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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

24.07.08

きのう投開票が行われた東京都知事選挙について
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。


今日はダイヤモンド・ライフ副編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。神庭さんが注目した話題はこちらです。


【きのう投開票が行われた東京都知事選挙について】

吉田:東京都知事選はきのう、投開票され現職の小池百合子氏が再選を果たしました。改めて今回、小池さんがとった選挙戦略について教えてください。


神庭さん:小池さんは選挙戦の序盤、八丈島や奥多摩など人口の少ないエリアを周り、後半になるにつれて人口の多い都心部を攻める「川上作戦」をとりました。これは「選挙の神様」と言われた田中角栄も得意としたやり方です。離島の掲示板に小池さんのポスターだけが貼ってある写真をSNSでみましたが、離島や人口が少ない地域のこともしっかり考えていますよ、というアピールに余念がなかったです。こうした地上戦と並行して、SNSもかなり上手に使っていました。小池さんの動画や声を学習させた「AIゆりこ」を通じて都政の成果を発信したり、40代の頃に子宮筋腫で子宮を全摘出した辛い過去を短尺の縦型動画で明かし、そこから目玉政策の無痛分娩助成の話に繋げるなど、SNS戦略もこなれていました。優秀なブレーンがついているのではないでしょうか。


ユージ:小池さんのライバルとして注目されていた蓮舫さんの敗因は何でしょうか?


神庭さん:蓮舫さんは、小池さんと対照的に最初から都心のターミナル駅などでたくさん人を集めて演説をしていました。支持者同士の結束を高め、SNS上で「こんなに盛り上がっている」と伝える効果はあったのですが、最終的に無党派層に十分浸透することができませんでした。先ほどお話した通り、無党派層では石丸さんの方が小池さんを上回るほど優勢だったという報道もありました。選挙前の解説で、小池さんは自民党、蓮舫さんは共産党という既存政党との距離感がキーになるとお伝えしましたけど、ずるいと言えばずるいのですが、小池さんは自民党の支援をしっかり受けつつも、あまりそこを全面に出さず、ステルスでちゃっかり組織票だけゲットした。また対立軸をつくらせないように最初に1回公開討論会に出た以外は、ほとんど候補者同士の議論の場に出てきませんでした。一方、蓮舫さんは最初に「反自民・非小池」というテーマをバーンと打ち出した結果、党派性が際立つ形になり、最後まで保守層から「立憲共産党」と批判を受け中間層や無党派層からも敬遠されてしまったという状況です。


ユージ:裏金問題などに対する自民党への批判はあまり影響しなかったのですか?


神庭さん:全く無かったわけではなく、そういう思いを込めて蓮舫さんに入れた人も大勢いたと思います。より多くの人が、都知事選に国政の構図を持ち込むことよりも、具体的に都民の暮らしをどう良くしてくれるのか?を重視したということではと思います。そうなるとやはり、実績のある現職が有利になります。ただ、民意というのは面白いもので、非常にバランスが取れています。首長選挙で小池さんを勝たせた一方で、同じ日にあった都議補選では、自民系候補が苦戦を強いられました。結構負けが込んでしまったという報道があります。厳しい結果が自民党で出ています。自民党もこの結果を良しとして安心できるというわけではありません。裏金問題などに関する批判票は消えてなくなったわけではなく、都議補選の方にキッチリ反映されたとみるべきではないかなと思います。


吉田:都知事選で神庭さんが気になった場面はどういったところでしょうか?


神庭さん:新宿で小池さんが演説した時に「やめろ」コールが巻き起こり、演説が30秒ほど中断するという一幕がありました。これに関して、左派・リベラル派とみられる人たちが「自然発生的に起こったコール」「民意の現れ」「革命だ」と支持して拡散したのに対して、右派・保守派の人たちからは「ただの選挙妨害」「つばさの党と一緒」「小池さんがうまく切り返し、小池さんへの声援でやめろコールがかき消された」「民主主義の勝利だ」との声があがりました。僕はその場にいたわけでないので直接の論評は差し控えますが、同じ動画を見て、各陣営で全く正反対の主張をしていること自体が興味深いなと思いました。アメリカのトランプ支持者、バイデン支持者と一緒で別々の宇宙にいるような分断・断絶を感じました。


ユージ:話題がかなりある今回の都知事選だと僕も感じました。候補者数もそうですし、テレビ・ネット・色々ありましたが、この都知事選の結果をみてどう考えますか?


神庭さん:メディアの情勢調査では一貫して小池さんがリードしていました。「小池さんが勝つんでしょ」と投票を見送った人も中にはいたかもしれません。じゃあ、石丸さん・蓮舫さん含めて、小池さんに投票した人以外は全員死に票でムダだったかというとそんなこともないと思います。勝って兜の緒を締めよではありませんが、これだけの世論が「自分以外」を支持しているのかと小池さんにとって明確に可視化されたわけですから。ちょうど、石丸さんと蓮舫さんの票数を足すと小池さんの投票数と同じくらいになります。これを謙虚に受け止めて都政をやっていくことになる。好き放題はできないな、と背筋がピンと伸びるわけです。小池さんくらいしたたかな人でしたら、例えばライバル候補で日本版オードリー・タンとも言われた安野貴博さんに声をかけて「副知事やりませんか」「東京都のDX進めてください」とリクルートしたって全然おかしくないと思います。それ以外でも、10万票を超えて得票した人達は全国区に顔と名前が売れたことで、「今度はこの選挙に出ませんか」「国政に打って出ませんか」と声がかかるかもしれません。そういう意味でも民意がムダになるということは決してありません。選挙は参加することに意味がある。民主主義のログインボーナスみたいなものではないかと思います。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。





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