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24.07.01

出産費用の保険適用、本格議論スタート
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今日はダイヤモンド・ライフ副編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。神庭さんが注目した話題はこちらです。


「出産費用の保険適用、本格議論スタート」

吉田:先週、政府は出産費用の保険適用について、適用の是非や課題を議論する有識者検討会の初会合を開きました。神庭さん、まずはニュースの背景から教えてください。


神庭さん:出産は「病気やケガではない」ということで日本では自由診療扱いです。公的医療保険が適用されない。その代わりに、「出産育児一時金」という制度があって、健保組合などからお金が出ます。この一時金が導入された1994年は30万円だったのですが、出産費用が年々上昇しているのに合わせるように引き上げられ、昨年4月に42万円から50万円にアップしたばかりです。では、実際の出産費用はどれくらい上がっているかというと、2012年度から2022年度の10年間で約41万7,000円から約48万2,000円へ16%近く上昇しています。イタチごっこのような状況。また地域差も大きく、最も高い東京都では約60万5,000円で50万円の一時金から足が出ているのに対して、最も安い熊本県は約36万1,000円でおつりがくる状況です。医療保険の対象にすることで、出産費用が青天井で膨らんでいくのにストップをかけ、地域格差を是正しようという狙いがあります。


JOY:そもそも何で保険適用されてこなかったのでしょうか?


神庭:ダイヤモンド・オンラインの『医療費の裏ワザと落とし穴』という連載記事によると、1927年に健康保険がスタートした当時の制度が影響しています。出産する人に現金を給付する方法と、産院で医療サービスを現物給付する方法があったのですが、当時はほとんどの人が個人宅で出産していたので、現物給付を選ぶ人は少なかったです。そうこうするうちに、産院の現物給付方式は廃止され、自然分娩は保険適用せず現金給付で対応するという今につながる制度になっていったということです。


JOY:今回のニュースの本題である保険適用した場合のメリットを教えてください。


神庭さん:メリットとしては、出産費用はいくらという形で診療報酬に明確に定められるので、明朗会計になるということ。全国一律の料金で地域差もなくなります。あとは、便乗値上げによる出産費用上昇のイタチごっこにも一定の歯止めをかけられるんじゃないかなと思います。現状、正常分娩は自由診療、異常分娩は保険適用と対応が分かれているので、すべて保険適用になればそこはシンプルになるかなと思います。


吉田:デメリットは何でしょうか?


神庭さん:産婦人科を設けている病院からは、経営の打撃になることを懸念する声もあがっています。日経新聞によると有識者会議では、日本産婦人科医会の前田津紀夫副会長から「出産には人件費が非常にかかる。分娩しても損をしない体制を作ってもらないと医療機関はとても持たない」という意見が出されたということです。都市部と地方で出産費用に格差があるという話をしましたが、仮に診療報酬を安い方に合わせた場合、都市部では「割に合わない」と産科から撤退する病院が出てくるかもしれません。


JOY:産婦人科の経営はそんなに大変ですか?


神庭さん:便乗値上げばかりでなく、実際に出産にかかわるコストが上昇しています。厚労省によると一昨年から昨年にかけて出産費用を増額した施設は44.5%です。増額した理由としては、水道光熱費や消耗品、医療機器の高騰・医療者の確保が難しく、人件費が増加したといった理由が多くを占めています。


吉田:出産をする利用者側にはどんなデメリットがありますか?


神庭さん:将来的に大きな拠点病院に産科機能を集約していく流れになった場合、自宅や里帰り先の近くの病院で出産することが難しくなる可能性があります。保険適用になると、現役世代は「3割負担」です。仮に出産一時金を完全にやめて、保険適用に全面移行した場合、かえって持ち出しが増える人も出てくることになります。一時金の余った分でオムツやミルクを買うつもりだった人にはダメージになります。ただ、政府・自民党は出産に関する「自己負担ゼロ」としたい考えで、そうなると保険と給付金を組み合わせたような制度になるかもしれませんね。


JOY:神庭さんは、この問題についてどう考えていますか?


神庭さん:一口に「出産費用」と言っても色々あります。自由診療の枠組の中で、病院は豪華な個室やお祝い膳、エステ、アロマセラピーなど、あの手この手で妊婦さんへのサービスを競ってきました。それが悪いと言っているわけではなく、どこまで公費負担・保険適用の対象にするかということです。あとは、無痛分娩の費用は含めるべきか?といった議論は必要になってくるかなと思います。一方で、なんでもかんでも合理化、コスト削減で考えていった時に妊婦さんの待遇が今より悪化することは避けなければいけないと思っています。日本では出産から5日ほど入院するのが普通ですが、アメリカだとたったの2日ほどで退院だそうです。「診療報酬を抑えて、入院期間も減らしましょう」みたいな話にはしないで欲しいなと思います。「便乗値上げ」という言葉と「産婦人科が維持できない」という言葉に非常にギャップがあります。おそらく、その中間地点に妥当な公費負担の水準があるはずなので、議論のなかでその適切なラインを探っていただきたいです。


そして、今日の #JOYコメ はこちら。





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