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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

22.08.30

安倍元総理の銃撃事件、警察の検証結果について
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。

BuzzFeed Japan 編集長の神庭亮介さんにお話を伺います。
神庭さんに取り上げていただく話題はこちら!


『安倍元総理の銃撃事件、警察の検証結果について』


吉田:安倍元総理が奈良市で街頭演説中に銃撃され死亡した事件で、警察庁は、警護の検証・見直し結果を明らかにしました。また、警察庁の中村長官は辞任の意向を示し、閣議で承認されました。
神庭さん、まず、『警察の検証』はどんなものだったのでしょうか?


神庭さん:警察庁がまとめた検証報告書は50ページ余りなんですけれども、「安倍元総理の命をどうして守ることができなかったのか」「どうやったら犯行を防ぐことができたのか」ということをですね、反省点・課題、今後に向けた再発防止策が綴られています。山上容疑者が動き始めてから、2発目の銃弾の発射を許してしまうまで、わずか“1分8秒”なんですが、報告書はこの『空白の68秒』の間に一体何が起きたのかというのを事細かに検証したうえでですね、適切な措置をとっていれば「阻止することができた可能性が高い」と結論づけているんですね。


吉田:検証の主なポイントを教えてください。


神庭さん:いくつかあるんですが、まず一つ目は、『警備計画の不備』です。ニュース映像をご覧になった皆さんは、「なんで安倍さんの後ろがガラ空きなのか?」と疑問に思った方が多いと思います。実はですね、まったく同じ場所で、2週間前に自民党の茂木幹事長が演説していたんですね。当たり前ですが、茂木さんと安倍さんでは、集まる人の数も違えば、狙われやすさ、リスクも違ってきます。なんですけれども、奈良県警は、その時の警備員の配置などを安易に踏襲してしまったと…。結果的には、警備の穴が放置されたままになってしまったんですね。もう一つがですね、『直前の指示変更』です。警備員の1人は上司の指示で直前に移動していて、東側の歩道の聴衆を警戒していたんですね。これによって、安倍さんの後方の南側を警戒する人がいなくなり、手薄になってしまったと。多くの聴衆が詰めかけていたので、“そこから不審人物が飛び出してくるかもしれない”ということで警戒すること自体、それを指示すること自体は間違っていないんですが、ただ、結果として後方・南側がエアポケットになってしまったわけで、本来であれば代わりに誰か別の人を後方の警戒につけるなど、南側の警備を補強する必要があったというふうに報告書は指摘しています。そして、最後にですね。『警護要則の見直し』というのがあります。総理や国賓など要人警護の基本について定めた規則である『警護要則』というものがあるんですけれども、これを28年ぶりに改正するということですね。1994年に自民党の金丸信副総裁が銃撃された時以来の抜本的な見直しとなります。これまで『要人警護』というのは、基本的に“都道府県警に丸投げ”だったんですね。今後は、警察庁が県警に事前に情報を提供したり、県警から警備計画の報告を受けて修正を指示したりといったかたちで関与を強めることになります。“地方任せにせず中央で責任を持つ体制”ですね。ただ、警察庁の警護室は10人ほどしか人がいなくて、現状ではこうした対応ができないので、警護のエキスパートらを集めて、人員を大幅に増やすということも考えているそうです。


ユージ:そして、今回のこの事件を受けて、中村長官が辞任ということなんですが、これは辞めざるを得なかったのでしょうか?


神庭さん:総理経験者をテロで失うという最悪の事態で、警備体制の様々な問題が明らかになりました。なので、厳しいようですけれども、警察トップの辞任は当然であって、避けられないものだったんじゃないかなというふうに思います。ただ同時にですね、現場のSPの方々も含めて、非常に口惜しい思いで自責の念に駆られていると思うんですね。事件発生直後にも申し上げましたけれども、未解決に終わった1980年代の『グリコ・森永事件』では、犯人を取り逃した滋賀県警の本部長が焼身自殺してしまうという、痛ましい結末を迎えました。そういった不幸な事態は誰も望んでいないですから、「罪を憎んで人を憎まず」ではないですけれども、警備体制とか指揮系統の問題点はしっかり指摘しながらもですね、不毛な個人攻撃にならないように注意する必要があると思います。そういう意味でですね、今回、かなり詳細な報告書が出てきて、今回の事件を教訓にして、具体的な再発防止策が打ち出されたことは評価できるんじゃないかなと思いますね。


ユージ:今後、今回の検証結果が活かされないと意味ないですからね。今後の選挙活動などの要人警護の在り方についてはどうお考えですか?


神庭さん:警察庁が計画段階からしっかり関わるというのはいいんですけれども、ひとたび選挙となるとですね、膨大な警備計画が必要になりますよね。都道府県警の側も含めて、マンパワーの面で対応しきれるのかということが不安を感じます。そもそも論として、“そんなにたくさん街頭演説って必要ですか?”という視点もあっていいんじゃないかなと思うんですよね。『リスク』というのは“確率×発生頻度”で決まります。今回、報告書に取りまとめられたような再発防止策で、事件が起こる“確率”の方は減らせるんですけれども、同時に“頻度”についても考える必要があるのではないかと思います。候補者とかですね、応援弁士の方からしたら、“できるだけ近くで選挙民と触れ合いたい”という気持ちはわかります。ただ、『接触=リスク』でもあって、そこはジレンマなんですよね。イギリスでは去年、下院議員が有権者の対話会で刺されて殺されてしまうという事件も起きています。もちろん、「民主主義は草の根だ」とか「対話の機会は大切だ」という主張は理解できるんですけれども、ただ、実際問題として、街頭演説で名前を連呼したり、絶叫して涙ながらに訴えてみたり、「正直、意味があるの?」と思うようなケースも少なくないわけですよね。「握手したりグータッチしたりというのは果たして対話なのか?」という疑問もあるわけです。政策であれば候補者のサイトに詳しく載っていますし、スピーチが見たければ、YouTubeでも政見放送でもいいわけですよね。街頭演説を全部なくしてしまえというのは、もちろん、これは乱暴ですけれども、警察のリソースも有限ですから、機会をある程度絞っていくとかいうことも含めて考えてみてもいいんじゃないかなというふうに思いますね。


ユージ:そうですね。自分の気持ちを皆さんに伝えたいというときに、やっぱり、直接会ってとか、握手してとか、やりたい気持ちはわからなくもないんですけど、警備の面でいうと不安なところが多いですからね…。



そして、今日の #ユジコメ はこちら。






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