network
リポビタンD TREND NET

今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

25.09.22

携帯料金の値上げ続々、官製値下げはもう終わり?
null

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は、ダイヤモンド・ライフ編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


「携帯料金の値上げ続々、官製値下げはもう終わり?」

吉田:菅義偉元総理が主導した携帯電話料金の値下げ、いわゆる「官製値下げ」。ところが最近、携帯各社が続々と携帯料金の値上げに舵を切っています。背景に何があるのか、今後、携帯料金はどうなるのか?神庭さんに解説してもらいます。まずは、政府が主導した携帯各社の「官製値下げ」について改めて教えてください。


神庭さん:2018年、官房長官だったガースーこと菅さんが「日本の携帯電話料金は高い。今より4割程度下げる余地がある」と発言したのがすべての始まりです。当時の大手キャリアは、iPhoneなどの最新端末と回線契約をセットで購入すると大幅に割引くという仕組みが主流でした。裏を返すと高い端末を買う人以外は、割高な通信料を払わされていたわけです。菅さんはこの構図にメスを入れ、電気通信事業法を改正しました。通信料と端末の価格を分離しました。途中でキャリアを乗り換える場合の違約金も9,500円と高額だったものを1,000円以下に下げさせました。政治の側から携帯料金を下げさせるように猛烈にプッシュした経緯もあって「官製値下げ」と言われています。もともとドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社による強固なトライアングルがあったのですが、自社で通信設備を持たないMVNOや楽天モバイルの新規参入もあって、料金競争が加速しました。ピークの2018年から2024年までの6年間で通信料は2割以上も下がりました。


ユージ:その「官製値下げ」の流れが止まって、最近値上げが増えているということなんですね?


神庭さん:そういうことです。NHKや日経新聞などの報道によると、ドコモは6月、スポーツ動画配信サービス「DAZN」見放題などの特典をつけて、定番プランを1,000円ほど値上げしました。KDDIは衛星通信サービスなどを充実させつつ、最大330円の値上げ。低価格ブランドのUQモバイルも220円引き上げる代わりに使えるデータ容量を増やすということです。ソフトバンクは格安ブランドのワイモバイルの基本料金を2〜3%値上げする。PayPayのクレジットカードや光回線の契約で割引をすることで囲い込みを強化します。楽天モバイルは据え置きですが、動画配信のU-NEXTと組んだプランを用意するなど、客単価アップに余念がありません。


吉田:各社が値上げや実質値上げに踏み切る理由は何でしょうか?


神庭さん:最大の理由は近年の物価高、インフレです。携帯電話網の維持には莫大な電力を消費しますが、電気代が大きく上昇しています。全国的に人手不足が慢性化しているなかで、設備工事費や店舗の販売スタッフの人件費も上げざるを得ない。5Gから次世代の通信6Gに移行するにも、官民合わせて兆円単位での多額の投資が必要になります。加えて、動画やらAIやらで通信量は増える一方で、膨大なトラフィックをさばくのにもお金がかかります。そして、セキュリティー対策もお金がかかります。利用者からするとしんどいですが、世の中全体がインフレのなかで、携帯の通信料だけ例外ではいられないというのが現実で、大手キャリアが相次いで値上げに踏み切るのもある程度は理解できるかなと思います。


ユージ:値上げだけでなくサービスが良くなる部分もあるんですよね。


神庭さん:もちろんそうです。あの手この手でサービスを充実させることで「値上げ」のイメージを薄めようとしているのかなと思います。実際、スポーツが好きでDAZNを見る人であればドコモの新プランは魅力的だと思います。KDDIもイーロン・マスクのスペースXが提供する衛星通信網「スターリンク」を使ったサービスを打ち出し、「空が見えれば、どこでもつながる」とアピールしています。山間部や海など圏外でも地図や天気アプリが使え、メッセージも送れるようになるのはすごいですよね。登山やキャンプなどアウトドア趣味の人には嬉しいかなと思います。


ユージ:携帯料金の値上げ、神庭さんはどう考えていますか?


神庭さん:やっと下がり始めたと思ったら、もう値上げですから。ずいぶん短い春だったなという印象はあります。今後もインフレ基調が続く限り、携帯料金の上昇は避けられないのかなと思います。携帯電話は贅沢品でも何でもなく、もはや必須の生活インフラです。足もとの値上げの必要性は理解するのですが、電波という国民の共有財産を使ってサービスを提供している以上、横並びの安易な値上げ、青天井の値上げというものは避けて欲しいなと思います。利用者目線で見ると料金プランの分かりやすさも大事。値上げの印象を薄めるために「あれもできます」「これもできます」と抱き合わせでサービス提供をすると、プラン体系が複雑化してわかりにくくなるリスクがあります。「データ容量は少なくていい」「動画サービスは要らないので、その分安くして欲しい」というニーズも確実にあるわけなので、豪華なプランをつくるのはいいですが、シンプルな低価格プランもしっかり残していただきたいなと思います。もう1つ、付け加えると寡占市場では商品価格が高止まりします。楽天モバイルの参入があったから、値上げがこの程度で済んでいるという考え方もできるかなと思います。政府としても電波オークションでも何でもやって、新規参入を促していく、健全な市場競争をどんどんしてもらう方向で後押ししていくのがいいのかなと思います。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。





過去の #ユジコメ を音声でCHECK!!

  • X
  • Facebook
  • LINE
Top