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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

25.09.04

被害申告なしでも“警告”、ストーカー規制法改正へ
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。

情報社会学がご専門の学習院大学 非常勤講師の塚越健司さんにお話を伺います。
塚越さんに取り上げていただく話題はこちら!


『被害申告なしでも“警告”、ストーカー規制法改正へ』


吉田:ストーカーの被害が深刻化するなか、警察庁は、被害者からの申し出がなくても、つきまといなどの行為をやめるよう加害者に『警告』できるようにする法改正を検討しています。そこで今朝は、ストーカー規制法について塚越さんと考えます。


ユージ:まず、今回改正が検討されている『警告』について教えてください。


塚越さん:現在の『ストーカー規制法』では、つきまといなどの行為があった際に、警察は被害者の申し出を受けてから加害者に行為をやめるように『警告』ができます。この『警告』は、法的拘束力はないのですが、これで加害者が行為をやめるケースもあります。一方で、被害者が加害者からの『報復』を恐れて申し出をためらうことも多く、つまり、悪い意味で加害者を刺激してしまう可能性を危惧しているわけです。現在の法律では、この『警告』よりもより重い『禁止命令』というのも出せるようになっています。これは法的拘束力があり、違反した場合は罰則があるものなのですが、『禁止命令』を出すには、証拠収集などで時間がかかるため緊急時には即時性に欠ける場合があります。なので、こうした状況を踏まえて警察庁は、被害者からの申し出がなくても被害に遭う恐れがあると判断した場合は、警察の判断で『警告』が出せるように法改正を検討しています。これだと、あくまで警察の判断なので、いわゆる『報復』の矛先が被害者に向く可能性が低くなりますし、法的拘束力はないとしても、ある程度有効に機能すると思います。実際、2013年と少し古いデータではありますが、『警告』によって8割程度の加害者は行為をやめたという警察庁の報告もありますので、早めに『警告』を出しておけば被害は収まりやすくなりますし、逆にエスカレートする加害者をはやく見極められるという利点もあると思います。


吉田:『警告』の効果や運用上の課題はどうでしょうか?


塚越さん:昨今、ストーカーの被害に関する報道を目にする機会があると思うんですけれども、事件の数自体は10年ほど前がピークで2万3千件ほどあったのですが、近年も2万件程度と高止まりの状態で社会的にもずっと問題になっています。特に今は、社会的に注目がされているので警察としても“積極的な介入を行うこと”、“警察が本気であること”を示すことで抑止力にもなるという見方もあります。ただし課題としては、『警告』を出す基準だったり、判断を統一化・明確化する必要などがあります。また、現場の判断は非常に重要ですけれども間違えることもありますので、そのためにこそ、日頃から警察がある程度証拠を集めておく必要があります。被害者と加害者への聞き取りなどいろいろな高度な判断になると思いますけれども、要するに事件により真剣に向き合う必要があるのではないかなと思います。


ユージ:ストーカー被害を減らすためにできることって何があると思いますか?


塚越さん:まずは被害者を守るために警察のこれまで以上の迅速な行動が必要になります。また、多くのリスナーの方が被害者を守るために「もっと規制を強く」とか「もっと厳罰化を」と思っていらっしゃると思うんですよね。その気持ちはよくわかります。ただ、昨今はこうした社会の空気を背景に「加害者に対してGPSを付けて行動を監視すべき」という意見もあります。ここからは、今後あるかもしれないという話で聞いていただきたいんですけれども、例えば、韓国では2023年にストーカーに関する法改正が行われまして、裁判所が必要と判断した場合、加害者は判決前でも条件によっては一時的にGPSを付けるといった厳しい対応が行われるようになりました。ただし、海外の研究では、GPSによる監視は一時的な抑止力になるという結果もあれば、長期的な再犯防止には繋がらないという指摘もあって、まだ決着がついていないんですね。私が大事だと思うのは、今後、もし厳罰化をするとしても、それと同時に大事なのは、加害者の更生支援なんですね。海外の一部では、GPSを付けると同時に加害者に心理的治療や加害者教育といった、『更生プログラム』を同時に導入している国もあります。将来的にストーカーにGPS監視をする場合には、こうしたプログラムを受けさせることも必要があると思います。被害者にとって一番大事なことは、再犯がないことです。処罰を強くすると報復をもたらす可能性もあるので、再犯率を下げるためには、加害者の歪んだ心の状態を変える、認知を変える、「何かおかしいことをしていたんだ…」と思わせることも必要なので『更生プログラム』も必要だと思います。これにはお金もかかるので、「加害者に金をかけるな」という気持ちもわからないこともないですが、何でもかんでも処罰を厳しくすると自暴自棄になってしまって、「どうなってもいいや」となってしまって、どんな犯罪をも犯す、ネットで言われている、いわゆる『無敵の人』が増えてしまう可能性があるんですよね。被害者にとっても、加害者にとっても、再犯がないことが大事なので、そのためにも『更生プログラム』が必要になります。もしGPS監視などをするのであれば、そういった支援プログラムということも同時に社会で考えていくことも必要になるかなと思います。



そして、今日の #ユジコメ はこちら。





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