22.08.29
岸田総理、原発新増設へかじ

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は「BuzzFeed Japan」編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。
【岸田総理、原発新増設へかじ】
吉田:原発への依存度を下げると訴えていた岸田総理は、先週水曜日、将来的な電力の安定供給に向けて、次世代型原発の建設を検討する方針を表明しました。これは、原発の新増設や建て替えは想定しないとした従来のエネルギー政策の基本方針の転換となります。そこで今朝は、このことについて、神庭さんにわかりやすく解説してもらいます。
ユージ:先週、再稼働について伺いましたが、改めて新増設の意味、再稼働との違いについて教えていただけますか。
神庭さん:「新設・増設」というのは新しく原発をつくることです。すでに完成していて休止状態の原発を再び動かす「再稼働」よりも、さらに踏み込んだ政策判断になります。東日本大震災で起きた原発事故以降、政府は原発依存度を下げてきました。原発の運転期間は法令で原則40年、最長でも60年と定められているので、そのままならいずれ緩やかに原発ゼロになっていく運命だったんですね。実際、政府は原発の新増設や建て替えは「想定していない」と繰り返し表明してきました。仮に新設が実現した場合には、震災後初であり、電力政策の歴史的な転換点ということになります。またあわせて、運転期間を延長することも検討するとしています。
ユージ:なぜ、このタイミングで政策転換に踏み切ったんですか?
神庭さん:岸田総理は24日のGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議で、ロシアのウクライナ侵攻の影響を挙げて、こんな風に話しました。「グローバルなエネルギー需給構造に大きな地殻変動が起こっている中で、我が国は今後の危機ケースも念頭に、足元の危機克服とGX推進をしっかり両立させていかなければなりません」と話したんですね。ただ、注意しないといけないのは、原発を建てようと計画してから実際に稼働するまでは20年くらいかかるんです。超超長期戦なので当たり前ですが、今度の冬も含めた向こう数年の電力需給の逼迫解消には、新増設では間に合いません。政府は、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルを目指しており、新増設はあくまでも中長期的な施策です。一方で足元の電力危機に対応するために、政府は新増設と並行して再稼働も進めていく考えです。新潟の柏崎刈羽原発、福井の高浜原発、宮城の女川原発など、原子力規制委員会の審査を通過した7つの原発について、来年夏以降の再稼働を目指すということです。
吉田:今回のニュースの中にも出てきていた「次世代型原発」とは、どんなものなんですか?
神庭さん:革新軽水炉、小型モジュール炉、高温ガス炉、高速炉、核融合炉など、様々な種類があります。従来の原発よりも安全性や効率性が高いという触れ込みですが、まだ研究・開発段階で商業利用に至っていないものも少なくないんです。そのなかで、革新軽水炉は既存の技術がベースなっており、政府内でも有力視されています。アメリカやイギリス、カナダでは小型モジュール炉の開発が進んでいるということです。
ユージ:神庭さんは今回のニュースをどう受け止めていますか?
神庭さん:日本の電力政策は少し前まで、ドラゴンボールのヤムチャ状態でした。どういうことかと言うと…、ヤムチャは天下一武道会で、人間の姿に扮した神様を相手に油断して、1回戦で敗退してしまいます。その時にいいようにあしらわれて、神様に「足元がおるすになっていますよ」と言われてしまうんです。日本は2050年のカーボンニュートラルという遠くの大目標に浮かされて、油断して「足元がおるす」になっているうちに、電力逼迫や節電要請という危機を招いてしまったわけです。電力が止まった時に特に困るのが、高齢者や入院患者など弱い立場の方々です。これまでずっと議論を先送りしてきたなかで、ようやく「足元」に目を向け始めたこと自体は評価できますし、現実から目を背け続けることに比べたらマシだと言えます。ただ、その解決策が原子力の新増設、再稼働、運転期間の延長で本当にいいのか?という点はしっかり議論しないといけないと思います。
吉田:具体的には、どんな議論が必要ですか?
神庭さん:EUでは原発を「グリーン」なエネルギーと位置づけ、イギリスやフランスが増設を進めていますが、グリーンとかGXという言葉でごまかさず、原発がもたらす負の影響やリスクについてもきちんと説明してほしいです。一番は使用済みの核燃料をどうするのかという問題です。再利用を目指す核燃料サイクルは暗礁に乗り上げていますし、「出口」のメドがないまま核のゴミを生み出し続ける原発は「トイレのないマンション」と批判されることもあるんですね。他にも気になるのが、つい最近もウクライナがロシアから原発攻撃を受け、放射能漏れの恐れがあると報じられていますが、原発の増設でテロやミサイル攻撃のターゲットを増やすことに安保上、問題はないのか?という点、地震国家の日本で、60年もの長期間使い続けて本当に大丈夫なのか?などなど、論点はたくさんあります。そういった課題を全部テーブルの上に乗っけて議論したうえで「メリットがデメリットを上回るから、ここまではギリギリ認めましょう」という話ならまだ分かるんです。現状は「いい話」しかしてないように見えるので、安全性、経済性を含めた総合的な判断に期待したいです。そもそも論として、2050年までに脱炭素を果たすという計画に無理がないのか、本当に「持続可能」なんですか?という点についてもタブーなく話し合っていただきたいなと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) August 29, 2022
テーマ「岸田総理、原発新増設へかじ」
再稼働ではなく、新しく原発をつくる新増設…といっても、
計画から実際に稼働するまでにはとても時間がかかります。
一方で政府は、2050年までにカーボンニュートラルを目指していますが、もう2022年です。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) August 29, 2022
新増設はあくまでも中長期的な施策で、
政府は並行して再稼働も進めていく考えです。
現状、日本は原発エネルギーを使わずに、
自然エネルギーだけでは電力をまかなえてはいません。
10~20年前とは電気の必要量が明らかに変わっている中では厳しいでしょう。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) August 29, 2022
原発には懸念点もありますが、その力を必要とするシーンもある。
自然エネルギーをつくり出し、維持することも大変。
どちらにもメリット・デメリットがあります。
様々な意見がありますが、僕は原発をなるべく制限しつつ使っていく方向で考える必要があるのかなと思いました。#ワンモ