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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

22.11.03

韓国・梨泰院の大規模雑踏事故から見えてきたもの
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。

情報社会学がご専門の学習院大学 非常勤講師、塚越健司さんにお話を伺います。
塚越さんに取り上げていただく話題はこちら!


『韓国・梨泰院の大規模雑踏事故から見えてきたもの』


吉田:ソウルの繁華街・梨泰院(イテウォン)で29日に起きた大規模雑踏事故は、「行政が事前に安全対策を十分講じなかったのではないか」など、事故から6日間が経ち、様々な指摘が出ています。


ユージ:塚越さん、改めて、梨泰院の雑踏事故はどのようにして起きたのでしょうか?


塚越さん:10月29日の夜遅く、大勢の若者が密集して、折り重なるようにして倒れてしまったという事故なんですね。現場は、地下鉄 梨泰院駅を出てすぐの飲食店とホテルに挟まれた狭い通りで、幅3.2メートル、長さ45メートル程度の細い坂道です。コロナ規制が緩和されたこともあって、当日は現場に10万人程度がいたというふうにも言われています。原因としては、駅から繁華街に向かって坂を上る人と逆に下る人がいて、それが一緒になって起きてしまったということですね。


ユージ:終電が終わってちょうど梨泰院に着いた人と、終電を逃すまいと駅に向かっていく人がいたという話などいろいろあったり、とにかく人が多かったみたいですね。この6日間の調査で見えてきた、事故の真相とはどんなものでしょうか?


塚越さん:梨泰院を管轄する龍山(ヨンサン)区は、ハロウィンに関する対策会議を開いていたんですが、事故を想定した安全対策などは行っていなかったということなんですね。そして、当時、梨泰院に派遣された警察官は137人いたんですけれども、雑踏警備に回ったのはわずか32人ということです。普通のイベントは主催者がいるんですけれども、これは勝手に集まるということで主催者が不在というもあって警備の手薄を招いたと思われています。韓国の警察庁の尹熙根(ユン・ヒグン)長官は、“初動対応が不十分だった”として謝罪しております。事故発生の数時間前から警察には、「もう危ないんだ!」という警戒を呼びかける通報があったこともわかっているんですけれども、苦情とみなされて対策を取らなかったということで、このへんも警察に対する捜査をするというふうにも言われています。さらに、韓国の建築法ではですね、道路の幅は4メートルが必要だったんですけれども、建物からせり出している部分があって、幅が3.2メートルしかなかったということです。こちらは違法建築の疑いが指摘されていまして、こういうことも含めて、今後、捜査が進むとされますけれども、韓国では「これは防げた事故だっただろう」といった声が多数寄せられていまして、今後の対策が非常に求められるということですね。


吉田:この大きな事故、日本ではどのように受け止められていますか?


塚越さん:すでに終わっておりますが、『渋谷のハロウィン』などのイベントを危惧するという声もありましたし、ネット上では、『ライブハウス』だったり『満員電車』の圧迫を想起する人も結構いらっしゃってですね、事故の後、満員電車がTwitterのトレンドワードに入るくらいでした。また、人が密集する場所では「両手で腕を組んで胸の前の空間をあけておくといい」といった指南をネットでする方もいらっしゃって、空間をあけてなんとか息ができるな場所を作りましょうということなんですよね。何にせよ、できる限り空間を確保することが大事ですし、また、当然のことながら、“危ない!”と感じたら、密集地を離れることも重要かなと思います。日本でも同様の事件・事故が2001年にですね、花火大会が行われていた兵庫県明石市の歩道橋で人が密集したことが原因で11名が圧迫によって亡くなっているということもあります。これも事故というよりはですね、対応の不備などによる事件といえるものだということで、いろんな処罰・処置がありました。いずれにしてもですね、日本も韓国も狭い土地に人が密集する場所が非常に多いのでですね、“他人事ではない”ということを多くの人が感じ取っていただけたならと思います。


ユージ:情報社会学の観点から気になる点は何かありますか?


塚越さん:SNSでこの時たくさんの動画が投稿されました。非常に衝撃的な動画が多く、人によっては、特に人混みで嫌な経験した人は、いろんなことを思い出してしまって、苦しくなる人もいたということなんですよね。動画投稿はですね、後々の検証の材料になるので必要なことでももちろんあるんですけれども、むやみに拡散することで心に傷を負う人やそれを加速させてしまう側面も残念ながらあります。ただ一方でですね、「撮影よりもその場でできることがあるだろう!」みたいなことをSNSで指摘する声もあって、一部、そうかなとは思うんですけれども、結局、我々も外から見ているので現場の空気がわからないですよね。特に当時はものすごい興奮状態にあるので、「伝えることが使命だ!」という人もいればですね、むしろ、投稿することで自分をちょっとでも落ち着かせるという人もいらっしゃったかもしれません。なので、外野から簡単に否定するのもどうかな?という部分もあって、非常に難しいところなんですけれども、見る側もどういうことで皆さんが投稿しているのか?みたいなことをバランス感覚を持って見るのが必要だと思います。情報がとにかく溢れるのでバランス感覚を持っていないとアクシデントが起きるかなと思います。いずれにしても、カメラはひとつの方向でしか物事を見れてないので、これから多角的な検証が必要になってきますので、衝撃的な映像は見ないでちょっと距離を置いくというのも人によっては考えていただいて、トレンドに飛びつかないということも必要かなと思いますし、これからは事件を見守っていこうと思いますね。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。



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