network
リポビタンD TREND NET

今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

25.09.03

9月から市街地でクマの『緊急銃猟』が可能に…その課題は?
null

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
本日は、情報社会学がご専門の学習院大学・非常勤講師、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!


【9月から市街地でクマの『緊急銃猟』が可能に…その課題は?】

吉田:クマによる人的被害の対策として、一定の条件を満たせば自治体の判断で、市街地での「緊急銃猟」を可能とする改正鳥獣保護管理法が1日に施行されました。塚越さん、この「緊急銃猟」について、詳しく教えてください。


塚越さん:まず「銃猟」というのは、動物を銃で狩る行為そのもののことを指します。よく聞くのは「猟銃」ですよね。猟銃というのは、そのためにつかう「銃器」のことです。ややこしいのですが、猟銃を使って狩るということです。今回の緊急銃猟制度ですが、人間の生活圏にクマやイノシシが出没した場合に、一定の条件が満たされると、市区町村の判断で銃器を利用した捕獲などができる制度です。背景にあるのは、やはり近年の動物の出没数の増加です。人に被害をもたらした件数や人数は、クマで2023年度、イノシシで2024年度に過去最多を記録しており、報道にあるように残念ながら亡くなられる方もいらっしゃいます。今後も増えると考えられます。これまでは、住宅が集合している地域での銃器は危険があるので、急を要する場合だけ細かい要件があって実施されていたのですが、膠着状態にある場合などで、より予防的かつ迅速に対処することが今回のことで可能になります。そこで、特に人身被害を生じさせる恐れの高いクマ、イノシシについて、猟銃の使用を可能にする制度ができました。条件は4つあります。簡単にいうと、1つ目がクマやイノシシが日常の生活圏に侵入している。2つ目は、人命や身体に危険が迫っている。3つ目が、猟銃以外の対策が難しい場合。4つ目が、住民や第三者の安全が確保されていること。こうした4つの条件がクリアできれば、市区町村の職員だったり、そこから委託された猟友会の所属するハンターが使えることになります。環境省はガイドラインを公表していて、ハンターとの協力や事前準備、また住民の避難指示などについて説明しています。


吉田:この制度をめぐって、「ハンターが自治体の発砲要請に応じないこと」を容認する動きも、あるようですね?


塚越さん:はい、実は問題となっているのが、発砲に伴う万が一の人への事故だったり、また建物にあたって傷がついた場合の責任です。環境省によると、建物が傷ついた場合などは、自治体が補償するということ。また、人身事故が起きた場合は自治体が賠償責任を負うと説明していますが、ただし刑事責任の免除までは明確にされていません。こうした点に北海道猟友会は懸念を示しています。もっといえば、例えば、先の4つの条件が満たされていなかったと判断された場合、ハンターに責任が問われる可能性があります。避難がちゃんとできてなかったことが後から言われてしまう可能性がある。でも、混乱した現場でどこまで条件をクリアしたか判断できるかは、結構難しいですよね。後々「あれはハンターの問題だ」と言われる可能性があり、責任が曖昧な部分があります。また、罪にならなくても、「猟銃所持許可の取り消し」については、個別事案に応じて判断されるという方針なので、やはり不安が残りますし、ハンターが怪我をした際も、国の一律補償もなく不十分です。こうした課題もあって北海道猟友会は、市区町村から依頼があっても、状況に応じては依頼を受けなくても良いとする通知を各支部に出しました。


ユージ:この「緊急銃猟」。塚越さんは、どうご覧になりましたか?


塚越さん:新しい選択肢ができたのは良いことだと思いますが、お話したように制度に不備があるのかなと思います。そして、ハンターの方、地元の猟友会の人の多くは自分の仕事もありますし、駆除は当然危険が伴います。そうした中で、責任の所在が曖昧なままで制度が進むと、ハンターの人の不安は大きいかなと思います。また、この制度があることによってハンターに負荷がかかり、逆に役所の職員の数が減る可能性もあります。駆除は様々な知恵と経験が必要です。そうなると、自治体の職員の方が減ると経験者が減るので問題なのかなと思います。そうすると、やっぱり警察が率先して動く必要があるのかなと思います。地元の警察の方が訓練したりして、それをサポートする形で猟友会が存在する方がいいのかなと私は思います。制度があるからといって、ハンターに過度な負荷がかかってはいけないでしょうし、制度のさらなる整備が求められるのかなと思います。クマはこれからも増えることが予想されます。国や警察の対応というのが、もっともっと必要になってくるんじゃないのかなと思います。


ユージ:クマの駆除もネットで議論になっています。


塚越さん:これも、いっぱいあってネットでも議論が収まらない部分がありますよね。


ユージ:色々な意見があると思いますが、人の命を守らなきゃいけないというのが、優先事項にどうしても我々はなりますからね。塚越さん、ありがとうございました。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。





過去の #ユジコメ を音声でCHECK!!

  • X
  • Facebook
  • LINE
Top