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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

26.01.19

物価高で注目「アフォーダビリティ」って何?
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
コメンテーターはダイヤモンド・ライフ編集長の神庭亮介さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!


【物価高で注目「アフォーダビリティ」って何?】

吉田:高市総理は1月19日の夕方、記者会見をして衆院解散を正式表明する見通しです。選挙戦では、インフレ対策が大きな争点の1つになると見られています。そんな中、注目を集めているのが「アフォーダブル」「アフォーダビリティ」という言葉です。東京都も来年度から、割安な家賃で住めるアフォーダブル住宅の提供を始めると発表しています。そもそも「アフォーダブル」とは、どういった意味なのか神庭さん、教えて下さい。


神庭さん:アフォーダブルは英語で「手頃な」「手が届く」という意味です。名詞形のアフォーダビリティだと「値頃感」とか「購入能力」を意味します。もう少し噛み砕いて「暮らし向き」とか「生活のゆとり」と訳しているメディアもあります。インフレによる生活費の圧迫で、このアフォーダビリティという言葉に注目が集まっています。アメリカでは、昨年の地方選挙で民主党がアフォーダビリティを争点に掲げて支持を集めました。ニューヨーク市長選でも、急進左派のマムダニ氏が「家賃の値上げ凍結」「無料バス」「保育の無償化」など、アフォーダビリティ政策を前面に打ち出して勝利しました。トランプさんはこうした動きを警戒していて、ブルームバーグによると「アフォーダビリティの問題で成果を上げてきたのは我々、共和党であり民主党ではない」と主張しています。


ユージ:日本でも同じような動きが広がっていきそうですか?


神庭さん:そうなっていくと思います。インフレは世界的に起きていて、日本も全く対岸の火事ではないです。アットホームによると、東京23区の50~70㎡のマンションの平均募集家賃は前年同月比で10%増の25万円余りです。日本経済新聞の試算では、2人以上の勤労者世帯の可処分所得に占める募集家賃の負担割合は45%超に達したという事です。過去10年の負担割合は35~40%だそうなので、急激な伸びです。使えるお金の半分近くが家賃に持っていかれるのは痛いです。資材高や人手不足で新築分譲マンションの価格が高騰につられて中古マンションも上がっています。都内ではマイホーム購入を断念した人たちが賃貸を選ぶ事で、ドミノ倒し的に賃貸価格も上がってきています。そこで東京都が始めるのがアフォーダブル住宅です。


吉田:これはどういう取り組みなのでしょうか?


神庭さん:東京都は相場より2割ほど安い家賃で住めるアフォーダブル住宅を来年度から供給します。東京都住宅供給公社と連携して毎年200戸ずつ、向こう6年間で合計1200戸を整備する方針です。18歳未満の子どもがいる世帯や新婚世帯が対象で、最大12年間住む事が出来るという事です。


吉田:それはいいですね。


神庭さん:非常に良い取り組みだと思います。自前での取り組みと別に、民間にアフォーダブル住宅の供給を促す制度も用意する。日本経済新聞によると、東京都はアフォーダブル住宅を増やす為に容積率を緩和する方針です。事業者が割安なアフォーダブル住宅を整備した場合に、容積率の上限を緩和してより高い建物を建てられるようにします。それだけでなく、同じエリアの別の建物で容積率の割り増しを受けられるような仕組みも検討しているという事です。東京都が合計100億円出資して複数のファンドを創設、民間の出資と合わせて総額200億円以上の規模を目指します。ただ単に「安く貸せ」だと民間も商売上がったりですが、容積率緩和という飴玉があればトータルで利益を確保できて民間にもメリットがあります。


ユージ:本当ですよね。土地を増やすというのは国土の問題もあって限界がありますが、容積率を増やすのはちょっとした制度の変更で出来ますよね。アフォーダブル住宅の課題は何でしょうか?


神庭さん:いい取り組みですし、どんどんやるべきだと思いますが、いかんせん供給戸数が少な過ぎます。東京の総世帯数は768万で、その約半数が賃貸住宅に住んでいます。年間200戸では焼け石に水でほとんど宝くじのようなものです。都営住宅は25万戸ありますが、名義人の7割が65歳以上と年齢層の偏りが激しいです。生活コストが上がり、働き手が通勤圏に住めなくなれば社会インフラが回らなくなります。高齢化で仕方のない面もありますが、子育て世帯、勤労世帯をもっと優遇するべきではないか思います。アフォーダブル住宅の前に、まず都営住宅の運営を改革する方が先決です。オーストラリア政府は2029年までに賃貸住宅など120万戸を新設する方針です。住宅不足対策に3.3兆円を投じる計画で、1億円の物件を購入したら
最大4000万円を補助する「Help to Buy」という住宅支援まであるので、比べるとスケールと本気度が違うと思います。


ユージ:アフォーダビリティ問題、神庭さんはどう考えますか?


神庭さん:アフォーダビリティは有権者の暮らし向きは日本でも衆院選の大きな争点になると思います。「ジェントリフィケーション」といって都市の富裕化が進むと、家賃や物件価格の高騰に耐えられる人だけが都会に住み、払えない人は引っ越すしかないです。そうなると閉鎖的な「ゲーテッド・コミュニティー」のようになり、街の魅力は削がれてしまいます。下町にタワマンが建ち、庶民的なスーパーが高級スーパーに変わる。食料品の買い物がしにくくなる「食の砂漠(フードデザート)」も問題化しています。インフレから生活をどう守るか。選挙戦でも積極的な議論に期待したいと思います。

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