資ファンド「フォートレス・インベストメント・グループ」に売却すると発表しました。#ワンモ
#ユジコメ ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) November 15, 2022
今日のAuDee JUDGEでは「最近、百貨店・デパートで何かを買った」と答えた方が37%でした。
僕はデパートでよく買い物をするのですが、駐車場がいっぱいだったり、限定品などが売り切れていたりすることがあるので、デパートで買い物をする方はまだまだいるんだ、という印象です。#ワンモ
#ユジコメ ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) November 15, 2022
そのためあまり衰退しているという印象はありませんが、ただ、僕がよく行くのは都市部の有名店舗であり、都市部と地方で売上が二極化している可能性があると強く思いました。#ワンモ
#ユジコメ ④
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) November 15, 2022
今後も実店舗の需要は必ずあると思うので、生き残り戦略の一つとして、各デパートのポイントカードの拡充や、百貨店・デパート独自のオンラインショップなどがさらに進化すれば良いと思いました。#ワンモ