25.02.25
PFASをめぐる問題で環境省が報告書をまとめる。PFASとは何か?

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は、ダイヤモンド・ライフ副編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。
「PFASをめぐる問題で環境省が報告書をまとめる。PFASとは何か?」
吉田:健康への悪影響が懸念されるPFAS(ピーファス)をめぐって、環境省が水道事業者による定期的な検査や、基準値を超えた場合の対応を法律で義務付けるための報告書をまとめました。来年4月からの実施を目指しています。神庭さん、まずは最近ニュースでよく聞くようになったこの「PFAS」について教えて下さい。
神庭さん:「PFAS」は、有機フッ素化合物の総称で1万種類以上の物資があると言われています。水や油をはじき、熱に強いという特徴があります。これまでフライパンのコーティングや泡の消火剤、ファストフードの容器、防水加工した衣類、半導体や自動車製造など幅広い領域で使われてきています。
ユージ:身近なモノばかりですね!どういった危険性が指摘されていますか?
神庭さん:自然界で分解されにくいため「永遠の化学物質」と呼ばれ、人体にも蓄積されやすい性質があります。PFASがいったん身体の中に入ると、排泄されるスピードはゆっくりです。半分の濃度になるまでに、PFASの一種であるPFOA(ピーフォア)で平均3.2年、PFOS(ピーフォス)で平均5.7年かかるというデータもあります。WHOの国際がん研究機関は2023年、PFOAについて「発がん性の十分な証拠がある」グループ1に引き上げました。これはタバコやアルコール、加工肉、アスベストなどと同じ分類です。PFOSについても「発がん性がある可能性がある」グループ2Bに分類しました。こちらは漬物、ガソリン、ベンゾフランなどと同じ分類です。あくまでも発がん性を示す「根拠の強さ」でグルーピングしたもので、毒性の強さとは関係ないので注意してください。がん以外にも、脂質異常症や乳児・胎児の発育への悪影響を指摘する声が出ています。
吉田:そんなPFASは、現在どのように規制されていますか?
神庭さん:食品安全委員会のサイトによると、ストックホルム条約で、PFOAは2019年に「廃絶」。PFOSは、2009年に「制限」する物質に分類されました。これを受けて、日本でも法律で製造や輸入を原則禁止しています。日本は、2020年にPFOAとPFOSを合わせて1リットルあたり50ナノグラムという暫定目標を設けています。アメリカはそれぞれ4ナノグラムなので、これだけ聞くと「日本ガバガバで大丈夫?」と感じてしまうと思いますが、WHOやイギリスでも基準値は各100ナノグラム、日本だけが突出して緩いわけではありません。人体に影響を与える詳しいメカニズムが分かっていないので、各国の対応にバラツキが出ている面もあります。
吉田:そして、ニュースになっていますが、日本でも暫定目標値を上回っているエリアがあるみたいですね。
神庭さん:岡山県の吉備中央町では2022年、浄水場から国の暫定目標値の28倍となる1,400ナノグラムのPFASが検出されました。RSK山陽放送によれば、町が昨年に公費で住民の血液検査をしたところ、血中濃度が最も高い人で1ミリリットルあたり743.1ナノグラム、平均で151.5ナノグラムに達しました。日本では血中濃度の基準はありませんが、アメリカの学術機関では20ナノグラムを超える人は、「健康に留意が必要」とされていて、吉備中央町の今回の調査で、87.4%の人が20ナノグラム以上だったそうです。
ユージ:どうしてそんなに高い数値になってしまったのでしょうか?
神庭さん:水源近くの資材置き場に置かれた活性炭が発生源とみられています。活性炭はPFASの吸着に使われますが、使用済みの活性炭が雨にさらされると、そこからPFASが漏出するリスクがあります。PFAS汚染は、吉備中央町だけの問題ではありません。NHK報道番組「クローズアップ現代」によれば、東京・多摩のアメリカ軍横田基地周辺でも、高濃度のPFASが検出されています。NHKは内部資料をもとに、2023年1月に基地内で泡消火剤が漏れ出す事案があり、国の値の5万倍を超えるPFASが検出されたとスクープしています。
吉田:このPFASをめぐる問題、どう対処していくべきでしょうか?
神庭さん:日本の暫定目標、基準値が海外と比べて適正なのかどうか、科学的なエビデンスをもとに判断します。必要なら厳格化も検討すべきだと思います。並行して、血液検査の基準策定も進めてもいいかもしれません。一方で、国民がパニックにならないような情報発信の仕方を心がける必要もあるかなと思います。目に見えないものがいつの間にか忍び寄ってくるイメージは、人間の恐怖心を増幅します。似た例として、過去にダイオキシン問題や原発事故後の放射能パニック、コロナ禍でのドタバタがありましたよね。リスク・コミュニケーションの仕方を間違えると、差別や風評被害、過度な恐怖を呼び込んでしまいます。メディア側もセンセーショナルに恐怖を煽るのではなく、「ゼロリスクはあり得ない」という前提に立って、淡々と情報を伝えていくことが大切です。例えば、同じフッ素化合物でも、虫歯予防のために歯医者で塗るフッ素や歯磨き粉に配合されているフッ素は「無機フッ素化合物」でPFASとは全く違って安全なものです。またPFASに関しても、1万以上ある物質のすべてが危険と決まったわけではありません。恐れすぎず、侮りすぎず「正しく恐れる」姿勢を保っていただきたいなと思います。
ユージ:神庭さんが述べた通り、目に見えないものが怖いと思うと余計に恐怖が増幅するところがありますので、改めて「正しく恐れる」この姿勢が大切だということです。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) February 25, 2025
『PFASをめぐる問題で環境省が報告書をまとめる。PFASとは何か? 』について。
健康への悪影響が懸念されるPFASをめぐって、
環境省が水道事業者による定期的な検査や、…
#ユジコメ ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) February 25, 2025
これは、フライパンのコーティングとか、ファストフードの容器、防水加工した衣類などあらゆるものに使われていて、割と身近にあるものなんですね。
そのPFASに今回、基準を設けます。
目に見えないからこそすごく不安になったりするので、
僕はとてもいいことだと思いました。…
#ユジコメ ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) February 25, 2025
なので、そこは信じて適度に怖がるということが大事で、
今はネットを使って自分で調べたりもできます。
怖いと思ったら、一度ご自身で調べてみるのもいいかと思います。今回、初めてPFASという言葉を耳にしたという方は、ぜひ言葉と共にPFASがどんなものなのか、…