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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

24.10.01

主要銀行が出資、ソニーなども追加出資へ。資本の強化を進めるラピダスとは…
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。

ダイヤモンド・ライフ副編集長の神庭亮介さんにお話を伺います。
神庭さんに取り上げていただく話題はこちら!


『主要銀行が出資、ソニーなども追加出資へ。資本の強化を進めるラピダスとは…』

吉田:次世代半導体の国産化を目指す『ラピダス』に対し、三菱UFJ銀行や政府系金融機関など4行が最大で合計250億円をめどに出資する方針であることが分かりました。神庭さん、まずは『ラピダス』という会社について教えて下さい。


神庭さん:最先端の半導体の量産を目指す“国策会社”で2022年に設立され、北海道千歳市に工場を建設中なんですよね。先端半導体の量産には、5兆円が必要だと試算されていて、経済産業省はこのうち9200億円を支援することをすでに決めています。民間からも、トヨタ自動車、NTT、ソフトバンクなど、8社が合計73億円を出資しているんですね。これに加えて、メガバンク3行と日本政策投資銀行が合計250億円が投じる方針というのが今回のニュースです。


ユージ:出資の規模もすごいですし、出資する企業もすごいんですが、『ラピダス』はうまくいくと思いますか?


神庭さん:いくつか課題がありまして、1つ目は『技術面』なんですね。半導体は、回路の線の幅が細いほど高性能で、『ラピダス』は2ナノメートルを目指しています。1ナノが“10億分の1”ですから非常に細かい世界なんです。ところが、日本のこれまでの技術力では40ナノが限度でした。世界最大手の台湾の『TSMC』や韓国の『サムスン』も、まだ2ナノの量産は実現できていないんですよね。早稲田大学大学院 経営管理研究科の長内厚教授は自身のYouTubeチャンネルで「インターハイも出てない選手が、いきなりオリンピックで金メダルとるって言ってるようなもの」と指摘しているんですよね。


ユージ:まあ、でも、目標として、インターハイ出る前から「オリンピックで優勝するんだ!」って、みんな言ってますけどね。でも、この例えもわかります。


吉田:そう伺うと、技術面で大丈夫なのかな?難しいのでは?と思ってしまうんですけど、どうなんですか?


神庭さん:かなり厳しいことは確かで、そんなすごいことを来年4月に試作ライン稼動、2027年に量産スタートというスケジュールでやらないといけないので相当なスピード感が求められています。課題の2つ目は、技術的に2ナノ半導体を実現できたとして、それを『どうやってビジネスに結びつけることができるか?』という部分なんですね。とにかく、いいものさえ作ればビジネスは後からついてくる!というのは甘くて、『TSMC』や『サムスン』を向こうにまわして戦いながら、しっかり顧客を掴んでいかないといけないわけです。


ユージ:おそらく台湾、韓国勢は品質もいいし、値段も高くない。その辺で勝負できるかどうか?ってところで、結局、売れないと意味がないですよね?


神庭さん:おっしゃる通りです。先ほど紹介した長内教授は、ダイヤモンド・オンラインの《ラピダスの半導体事業は、機動戦士ガンダムの「ジム」を見習え》という面白い記事があって、そこでこんなふうに提言しています。
「ラピダスはラボレベルではガンダムのような超高性能半導体を作ることはできるかもしれない。中規模な設備での量産もできるかもしれない。しかし、それで国際的な半導体競争において、日本がしっかりと収益を確保し、持続的に研究開発費や設備投資を稼ぐことができるだろうか」
「ラピダスに限らず、日本のエレクトロニクス産業は、技術に逃げて、数に挑戦しない悪い癖がついているように思える。日本が作るべきはガンダムではなく、量産型のジムのほうではないだろうか」
エヴァンゲリオン世代でガンダムを知らない人には、もしかしたら、なんのこっちゃ?かもしれないですけど、なんとなく雰囲気だけでも伝ったかなと思うんですが…。


ユージ:雰囲気はちゃんと伝わってます!


吉田:神庭さん、『ラピダス』について他に課題はあるでしょうか?


神庭さん:3つ目の課題は、『お金』ですね。ある意味、最大のハードルと言えます。5兆円という大金を用立てないことには、『ラピダス』はスタートラインにも立てません。政府が支援する9200億円と民間からの出資、全部合わせても1兆円に満たないんですよね。残り4兆円をどうするか?ということですけれども、企業側からすれば「国が出せ!」と思っているし、国側からすれば「まず民間がお金を入れてくれないと支援し辛いよ」と思っている…。政府の中でも、ガンガンお金を出したい経産省と締まり屋の財務省の間で熾烈な駆け引きが繰り広げられているんですよね。安倍政権以降、経産省が力を持つ時代が続いてましたけれども、一定の財政規律を重視する石破さんが総理になって、半導体支援のあり方がどう変わるのか?というのも注目ポイントなのかなと思います。


ユージ:たしかにそこは気になるところですよね。神庭さんはこの『ラピダス』の行方について、どう見ていますか?


神庭さん:もちろん、うまくいってほしい気持ちはありますけれども、希望や願望と現実は切り分けないといけません。アメリカ、ドイツ、中国も半導体産業に公費を投入いるんですね。なので、日本だけが突出しているわけではないですし、民間のお金だけで世界と戦うのはしんどいかなと思います。台湾半島をめぐる情勢もかなりキナくささを増していますから、経済安全保障としても半導体の確保は重要です。その点は僕も重々理解していますけれども、だからと言って、無制限で税金をどばどば入れていいってわけでもないですよね。日本は1980年代に半導体で世界一になりましたけれども、アメリカの圧力で失墜しました。その後も『日の丸半導体』プロジェクトって何度も出てきましたけれども、公金を投入した末に失敗に終わってきたんですよね。だからこそ、『ラピダス』についても撤退ラインや失敗した時のプランBのあり方も含めて、国会でしっかりと議論してもらいたいと思います。


ユージ:そうですね。他の国もね、国が一丸となって戦っているわけですから、日本もそこは考えていく必要があるのかと思いますね。



そして、今日の #ユジコメ はこちら。





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