25.08.07
市議の“差別反対”投稿に自粛要請決議

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
引き続きコメンテーターは、情報社会学がご専門の学習院大学・非常勤講師、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!
「市議の“差別反対”投稿に自粛要請決議」
吉田:8月4日、埼玉県鶴ヶ島市議会が、SNSで「外国人差別反対」などと発信している無所属の福島恵美市議に対し、市議の肩書を使った発信の「自粛」を求める決議を賛成多数で可決しました。
ユージ:塚越さん、まず投稿の自粛要請に至った経緯を教えてください。
塚越さん:福島市議は1981年生まれで、もともとパティシエ修行をして鶴ヶ島市で9年ほどカフェを経営していた飲食関係の方です。2023年に初当選し、どこの会派にも属していません。福島市議は「外国人犯罪に関して、外国人への差別に反対する」といった内容の投稿をSNSにしており、今年3月頃から他の議員や一部のジャーナリストから批判が高まっていたということです。市や議会の事務所によると、今年の5月~7月までに、福島市議の言動に対する意見が、HPや公式SNS、電話などで150件ほど寄せられており、大半の内容は市議の言動を問題視するものでした。さらに、7月22日には福島市議の殺害予告や建物の爆破予告などもあり、8月に予定していた子供向けのイベントは中止となっています。
ユージ:実際に業務やイベントに影響が出てしまったということですね?
塚越さん:そうです。こうした状況を受けて、鶴ヶ島市の内野嘉広議長は、6月下旬から複数回、事態が落ち着くまでSNSの自粛や、非公開にしている連絡先の公開といった対応を市議に求めましたが、応じなかったということです。連絡手段がないことが苦情や混乱の原因ということですが、私は要するに「自分で処理してくれ」ということなのだと思いました。ただ、福島市議は過去の嫌がらせがあったことを理由に公開を拒否しています。いずれにしても、福島市議はこうした求めに応じず個人的な発信を続けたことで「市民の安全と行政・議会の業務に重大な影響」が生じているとして、福島市議の肩書をつけた発信自粛を求める決議案が提出され、賛成多数で可決になりました。
吉田:塚越さんは、今回の決議の可決どう思いますか?
塚越さん:議会の対応はおかしいと思います。朝日新聞が市議会の内野議長に取材したところ、まず殺害や爆破予告は許されず、市議の政治活動を制限するものではないことを大前提とした上で、様々な対応が重なる中、議長として6月から市議に対して「少し配慮してもらいたい」と言ったことを口頭で求めたが、応じてもらえなかったので決議を出したということです。要するに「気持ちは分かるけど、議会や市で対応しきれないから配慮してほしい」ということだと思います。とはいえ、市議の発言は反差別や多文化共生、人権擁護などの基本的な立場に立つもので、ヘイトに反対する立場で基本的に違法行為をしたり、扇動するものではありません。もちろん、そうした活動が過激であるとして、訴訟を含めた問題もありますし、活動の解釈をめぐる問題が生じているのは事実です。一方で、外国人をめぐるこの問題は、現在の日本で大きな賛否の動きがあるもので、現状は様々な議論が必要であり、言論活動はあるべきです。その意味で、市議の活動は表現の自由の範囲内にあるもので、議会が自粛を要請するのはおかしいです。肩書を使っての発信の自粛要請などもってのほかです。もっといえば、前提として殺害予告をされた市議は被害者なので、被害者の口をつぐむ要請は、典型的な「責任の個人化」といわれる方法じゃないかと思いますね。
ユージ:犯罪予告などがあった際の対応についてなんですけど、他の自治体でもあったりしたのでしょうか?
塚越さん:実は、類似の動きが神奈川県の川崎市でも起きています。こちらも反差別などを訴えている共産党の市議に対して、7月に殺害予告や事務所の爆破予告が届いたので、被害届が提出されました。これを受けて川崎市議会は翌日に議長名で、言論活動に対する攻撃は萎縮効果を招く恐れがあること。また、議会制民主主義の前提を壊す行為で許されないと、きっぱりと言論の自由を擁護する態度を示しています。これは鶴ヶ島市議会とはかなり対照的だと思います。川崎市は、もともと独自のヘイトスピーチ規制なども行ってきた制度的な蓄積もあるので、このあたりの態度は明確です。もともと、ネットには差別的な投稿が多いのは事実です。それに反対と言ったことで対応を迫られるというのは、むしろ政治が「過激な言葉に動かされてないか」という論点は重要ですし、150件の苦情の内容も、どういったものなか、どこからのものなのか、そういったところを鶴ヶ島市はもっと考えて対応して欲しかったですね。
吉田:150件といっても何人からなのかも分からないですからね。
塚越さん:そうですよね。
吉田:そんな中、外国人政策に関して意見が加熱する傾向にある、最近の状況をどう見ていますか?
塚越さん:これは社会的な不安を背景に特に外国人に関しては、いろんな言動が出てきて社会的分断になってしまいます。SNSを見てもいろんなデータや解釈が出てきて、ある意味アルゴリズムで自分に都合の良い解釈になってしまいます。これは不安を感じやすいので、こうした議論でいつも言うのですが、一旦感情的な議論になると冷静にならないといけない。なので福島市議の投稿に関しても、やっぱりまずは確認をして、どういう内容のものなのかをゆっくり見ていくってことが大事ですけれども、社会的にはこういった問題がやっぱり議論になって、みんな過熱してしまうのが問題の根本にあるかなと思いますね。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) August 7, 2025
『市議の差別反対投稿に自粛要請決議』
埼玉県鶴ヶ島市議会が、「外国人差別反対」
とSNSで発信していた市議に対し、
発言の自粛を求める決議を賛成多数で可決しました。
議会全体で特定の意見を抑え込むような動きに、
懸念の声が上がっています。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) August 7, 2025
「差別反対」に対して多様な意見があって当然ですが、
その考えを表明すること自体は否定されるべきではないと思います。
議会が意見を封じる方向に動くことには、慎重であるべきだと感じました。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) August 7, 2025
実際には、その市議への苦情や殺害予告もありましたが、まず議会が取り組むべきは、そうした行為への明確な否定ではないかと思います。
言論の自由があるなかで、犯罪行為よりも1つの意見が抑えられてしまったのは残念な事だと思いました。#ワンモ
#ユジコメ④
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) August 7, 2025
今の日本は海外からの観光客も多く、
外国人労働者の支えがなければ成り立たない、
仕事現場も多数あると感じます。
外国人差別の問題は、これからの社会で向き合うべき大切な課題です。
意見を抑えるのではなく、耳を傾けて話し合う姿勢が
求められているのではないかと思いました。…