25.09.23
世論調査で減税政策を求める声が多数。総裁選に与える影響と、減税政策について

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は、ダイヤモンド・ライフ編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。
「世論調査で減税政策を求める声が多数。総裁選に与える影響と、減税政策について」
吉田:時事通信の世論調査によりますと、物価高への対策として消費減税を求める人が45.8%、所得税・住民税減税が28%と減税を求める声が合計で7割を超えました。一方、給付金支給は15.4%でした。神庭さん、きのう告示された自民党総裁選でも、候補者たちが減税や「給付付き税額控除」などの政策を打ち出していますが、なぜ給付金より減税を求める声が広がっていると思いますか?
神庭さん:給付金なんて選挙目当てでしょ、というのがいい加減バレてきたと思います。永続的でなく1回こっきりだとすると、何万円かもらっても気休めにしかなりません。コロナ禍の10万円給付は、7割が貯蓄に回ったと言われています。お金を配るためのコストもかかります。給付金は住民税非課税世帯に配われることが多いですが、非課税世帯は65歳以上の高齢者が7割超を占めます。高齢者はフローの所得は年金だけだとしても、長年の蓄えとして資産は多く持っている傾向にありますから、非課税世帯だけにお金を配ると世代間格差をかえって広げることになります。こうした不信感もあって、「給付金より減税」「税金を取って配り直すくらいなら、最初から取らずに残してよ」と思う人が増えているんじゃないかなと思います。
ユージ:自民党総裁選では各候補者はどんな訴えをしているのでしょうか?
神庭さん:コバホークこと小林鷹之さんは、若者や現役世代を対象に期間を区切った所得税の定率減税を打ち出しました。所得税の基礎控除を増やす「103万円」の壁の引き上げ(=所得減税みたいなもの)に関しては、高市早苗氏が「大賛成」、小泉進次郎氏も引き上げを約束、茂木敏充氏は「基本的に賛成だが財源は要検討」というスタンスです。ガソリン税の暫定税率は、進次郎氏、高市氏、コバホークが廃止を表明しています。茂木氏も意欲を示しています。注目ポイントが何かというと3点あるのですが、1つ目は参院選で自公が掲げた2万円給付に関してどの候補も消極姿勢だったということです。さすがに世論の声を受け止めたということかなと思います。2つ目が消費税減税を公約にかがげる候補が1人もいなかったことです。高市氏は前々から食料品の消費税率を0%に引き下げるべきだと訴えていたのですが、物価高対策として「即効性がない」ということで総裁選では主張を後退させたということです。背景としては、議員票で麻生派43人の動向がカギを握っています。麻生氏は、昔は積極財政派と言われたのですが、財務大臣を9年やってすっかり財務省の代弁者のようになり、財政健全化路線に転じました。高市氏も内心、色々思うところはあると思いますが、麻生氏も含め党内の幅広い支持を取り付けることを優先して、消費減税については、いったん主張を弱めたのかなと思います。そして3つ目のポイントが「給付付き税額控除」。高市氏が公約に盛り込み、林芳正氏も議論に前向きです。立憲民主党が前々から訴えていた政策でもあります。
吉田:給付付き税額控除、こちらはどういう制度ですか?
神庭さん:減税と給付金を組み合わせたハイブリッドな仕組みです。例えば、「10万円減税しますよ」という話になった時に、そもそも10万円も税金を収めていない人はその恩恵を十分に受けきることができません。仮にその人が税金を3万円だけ収めているとしたら、まず3万円分減税したうえで、10-3で残り7万円は給付する。低所得者向けに、引ききれなかった税金を現金給付するわけです。「貧困の罠」といって、生活保護を脱すると税金や社会保険料を払わないといけません。ただ、この時に働き損になるなら生活保護をもらった方がマシだとなってしまうと、いつまでたっても貧困のループから抜け出せなくなってしまいます。こうした事態を防ぐためにアメリカやイギリス、オランダ、韓国などが給付付き税額控除を導入しました。これは低所得者を支えて、労働参加を促すという点では、非常によくできた制度だと思います。
ユージ:なるほど。そういう制度ですね。課題はどうなのでしょうか?
神庭さん:いい仕組みですが、現在のインフレ対策としては即効性に欠けるということです。社会制度全体の大手術が必要で時間がかかるのが最大の難点です。給付付き税額控除のアイデアは、ノーベル経済学賞を受賞したミルトン・フリードマンの「負の所得税」の概念が元になっています。第一生命経済研究所の熊野英生氏のレポートによると、フリードマンは「あらゆる公的扶助を廃止する代わり」として給付付き税額控除の導入を求めていたそうです。フリードマンの主張や、労働意欲を促進するという制度本来の趣旨を考えると、いま現在、生活保護や年金を受給している人にダブって給付金を配るのは馴染まないし、形を変えたバラマキになりかねません。給付対象から除外するか、もしくは生活保護・年金・給付付き税額控除の一体的な制度を設計する必要があります。そうなると国民的な議論が必要で、どうしても合意に時間がかかります。加えて、導入した国では不正受給が多発しており、抜け道を塞ぐ対策も不可欠だと思います。もし給付付き税額控除を導入するなら、選挙前のバラマキ給付金は全面禁止して欲しいなと思いました。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) September 23, 2025
『世論調査で減税政策を求める声が多数。
総裁選に与える影響と、減税政策』について。…
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) September 23, 2025
じゃあ、実際に今何が必要なのか?と考えた時に、僕は正直1番大事なのは賃金の上昇だと思います。確かに、物価高をなんとかして欲しいという声もあると思いますが、物価高を超える勢いで賃金が上がればそこまで問題にならないのではないかなと思います。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) September 23, 2025
5名の候補者の方それぞれに総裁になった時のメリットはあると思うので、投票権を持つ方々には今後この5名の方がどんな政策を掲げるのか、総裁選のきっかけ、話題作りだけではなくて、総裁になった後のことをどこまで見据えているのかというところを注目して考えて欲しいと思いました。…