network
リポビタンD TREND NET

今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

25.08.06

小中学生の学力が大幅低下…それぞれの背景は?
null
ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。

情報社会学がご専門の学習院大学 非常勤講師の塚越健司さんにお話を伺います。
塚越さんに取り上げていただく話題はこちら!


『小中学生の学力が大幅低下、保護者は「子どもの良い成績にこだわらない」が増加…それぞれの背景は?』

吉田:子どもの学力の変化をみる、2024年度の『経年変化分析調査』の結果が先週木曜日に公表されました。前回の2021年度より全ての教科で成績が下がっています。塚越さん、この調査結果について詳しく教えてください。


塚越さん:こちらは文部科学省が行った調査です。2016年度、2021年度に続いて3回目の調査で、いろいろ比較ができるということです。今回の調査は去年おこなったもので、国立・公立・私立の小中学校計1350校から、およそ3万人の小学6年生とおよそ7万人の中学3年生が対象になっています。教科としては、小6が国語と算数、中3は国語、数学、英語です。この調査では、一部同じ出題を出すことによって、回答パターンの分析などから3回分が比較できるものになっています。その結果はですね、500を基準としたスコア表示で中3の数学が503スコアだったんですけれども、それ以外全て500を下回っているということがまずわかりました。より重要なのは、中3の数学も含め全てのスコアが2021年度に比べて下がっていて、特に小6の算数は20.9ポイント減、中3の英語は22.9ポイント減ということです。2021年度の調査では、下がった教科はなかったので簡単にいうと、2021年以降、子どもの成績が下がってしまっていることが明らかになりました。


吉田:今回の学力低下にはどのような背景があるのでしょう?


塚越さん:いろいろな要因が考えられますが、文科省は新型コロナの影響に着目しています。調査対象の小6と中3の生徒は、コロナ禍で学んでいた世代です。コロナ禍では、基礎的な内容を学ぶ学年で対面授業が減ったり、臨時休校した場合に授業時数を減らした学校もあるので、学習面に影響した可能性が指摘されています。また、特に点数が下がった英語については、感染対策でしゃべらない方針があったので学習面に影響が出たのではないかと推測されています。もうひとつは、家計と学力の関係も指摘されています。今回の調査では、『家にある本の冊数』といったことなども聞いていて、これは学習環境や親の関心を示す要素と捉えるということです。現代では本だけを対象にするにはやや古い感じもするんですけれども、家にある本の数と学力スコアの関連を分析すると、中3の英語を除いた4教科では、本の数が少ない家の児童・生徒ほどスコアの低下幅が大きかったということです。これはあくまで相関関係から導き出されたものですけれども、担当者はこれを重く受け止めているということです。さらに加えるとですね、保護者にも調査をしていて、子どもがゲームやスマホを利用する時間が多いほど勉強時間が減って、スコアが低下する傾向がですね、こちらもあくまで相関関係ですが、わかったということです。課題をまとめると大きく分けて、"勉強時間の減少”と“各家庭の経済状況”、そして、“スマホなどのデジタル環境の影響”が挙げられます。専門家からは、デジタル環境の影響がかなり大きいのではないかという声もあります。


ユージ:今回の調査では、“子どもの良い成績にこだわらない”保護者が増加していることも分かったんですよね。これはどんな背景があるんですか?


塚越さん:保護者への調査では、【子供が学校生活を楽しんでいれば、良い成績にはこだわらない】という質問もありました。すると『当てはまる』と『どちらかといえば当てはまる』の合計が小6でおよそ6割、中3でも5割を超えていまして、最初におこなった調査と比べて、5~6ポイント増えていました。これを文科省の担当者は、不登校の子供が増えたことで成績よりも日々を楽しくすごすことに重点を置いているのではないか?とか、コロナ禍で経済的に苦しい世帯が増え、子供の成績にまで気にかける余裕がないのでは?という可能性を挙げています。これは読み解くのが難しいところですが、価値観が多様化して学歴以外のコースを尊重するポジティブな側面も読めます。けれども、やっぱり、余裕がないから成績にまで手がかけられないというネガティブな側面もあるのかなと思いますし、実際、良い成績にこだわらないと回答した保護者の子どもの方が学校外の勉強時間が短いとも言われています。専門家は、親子の会話が多い家庭ではスマホの使いすぎを防げて、勉強の習慣もつきやすいと指摘しています。が、経済的な余裕がないと、そもそも、家庭でのコミュニケーションができないですよね。だから、スマホが問題だと言われているんですけれども、前提に親子で喋っている時間があるか?さらにその前提には、経済的に親がずっと働かなければならないということが関係しているとなると、経済の問題がかなり大きいのではないかと言えますね。


ユージ::小中学生の学力が大幅に低下したこと、そして、“子どもの良い成績にこだわらない”保護者が増加したこと、塚越さんはどうご覧になりましたか?


塚越さん:今お話ししたように結構、複雑ですよね…。やっぱり、経済的な状況が大きいのかなと思うんですよ。なので、家庭の経済の社会的な手当てというのは重要かなと思います。良い点で言えば、いろいろな選択肢があるのでポジティブに自由に選んでいけるということもあるんですけれども、社会全体としては、子どもの学力への経済支援は大事なのではないかと思います。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。





過去の #ユジコメ を音声でCHECK!!

  • X
  • Facebook
  • LINE
Top