22.11.01
宗教2世をめぐる問題

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は「BuzzFeed Japan」編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。
【宗教2世をめぐる問題】
吉田:旧統一教会や別の宗教団体の2世らが、先月27日、虐待や権利侵害救済に向け、今国会での法整備を求める要望書を岸田総理に提出すると明らかにしました。神庭さん、宗教2世の問題が注目されている背景には何があるのでしょうか?
神庭さん:もともとこの数年、SNSやエッセイ漫画などを通じて宗教2世の置かれた状況が盛んに発信されるようになっていて、じわじわ注目度が高まっていました。そこへきて、安倍元総理の銃撃事件が起き、山上容疑者の母親による多額の寄付など背景が報じられたことで、一気に国レベルの喫緊の課題として認識された面があると思います。統一教会に限らず、日本には信仰宗教がたくさんあり、なかにはカルト的な活動をしているものもあるんですね。あまり知られることのなかった宗教2世たちの苦しみが、ようやく日の目を見るようになってきたというところだと思います。
ユージ:ここ数年、そういった動きがあったわけですね。「宗教2世」の方たちは、どんな苦しみを訴えているのでしょうか?
神庭さん:最近発売された菊池真理子さんの『「神様」のいる家で育ちました~宗教2世な私たち~』という漫画に、様々な宗教の2世たちの実例が紹介されています。
例えば・・・
・ムチで血がにじむほどお尻を叩かれる
・適切な医療を受けさせてもらえない
・厳しい戒律でテレビや漫画、音楽、運動会や林間学校のキャンプファイヤーも禁止
・恋愛や結婚を反対される
などなど、親の信仰に振り回され、虐げられる子どもたちの姿が描かれてます。菊池さん自身も宗教2世で、《神や仏に愛されるよりも 私たち親に愛されたかったんだから》というセリフが胸にグサっときましたね。
吉田:そして今回、法整備を求める要望書が提出されましたが、国にどのような要望を求めているのでしょうか?
神庭さん:記者会見して要望書を提出した宗教2世たちは、児童虐待防止法を改正し、「思想信条に関わる虐待でも一般の虐待と同様に救済する」「恐怖による行動の制限・強制を心理的虐待として扱う」ことなどを求めています。これまで被害を訴え出たとしても、行政や児童相談所も「信教の自由もあるし」「宗教はちょっと…」と及び腰にならざるを得なかったんですね。対応を間違えれば、教団から訴訟を提起されるリスクもあるということだったんです。国もまったく何もしていないわけではなく、一応10月6日には「保護者の信仰に関連することのみをもって消極的な対応を取らず、また、子どもの側に立って判断すべき」という通知を出してはいるんですが、これだけだと、実際に児童相談所や学校がどこまで踏み込めるか、なかなか心許ないですからしっかりとした法的根拠が必要ではないかと思います。
ユージ:確かにそうですね。宗教2世の要望について、国の対応はどうなるでしょうか?
神庭さん:旧統一教会の問題でこれだけ支持率が下がっている以上、岸田さんとしても無下にはできないと思います。そこで焦点になってくるのが公明党の対応です。公明党の支持母体は創価学会で、宗教2世の話は、決して人ごとではないんですね。ここで2世の訴えを否定したり、玉虫色のぼんやりした対応をすれば「支持母体に気を遣っているのか?」という疑念を招いてしまいます。ここはかなり難しい舵取りを迫られるのではないかと思います。また、自民党としても来春の統一地方選を控えて、連立相手の公明党には配慮せざるを得ません。党利党略で宗教2世をめぐる議論が歪められることがないといいな、と思います。
吉田:子どもが望んでいるのに食べさせないとか、適切な医療を受けさせないとか、普通に虐待ではないか?と思ってしまうんですが…。
神庭さん:お尻を叩かれるような、わかりやすい暴力はもちろん、ご飯が満足に食べられない、適切な医療や学校教育を受けられないとなると、ネグレクト的な部分も出てきてしまいます。宗教をとっぱらうとシンプルに虐待ですから、虐待事案として淡々と処理していくべきではないかなと思います。虐待までいかずとも、教義の絡みで大学進学や就職を反対されたりして、人生が大きく左右されてしまうケースもあります。親世代、1世は自己責任ですから、ある種のマイナス部分について、ある程度まで引き受けることもやむを得ないのかもしれませんが、でも2世、子どもは違います。親を選べず、信仰も選べず、いつの間にか巻き込まれてしまうということになるんですよね。
ユージ:「信仰の自由」と言われてしまうと、何も言えなくなってしまう部分はありますよね。
神庭さん:よく言われることですが、「信教の自由」というのは「信仰する自由」と「信仰しない自由」のセットであるべきなんですよね。子どもたちの「信仰しない自由」が守られていない現状は大きな問題なので、法整備や相談窓口の開設含め対応を急いでほしいと思います。そのためには、実態把握も必要ですが、文化庁の統計によると、日本の宗教団体の信者数は1億8000万人以上。自己申告制なうえにダブルカウントもあるとみられ、総人口の1億2000万人を大きく上回っているんです。本当に正しい数字なのか、このうちどれくらいがカルト的な団体で、さらに2世はどれくらいいるのか、詳細が全然わかりませんので、問題の全貌を正確に捉えるためにも、まず実態調査を進める必要があるのではないかと思います。
2世に生まれ、ある程度成長して大人になった人でも、親との付き合い方に悩んでいる人は少なくないんですね。僕は毒親問題の一種だと思っていますから、親とはいえ別の人間なので、辛ければ絶縁してもいいんだよ、と伝えたいですし、また、「親の信仰は尊重するけど、私はやめるね」というのも一つの選択肢ではないかと思います。一方で周囲の人たちが、「宗教の信者=おかしな人」とみなして排斥するのも問題で、そうするとかえって孤立してしまう可能性もあるのでそこは注意したいなと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) November 1, 2022
「宗教2世をめぐる問題について」
旧統一教会や別の宗教団体の2世らが、先月27日、虐待や権利侵害救済に向け、今国会での法整備を求める要望書を岸田総理に提出すると明らかにしました。#ワンモ
#ユジコメ ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) November 1, 2022
「宗教2世」というのは、親が特定の宗教団体を信仰していて、知らぬ間に教えの影響を受けて育った子どものことです。
僕は「信仰する自由」があって当然だと思うし、それは守られるべき権利だと思います。
しかし「信仰しない自由」もセットであることが最も重要だと思いました。#ワンモ
#ユジコメ ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) November 1, 2022
家族代々で特定の宗派を信仰していようが、やはり選択肢は本人にあるべきであって、大切なのは相手の宗派を尊重することです。
今回の宗教2世による要望書を受けて岸田総理はどのような対応をするのか、そもそも対応してくれるのかどうか特に注目したいです。#ワンモ