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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

25.07.30

関西電力が原発の新設に向けて調査開始…その背景と課題は?
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
本日は、情報社会学がご専門の学習院大学・非常勤講師、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!


「関西電力が原発の新設に向けて調査開始…その背景と課題は?」

吉田:関西電力は22日、福井県にある美浜原子力発電所で原発の新設に向けた地質などの調査を始めると発表しました。原発の新設に向けた具体的な動きは、東日本大震災後、全国で初めてとなります。塚越さん、この動きと、その背景について詳しく教えてください。


塚越さん:まず背景には2つの要素があります。ひとつは、生成AIなどの普及によって、電力需要の急増が予想されていることです。日本は人口が減っていますが、国の認可法人「電力広域的運営推進機関」の推計によると、国内の電力需要は2019年と比べて2050年は最大4割くらい増える見込みです。再エネも大事ですが、発電量が天候に左右されやすいという点もあり、色々問題もあるので原子力が安定供給につながる電源として期待されているということです。もうひとつは安全性、老朽化の問題です。現在稼働している美浜原発3号機は、今年で運転開始から49年ということで、今後の対応が求められています。基本的には60年が期限になっています。関西電力は去年、2050年を見据えた取り組みの一環として、原発の新増設と建て替えを打ち出しました。そこで既存の原子炉を改良して、安全性を高めた次世代型の「革新軽水炉」という原発の開発を進めています。新規の原発に関して関西電力は、2010年に美浜原発のある美浜町で地質調査をはじめたのですが、東日本大震災もあって中断していました。その間に1,2号機の廃炉が決定して、どうするんだ?という問題になっていました。なので今回、再び地質調査を行い、建設可能となれば原子力規制委員会に申請するということです。ただ、一般的に原発をつくるには、調査で8年、建設に12年かかるので、このまま進んだとしても20年後ということになります。


吉田:新設する原発として想定されているのは、次世代型の「革新軽水炉」。こちらは、どういった特徴があるのでしょうか?


塚越さん:これは福島第一原発事故の後に決められた新しい規制基準に合わせて、既存の原子炉に改良を加えたものです。基本的な仕組みはこれまでと同じで、高レベルの放射性廃棄物も発生しますが、安全対策のところに新しい技術を導入して、地震や津波、またテロ対策なども考えられているということです。安全対策でいうと、例えば、溶けた核燃料を受け止めて冷やす「コアキャッチャー」というものをつくったり、原子炉建屋を岩盤に埋めて耐震性を高める設計などが特徴です。これらは福島第一原発事故の教訓を活かすということです。ただ「革新」と名前はついていますが、個人的には、あくまで「アップデート」というレベルです。技術革新が出ているわけではないということが必要なのかなと思います。


ユージ:原発の新設に関して、現状、どのような課題があるのでしょうか?


塚越さん:2つほど、大きい問題があります。1つは資金です。原発は1基建設するのに一兆円かかるといわれるので、資金調達が大変ですし、当然ながら原子力規制委員会の審査を通す必要もあります。今回の原発は次世代型なので、審査にはより時間がかかるとも言われています。もうひとつは住民の理解です。また、関西電力は再稼働にあたって、使用済み核燃料を県外に移すことを地元に約束しているのですが、青森県の六ケ所村にある再処理工場は完成が2026年度中に延期されています。この予定はすでに27回も延期されているので、もともと97年にできる予定だったのがずっと延期になっています。そうすると、もっと延期になる可能性が高いです。原発を反対する声が出てくるのかなと。福島第一原発の核燃料デブリ取り出しが伸びると言われています。こういった点もあって、地元の方からすると、どんなんだ?という声があります。


ユージ:原発をめぐる、この動き。塚越さんは、どうご覧になりましたか?


塚越さん:実際問題、電力のひっ迫は世界中で言われています。アメリカでも、原発が見直されています。アメリカのビッグテック、例えばMicrosoftは、1979年に事故を起こしたスリーマイル島の原発があるのですが、事故を起こしたものとはちょっと違う、敷地内にある2号機との長期契約を行い、再稼働を支援する動きをみせています。またGoogleも小型のもの、新しい次世代型の原発がいくつか種類があるんですが、小型のものを企業と提携して建設する計画を進めています。政府もこういったもので推進レベルを上げていこうと言っているのですが、この社会は3.11を経験していますし、革新といってもアップデートレベルなので、ちょっと信用できない難しい点があります。ただ、やっぱり推進であっても反対であっても現状、色々な課題がある中で現実的には原発も考慮に入れているのは事実だと思います。海外をみても、そうなっていることを頭に入れて、ここを前提に共有したうえで議論していかないと、原発は本当に社会が二分するようなそういう問題ではあります。まず現状こういった課題がある、電力のひっ迫の問題があることを頭に入れておくことが重要なのかなと思います。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。





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