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22.11.10

総合防衛費、創設。空港などの防衛対策整備へ
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。

情報社会学がご専門の学習院大学 非常勤講師、塚越健司さんにお話を伺います。
塚越さんに取り上げていただく話題はこちら!


『総合防衛費、創設。空港などの防衛対策整備へ』』


吉田:政府は防衛力の強化に向け、従来の防衛費に加え、『総合的な防衛体制の強化に資する経費(=総合防衛費)』を新たな予算の枠組みとして創設する方針を固めました。省庁横断で防衛関連の予算を確保する狙いがあります。


ユージ:塚越さん、この『総合防衛費』というのは、どういったものなんでしょうか?


塚越さん:まず、前提としまして、政府は、“防衛費の強化を目指している”ということで、近年、増加傾向にある日本の防衛費は現在およそ5兆円なんですね。ただ、それでも世界標準から見ると、GDP比で見ると非常に少ないんですね。日本は、GDP比で見ると1%となっていて先進国の中では低くて、近年、NATOでは、だいたいGDP比で2%以上にしようということを目標にしていまして、日本もそれに合わせようということで、政府は5年間で今のGDP比1%から2%、つまり、2倍の5兆から10兆円にしようと考えているということなんですよね。今回は、従来の防衛費だけでなく、『防衛に役立つ研究開発費』とか『公共インフラの整備費』、そして、『海上保安庁予算』などを一括で計上する予算の枠組みをつくり、これが『総合防衛費』というもので、簡単に言えば、今まで防衛費に入らなった他の省庁の予算とかを防衛省の予算と合算して数えることで、防衛費を大きくする、あるいは、悪い言い方をすれば、大きく見せるということになっているわけですね。


ユージ:気になるのが、『公共インフラの整備費』なんですけど、これは、防衛にどう関係してくるんでしょうか?


塚越さん:有事の際に自衛隊とか物資の輸送、あるいは、住民の避難が想定される南西諸島というのがあります、屋久島とか奄美とか沖縄といったあの辺の諸島群のことなんですけれども、こちらの空港とか港湾について、自衛隊や護衛艦が活用できるように滑走路を拡張するといった整備を行うといった意味での公共インフラなんですよね。空港などはこれまで国土交通省の所轄になっていまして、安全保障の観点が抜け落ちていたということで、防衛目線での整備はされていなかったので、省庁横断的な目線で防衛関連の予算を確保する狙いがあるわけですね。


ユージ:ほかにも『研究開発費』と『海上保安庁予算』、これはどういうものですか?


塚越さん:政府の科学技術関係予算、つまり、『研究開発費』なんですが、年間4兆円を越えているんですけれども、半分は文部科学省の予算でして、防衛省分は4%程度しかないんですね。そこで省庁を横断した関係者で会議を作り、例えば、サイバー攻撃とか、サイバーに関係する技術などは防衛にも利用できるので、他省庁の研究開発費だったものを総合防衛費に組み込もうという感じなんですね。そして、『海上保安庁』なんですけれども、NATOで相当するのが『湾岸警備隊』なんですよね。海上保安庁が今もやっている尖閣諸島の警備などは、防衛活動にも関係するということで、これを総合防衛費に組み込もうということになっています。海上保安庁の予算は現在およそ2500億円程度で、これを組み込もうということなんですが、ただ、NATOの定義ですと、「軍隊の組織下で活動できるもの」、これをですね、『防衛費・国防費』に計上できるんですけれども、厳密には、“自衛隊と海上保安庁は区別されている”ので、「これを防衛費への組み込んじゃうのはどうなの?」という異論もあるにはあるという感じなんですよね。


ユージ:なるほどね~。これまで防衛費に含まれていなかったものを『総合防衛費』に計上することによって、防衛費全体の数字は大きくなりますけど、実際、それで国の『防衛力』は上がると思いますか?


塚越さん:まず、NATOでは防衛費に入っている、海上保安庁の予算とか恩給費などが今の日本の防衛費には入っていないんですね。みなされていないんです。これを防衛費として組み込みますと、すでに日本の現在の防衛費がGDP比で1.24%程度まで上がるんですよね。今回の方針は、海外に合わせた防衛費の仕組みを作って、それにプラスして港湾の整備なども進めるというものなんですね。これに関して、「防衛費の水増しだ!」といった批判もあるんですけど、海外と合わせるという意味では、すっきりしますし、数字を大きくみせて落ち着きたい人がいるのであれば、やればいいんじゃないのかな…というのも正直なところです。ただ、問題もあってですね、大きく分けて2つ。1つはやっぱり、『財源問題』です。増税なのか国債なのかということで、自民党でも今、揺れています。


ユージ:どっからお金出すの?ってことですよね?


塚越さん:そうなんです、財源をどうやって出すのか?と。イギリスでは、トラスさんが45日で首相を辞任して、これは経済問題だったので財源が非常に問題になっています。もう1つは、『軍事研究』なんですよね。日本は軍事研究には戦後は消極的になっているんですけれども、AIとかドローンなどは、『デュアルユース』と言われ、軍事にも一般的にも両方に使えるんですよね。「これをどうやって別ければいいの?」ということで、なし崩し的に、国防だからということで軍事に使える技術にどんどん研究開発が進んでいくとですね、「それはそれで問題だ!」という声もありますし、今の日本のやり方と違ってくるということになるので、過剰に恐れない、適切に恐れるということを前提にですね、我々全体で国防について議論する必要があるんじゃないのかなと思います。



そして、今日の #ユジコメ はこちら。





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