22.10.25
円安の状況をどう見るか

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は「BuzzFeed Japan」編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。
【円安の状況をどう見るか】
吉田:今月20日、1ドル=150円台まで下落するなど、最近、円安が続いていましたが、きのうの外国為替市場では、1ドル=149円台半ばから一時、1ドル=145円台半ばまで円高ドル安が急速に進みました。神庭さん、円安は悪いという雰囲気がありますが、影響はどうなのでしょうか?
神庭さん:食料品から電気代まで、ありとあらゆるものの物価が上がっています。みずほリサーチ&テクノロジーズ主席エコノミストの酒井才介さんの試算によると、10月以降、1ドル=150円の相場が続いた場合、2人以上の世帯の今年度の出費は昨年度から平均8万6462円も増えてしまうということなんですね。
ユージ:この試算はちょっとビックリですよね。
神庭さん:内訳としては、食費や電気・ガスなどのエネルギー関連、家具や家電などの費用がかさむということで、これらはいずれも生活必需品なので、低所得世帯ほど、円安・物価高の影響が重くのしかかってくるということなんです。
吉田:そうなると節約ということになると思いますが、もう皆さんやっていると思うんです。今後どうしたらいいんでしょうか?
神庭さん:預金していても円の価値がどんどん目減りしていくばかりなので、家計の資産防衛のためにドル建ての金融資産に投資しようとか、ドル建てで預金をしようという動きが広がっています。確かにそれも一つの手段ではあるんですが、外貨建て預金は換金する際に為替手数料がかかりますし、相場変動によって元本割れするリスクもあります。外貨建ての生命保険をめぐるトラブルや相談も国民生活センターに多数寄せられているんですね。「円安だ!やばい!」とあわてて危ない話に飛びつかないように、くれぐれも気をつけていただきたいなと思いますね。
ユージ:政府も何か手を打ってほしいところですが、どうなのでしょうか?
神庭さん:政府・日銀は先月22日に24年ぶりとなるドル売り、円買いの為替介入をしました。この時の介入額は2兆8382億円に達し、1ドル145円台後半から、一旦は140円31銭まで円高方向に戻したんですね。しかし、その後も円安に歯止めがかからず、今月20日には1990年以来、32年ぶりに1ドル150円台をつけてしまいました。そこで先週、政府は再介入したとみられていて、1ドル144円台まで一気に7円以上も円高方向に振れたんです。この時は5.5兆円規模の介入があったと言われています。「みられ」と言ったのは、9月は政府が記者会見して為替介入について正式に公表したんですが、今回はサプライズで「覆面介入」したからです。そしてこの週明けにもまた、覆面介入したとみられています。覆面で小出しに介入するのは、投機筋を疑心暗鬼にさせるためなんですね。「また介入があるかも…」と思わせて、投機筋に円を売るのをためらわせ、円安に向かう動きを防ごうとしているわけです。
ユージ:実際、効果はあるんでしょうか?一時的なもののような気がするんですが…。
神庭さん:巨額の介入をしても、結局すぐに円安方向に振れて元の木阿弥になってしまいます。「時間稼ぎ」くらいにはなるかもしれないですが、日本単独の介入でマーケットに逆らって潮目を変えるのはなかなか難しいんですね。じゃあアメリカと協調介入できるかと言ったら、それはもっと難しいです。バイデン大統領は15日、アイスをムシャムシャ食べながら記者団の質問に答えて、「私はドル高を懸念していない」と話しました。アメリカは日本よりずっとインフレが深刻です。なので、ドルが強い方が輸入価格が抑えられて好都合なんですね。わざわざ日本のためにドルを下げるような為替介入をするメリットは全然ないですから、アイス食べながら言うなよ…とは思いますが、バイデンさんはアメリカの大統領なので言い分としてはまあ理解できるかなと思います。
吉田:為替介入も時間稼ぎ程度ということで、どうしたらいいんでしょうか?
神庭さん:円安の根本は日米の金利差です。アメリカがインフレ対策のために金利を引き上げる一方で、日本は先進国で唯一のマイナス金利で、金融緩和政策を続けています。ここのギャップが解消されない限り、どんなに為替介入を繰り返しても、右手でガンガンに薪をくべながら、左手で水を撒いているようなもので、円安への大きな流れを止めることはできないと思います。日銀が金利を引き上げるのが先か、アメリカがインフレ退治に成功するか、景気後退するなりして利上げをやめるのが先か、チキンレースのような状況になっています。先ほど為替介入が「時間稼ぎ」くらいにはなるかもと言ったのは、アメリカのインフレが収まるのを待つまでの時間稼ぎという状況です。
ユージ:そうすると、やはり日銀が金利をあげるという方法が思い浮かびますね。
神庭さん:それをやると景気が腰折れしてしまうのを日銀は懸念していて、なかなか踏み出せない状況になっているわけですよね。賃金の上昇を伴うような「良いインフレ」には全然なっていないので、緩和継続するしかないと考えています。緩和継続なら円安地獄、かといって利上げに踏み切れば不景気地獄で八方塞がりの状況になっています。黒田総裁の任期は来年4月までですが、在職中は大胆に政策を転換することは難しいのでは?と思いますし、後任の方は非常に大きなプレッシャーになるのではないかなと思います。
ユージ:となると、来年4月以降に注目ということですか?
神庭さん:もしくは大きく支持率が下がったりしたら、大胆な転換がもしかしたら…という感じでしょうかね。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) October 25, 2022
「円安の状況をどう見るか」について
今月20日、1ドル=150円台まで下落するなど、円安が続いていました。
今日のAuDee JUDGEでは「円安などの影響で生活費が上がったと”実感している”」と答えた方が81%もいました。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) October 25, 2022
僕も、ガソリン価格や電気代など、生活費が上がっていると実感することがいくつもありました。
ただでさえ電気代が高騰している中、電力需給のひっ迫や、今年の冬は平年より寒くなる見込みがあることなど、不安材料がたくさんあります。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) October 25, 2022
日本銀行の黒田総裁の任期が来年4月に迫っています。
それまでに大きな策を打つのか、それとも任期を全うして後任が新たな行動を起こすのか分かりませんが、物価高騰がさらに進むかもしれないという最悪なケースを想定しておいた方が良いのではないかと思いました。#ワンモ