22.08.03
新型コロナウイルス『2類相当』での運用、見直しへ

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
情報社会学がご専門の学習院大学 非常勤講師、塚越健司さんにお話を伺います。
塚越さんに取り上げていただく話題はこちら!
『新型コロナウイルス「2類相当」での運用、見直しへ』
吉田:岸田総理は先月31日、新型コロナウイルスの感染症法上の『2類相当』での運用について、第7波の収束後に見直しに着手する考えを明らかにしました。
塚越さん、『2類相当』での運用を見直す方向となっていますが、これにはどういった背景があるのでしょうか?
塚越さん:『感染症法』では、ウイルスの危険度に応じて『1~5類』に分類されているということで、皆さんも報道でよく見たことがあると思うんですけれども、コロナは『1~5類』とは別の『新型インフルエンザ等感染症』に指定されているんですね。これが『2類』に似ているということなんですけれども、基本的には『2類相当』という、『1~5類』とはまた別になっています。この『2類相当』は、本来の『2類』、結核やSARSとかと同じで、医療費の公費負担や入院勧告ができるんですけれども、『2類』とは異なるのは、緊急事態宣言などの外出自粛要請ができるなど、ある程度国民の生活を制限できるのが、『2類“相当”』の特徴になっています。現在の『2類相当』だと、全ての感染者を確認する『全数把握』が必要になっていて、医療機関は患者数などをすぐに保健所に報告をします。診察も基本的に発熱外来に限られているので、医療機関は業務がひっ迫し、保健所も濃厚接触者などを特定、入院調整などで業務がひっ迫する。加えて、社会でも濃厚接触者の待機などで、経済活動に支障が出るということなんですが、一方で、現在ではワクチンを接種していればなんですけれども、重症化率が非常に低くなるという理由だったりとか、経済活動の面での懸念もあって、医療関係者だけでなく、経済界からも『2類相当』のレベルを季節性インフルエンザなどのですね、『5類』レベルまで引き下げるべきなんじゃないか、という声があがっているということなんですよね。『5類』になるとすると、現在ですね、発熱外来が約4万箇所なんですけれども、病院や診療所をあわせた約11万の一般の医療機関で診察ができるようになるので、現在の倍以上になるということになります。あるいは、保健所も全数把握が不要になるということができるというふうに考えられています。
ユージ:政府はどのようなかたちでの見直しを考えているのでしょうか?
塚越さん:岸田総理は今すぐの見直しは考えていなくて、第7波の収束後の見直しを考えているということなんですよね。これに関しては「今すぐ変えられるところは変えるべき」という声もあるんですけれども、一気に変更しちゃうと、医療機関だけじゃなくて、私たち国民の側にも混乱が生じる可能性もあるかなと思います。個人的には、7波の前にこういうことはやってよというふうにも思うんですけどね。また、見直しといってもですね、単純に『5類』にするんじゃなくて、今後の変異株とかいろんなことがあると思いますので、そういった対応も考えて、法律を改正するんじゃなくて、例えば、厚労省の通知を変えたり、内閣が制定する政令などを利用する、つまり、『法の運用を変える』ということで、柔軟に対応できるようにすると考えられています。例えば、『5類』にすると医療費は実費になりますが、先ほど言ったように運用を変えることで、現在の公費負担は継続する、また、入院勧告とか調整も継続すると考えられています。つまり、『5類』にするんじゃなくて、今、『2類“相当”』ですから、『5類“相当”』にするということですね。こうやって必要に応じて対応を変えるということなんじゃないかというふうに考えられています。実際、政府や自治体は今年1月の6波以降ですね、少しずつ対応を変化させています。例えば、神奈川県は感染者の全数把握にこだわらずに、政府も濃厚接触者を特定する『積極的疫学調査』を、高齢者施設などに限定するよう求めてますし、東京でも、保育所での濃厚接触者の特定をやめて、子供を保育所に預ける保護者が働けなくなることを防いだりもしています。
ユージ:この『2類相当』の見直しについて、塚越さんは、どうお考えですか?
塚越さん:見直すことのメリットもあると思うんですけれども、例えば、『5類』になるとですね、濃厚接触の判断を個人で行うことになるとかですね、特に高齢者をはじめとした基礎疾患のある人にとっては、ある種、心配が増えることになると思うんですね。なので、引き下げるのであれば、相談窓口を増やしたりとか、あとは、陽性かどうかをすぐ知るために、今までも言われてきましたが、これまで以上にPCR検査を簡単かつ大量に実施できるようにすること。これらの用意がないと、『5類』に引き下げたところで問題が複雑になっちゃうかなと思います。あとは、『5類』といいましたけど、『5類“相当”』ということで、いくつかいろいろと運用のやり方があるんじゃないかなとも思うので、そこは今後いろいろ詰めていただきたいなとも思うんですけれども、ただ、『5類』へ引き下げというのは、7波が来る前からいろいろ議論されていたし、相談窓口を増やしましょうとか、PCR検査の拡充というのも、ある種、ずっと議論されていたことですよね。
ユージ:ずっと前から言われてましたね。その意見は出てましたよね。
塚越さん:ですよね。ということもあるので、専門家集団の提案も端的に言って、ちょっと遅いかなというところもあってですね、その辺は、政治ができるということはもっとあったんじゃないかなということも個人的には感じているので、そういう意味では、なんていうのかな…、少し遅いかと、全体的に遅いかなと思いますね。
ユージ:そうですよね。変異株がどんどん出てくるという流れを見て、やっぱり、次にどういうものが出てくるのかわからない、『5類』に引き下げたときにどうなるという心配もあるんでしょうけれども、その時に、『2類』に戻せるとか柔軟な対応ができたらいいですよね。
塚越さん:そうですね、柔軟な運用ができるということを考えるのが重要かなと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET#ワンモ #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) August 3, 2022
「新型コロナウイルス、2類相当での運用見直しへ」
現在の2類相当から5類に引き下げることは、メリットもデメリットもあると思います。メリットは、行動などの制限が緩和されることや、受け入れてくれる病院が増えることです。
#リポビタンD TREND NET#ワンモ #ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) August 3, 2022
より多くの病院で診察が可能になるので、医療ひっ迫が緩和されるのではないかと思います。ただ、懸念点は、5類に引き下げになることで、新型コロナウイルスに罹患した際の診察費などが国負担ではなくなる部分が出てくることです。
#リポビタンD TREND NET#ワンモ #ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) August 3, 2022
自費負担は不安だという声もあり、5類に引き下げになったとしても公費で一部負担をすることが出来れば、一番スマートな形なのかなと。もう一つの懸念点は、もしまた新たな変異株が現れたとき、どういう特徴を持っているのか予想できないということです。
#リポビタンD TREND NET#ワンモ #ユジコメ④
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) August 3, 2022
このことが、5類に引き下げることを足踏みしてしまう要因になっているのではないでしょうか。現状、5類に引き下げてもいいかなという流れの中で、万が一、強い変異株が現れて2類相当に戻すときは、柔軟に対応できるような環境が整えばいいなと思います。