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24.07.09

沖縄のアメリカ兵による性暴力事件、連絡体制の不備について
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。


今日はダイヤモンド・ライフ副編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。神庭さんが注目した話題はこちらです。


「沖縄のアメリカ兵による性暴力事件、連絡体制の不備について」

吉田:沖縄のアメリカ軍兵士による性的暴行事件の相次ぐ発覚を受け、沖縄県議会のアメリカ軍基地関係特別委員会は先週、アメリカ政府への抗議決議案と日本政府への意見書案を採択しました。神庭さん、まずは今回の事件の経緯を教えてください。


神庭さん:共同通信によると昨年12月、沖縄県内に住む16歳未満で日本人の少女を車で誘拐し、自宅で同意なくわいせつな行為をしたとして、那覇地検は3月アメリカ空軍兵長の25歳の男を、わいせつ目的誘拐と不同意性交の罪で起訴しました。問題点は大きく2つあります。1つは事件そのものに対する沖縄の怒りです。全国の米軍専用施設の7割が沖縄に集中しています。琉球新報によると、沖縄が日本に復帰した1972年から2023年の51年間に米軍の軍人や軍属などが刑法犯で摘発された件数は6,235件です。そのうち殺人、強盗、不同意性交などで摘発された凶悪犯は586件にもなるということです。1995年に米兵3人が小学生の女児を暴行する事件が起き、2008年に海兵隊員が女子中学生を暴行、2016年にはウォーキング中の女性が米軍属に殺害されるなど、米軍関係者による事件が繰り返されています。そこへ来ての今回の事件。沖縄の人たちからすると、いつまで苦しめられなければいけないのかという強い怒り、悲しみがあります。


吉田:もう1つの問題点は何でしょうか?


神庭さん:連絡体制の不備、不作為です。事件が起きたのが去年の12月で、那覇地検が容疑者を起訴したのは今年の3月27日。しかし、沖縄県が知らされたのは6月25日でした。外務省はアメリカ側に抗議したものの、被害者のプライバシーなどを理由に県には連絡していませんでした。この間、5月には別の米兵が成人女性への不同意性交等致傷容疑で逮捕される事件も起こっています。昨年12月の少女の事件がもっと早く発表されていれば、米軍に綱紀粛正や外出禁止を求めるなど、何らかの手を打てたかもしれません。玉城デニー知事は、県に通報がなかったことについて「極めて大きな問題」だとして、国に抗議をしました。


ユージ:どうして県への連絡が遅れたのでしょうか?


神庭さん:「プライバシーへの配慮」というのも単なる言い訳というワケではないと思います。性暴力の被害に遭っただけでも大変な苦痛なのに、そのうえ、さらに大騒ぎになって身元が特定でもされたら困る。被害者側が、なるべく情報を出して欲しくないと望むこと自体は自然だと思います。ただ、どうもそれだけが理由ではなさそうです。NHKの独自報道によると、米軍による重大事件は、少なくとも10年ほど前までは県警と県の間で緊密に共有されていました。ところが、この数年の間にこうした情報共有が減っていったということで背景にあるのが、県と政府、県と県警の関係の悪化です。NHKの取材に対して、県警の元幹部の1人は「『県庁に情報を出したら、政治活動に利用されるのではないか』という空気感があったのは間違いない。県庁に対して県警が近寄れないような壁を感じるようになった」と話しています。


ユージ:それが本当だとしたら、かなりこじれていますね。ただ、繰り返されてきた事件でもあります。もっとうまく出来ないのかなと思います。


神庭さん:プライバシーに最大限配慮したうえで、情報をぼかしながらでも県に情報を伝えることはできなかったのか?とは思います。今からでも関係改善、信頼回復を進めていただきたいのですが、連絡不備の問題を受けて林官房長官は5日、関係省庁や自治体との間の情報共有のあり方を改善し、今後は捜査当局が公表していない性犯罪についても、沖縄県に情報を伝えると発表しました。また読売新聞によれば、沖縄県警から沖縄県に対しても「スピーディーに検挙か送致の時に県警から県に情報提供する」と説明があったそうです。


吉田:今回の件も含めてアメリカ兵による性暴力事件について神庭さんはどう見ていますか?


神庭さん:もちろん連絡体制の改善は大事ですけど、そもそも論で事件が起きないようにすることがもっと大事だと思います。琉球大学准教授の山本章子さんは東洋経済オンラインの連載記事「沖縄から見た社会のリアル」で、犯罪歴やメンタルに不調を抱える人物が米軍に入りやすい背景があると指摘しています。2016年に20歳女性が殺害された事件では、加害者の軍属は海兵隊に志願する際、集団面接で志望動機を聞かれて「人が殺せるから」と答えて採用されたそうです。何でそんな人物が採用されるのか、全く意味が分かりません。入隊してから綱紀粛正を呼びかける前に、まず入口のところから何とかして欲しいと思います。山本さんの連載では、他にも米兵たちの不健全な飲酒文化や基地内の娯楽施設が貧相なために基地の外に出て遊びたがる風潮があると指摘されています。一方で、中国・ロシア・北朝鮮など周辺国との緊張の高まりから日米安保の重要性は年々増していると思います。だからこそ、アメリカ側に対して対等なパートナーとして言うべきことを言っていくことが大切だと思います。「不平等」「治外法権」と言われながら、これまで一度も改定されたことのない日米地位協定についてもこの機会に改める必要があるのではないかと思います。


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