22.09.05
コロナ入院給付金の支払い見直し

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は「BuzzFeed Japan」編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。
【コロナ入院給付金の支払い見直し】
吉田:生命保険協会は先週木曜日、医療保険などの契約者が新型コロナウイルスに感染し、自宅やホテルで療養した際に支払う入院給付金の対象縮小を検討するよう生命保険各社に通知しました。現在は全員を入院したとみなして支払っていますが、対象を高齢者や妊婦らに限定し、持病のない64歳以下の無症状や軽症の人は対象から外れます。そこで今朝は、見直しの背景と具体的な内容、課題について、神庭さんに解説してもらいます。まずは、なぜ対象が限定されることになったのか、教えてください。
神庭さん:直接の原因は、政府が感染者を全数把握する方針を見直したことです。保健所や医療機関の逼迫を防ぐため、全数把握をやめ、高齢者や妊婦など重症化リスクの高い人だけをカウントすることになりました。すでに宮城、茨城、鳥取、佐賀の4県では、今月2日から運用が始まっています。これにあわせて、金融庁は生命保険会社に対して、給付金の支払い対象を見直すように要請していました。その前段の背景として、感染者数の急増に伴って、生保各社の給付金の支払額が大きく膨らんでいたという点も大きいです。
ユージ:大きくと膨らんでということですが、そんなに増えていたんですか?
神庭さん:読売新聞が報じた生保協会のデータによると、今年に入ってから7月末までにおよそ2700億円が支払われました。昨年1年の支払額の4.6倍にもなるということです。そして、このうち9割超を占めるのが「みなし入院」の感染者からの請求だったんです。
吉田:4.6倍って、すごい数字ですね。
神庭さん:医療機関の逼迫で患者が入院できない場合、保険会社はこれまで、自宅や宿泊施設で療養する人に関しても「入院」扱いで、給付金を支払ってきました。「入院」給付金なのに、入院以外の状況でもお金が出るというのがそもそもどうなのか?という面もありますが、「入院したくてもできない」というイレギュラーな状況だったので、それを認めてきたわけです。この給付金を受け取るために、患者がスマホなどで「My HER-SYS」というシステムに自分で登録して、そのスクショ画面を押さえるか、医療機関や保健所が出す療養証明書が必要でした。ところが、今回の全数把握に見直しで、地域によっては高齢者や重症化リスクの高い人以外は療養証明を取得できなくなったんです。4県以外も今後どんどん追随するでしょうから、支払い対象についても狭めることにしたわけです。
ユージ:今回の対応、神庭さんはどう考えていますか?
神庭さん:これまで特例扱いしてきたものを通常営業に戻すだけで、妥当な判断だと思います。なかには、給付金目当てに少し熱っぽくなってきた段階で保険に加入するとか、家族がかかった段階で入るとか、悪質なケースもあったわけです。療養期間を無理やり引き伸ばして給付金を少しでも多くせしめようとする人もいたと報じられています。ここまでくるとほとんど不正受給、保険金詐欺みたいな話になってしまいます。高額な給付金のもらえる保険があることで、ほとんど無症状の人、軽症の人も「積極的に陽性になりにいく」動機が生まれてしまうわけです。それくらいならまだしも、「自分は保険に入ってるからいいんだ」ということで、わざわざリスクの高い行動をして、感染しようとする「コロナ当たり屋」みたいな行動を助長しかねない面もあると思います。
ユージ:たしかに、そうですよね。コロナに関する管理も甘くなってしまうかもしれませんよね。
神庭さん:以前、番組で無料PCR検査でQUOカードやAmazonギフト券がもらえるのはおかしいとお伝えしましたが、まったく同じ構図だと思います。今回「世界一の感染者数」と散々報じられましたが、そのなかに「お金がほしい」という雑念を持った人が一定数混じっていたとしたら問題だと思いますし、制度のバグみたいなもので、穴をふさぐのは当然の対応だと思います。もちろん、本当に必要に迫られて保険に入っている方もたくさんいらっしゃると思いますが、一部の不届き者がいる以上、モラルハザードを防ぐためにはやむを得ない措置だと考えます。保険会社も慈善事業ではないので、赤字を垂れ流しながら莫大な保険金を支払い続けることはできないということだと思います。
吉田:ただ、64歳以下の契約者からは反発もあるのでは?
神庭さん:もらえるはずだと考えていたのにアテが外れる。契約者にとっては不利益変更なので当然、何だよと思う人もいると思います。そこは丁寧な説明するなり、もし約款にきちんと書いてない場合は保険料の返金なりの対応が必要になるかもしれません。対応を間違えると最悪裁判沙汰も考えられます。そもそものところで、「65歳以上はOKなのになんで?ズルい」という不公平感もあると思います。今後、感染者が減って「入院できない」という状況自体が緩和されていく可能性が高いので、年齢問わず「みなし入院」の場合は保険対象外とした方がスッキリするような気がします。保険って本来は「滅多に起きないけど起きたら大変なこと」のリスクに備えてお金を積んでおくものです。オミクロンで感染力が高まり、またワクチンや治療法の確立でコロナがありふれた病気、普通の病気に近づきつつあるなかで、保険含め社会のあり方も変化を迫られているのかなと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) September 5, 2022
テーマ「コロナ入院給付金の支払い見直し」
コロナ入院給付金は、簡単にいうと新型コロナウイルスに感染して入院すると保険がおりること。
しかし、それを利用して多額のお金をもらおうとする悪質な感染者にも給付金が支払われるケースが多くありました。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) September 5, 2022
今回の見直しは、そういった本来の目的とは違う、
本当に必要ではない人にまで支払うことがないように検討されています。
保険会社からすると予想していなかったことですが、
これは、保険会社に限らずビジネスの世界ではありえることです。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) September 5, 2022
ただ、当初の予定から変わってしまったことによる対応は必要です。
これまでの契約者には保険料の返金対応など、きちんと説明をしながら、
今回の見直しでうまく切り替えていってほしいと思いました。#ワンモ