24.06.25
開幕まで300日を切った大阪・関西万博、改めて考える万博の意義

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・ライフ副編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。神庭さんが注目した話題はこちらです。
「開幕まで300日を切った大阪・関西万博、改めて考える万博の意義」
吉田:自見英子国際博覧会担当大臣は、先週の記者会見で、来年の大阪・関西万博に参加予定だったアルゼンチンが不参加になったと明らかにしました。万博は来年の4月13日開幕。300日を切りました。ただ、ネガティブなニュースも報じられています。神庭さん、最近の万博をめぐる動きを教えてください。
神庭さん:とにかくトラブルや問題が相次いでいます。1つ目が、参加国の撤退と工期の遅れです。万博のパビリオンには、参加国が自前で建設するタイプA。日本側が建てて貸し出すタイプB、C。日本側が簡易なプレハブを建てて参加国に引き渡すタイプXがあります。このうち、タイプAは各国が力を入れて様々に意匠を凝らした建築を用意することから「万博の華」とも呼ばれています。ところが、当初は60カ国が参加を表明していたタイプAから次々に離脱する国が出ています。原因は資材価格の高騰と人手不足です。60カ国のうち5カ国がタイプCに、3カ国がプレハブのタイプXに移行したと報じられています。タイプ云々ではなく、そもそも万博自体から撤退する国も出てきています。冒頭に話があったアルゼンチンのほか、メキシコ、エストニア、ロシア、ニウエの5カ国が参加を辞退しているということです。
吉田:2つ目の問題点は何でしょうか?
神庭さん:膨らむ予算です。万博の会場建設費は国と大阪府・大阪市、地元の経済界で3分の1ずつ負担することになっています。ところが、当初の1,250億円の見込みから1.9倍の2,350億円まで膨らんでしまいました。しかも会場建設費とは別に、「日本館」の建設費などに800億円以上の国費負担が生じるということです。そこから派生して、会場を取り囲む木造建築「大屋根リング」に350億円使うのはムダじゃないか、若手建築家が設計する「デザイナーズトイレ」に2億円もかけるのは高過ぎる、と批判が巻き起こりました。一応、フォローすると大屋根リングは万博のシンボルで、設計を手掛けたのは世界的な建築家の藤本壮介さんです。間近で見ると結構、迫力があるらしいですね。トイレに関しても、FNNによれば吉村洋文大阪府知事はこう言っています。「建築家がトイレに魂も吹き込んでいます」「平米単価にすると、実は一般の公共施設のトイレと(1基あたりの)値段は大きく変わらない」と言っています。
ユージ:参加しない国が続出しているということで、さらに膨らむ予算。なかなか大変なことになっていますが、3つ目の問題点は何ですか?
神庭さん:安全性です。万博会場の夢洲は埋立地です。廃棄物が埋められているエリアもあり、地下にはメタンガスが溜まっています。今年3月には会場の建設現場で、メタンガスが原因の爆発事故が起きています。溶接作業の火花が引火したとみられています。幸いケガ人は出なかったものの、コンクリートの床や天井の一部など100平米にわたって被害を受けました。万博には大阪府内の子どもを無料招待する計画があるのですが、メタンガス事故を受けて、子どもの安全を危ぶむ声も出ています。
吉田:かなりネガティブ要素ばかりが並びましたが、万博のメリットとして考えられることは何でしょうか?
神庭さん:万博の公式サイトには、世界中から沢山の人やモノが集まる「万博」では新しい技術や商品が生まれ、生活が便利になる「きっかけ」となります。とあり、代表例としてエレベーターや電気自動車、AEDなどの例が紹介されています。それ以外にも、国内外から投資が拡大する。約2兆円の経済波及効果が見込まれる、次世代の若いクリエーターが自らの才能を世界に向けて発信できるといったメリットが紹介されています。
ユージ:なるほど。何かすでに普段から行われていることのようにも感じます。神庭さんは、来年の万博について、どう見ていますか?
神庭さん:国は税金を出すべきではないと思っていまして、「ものすごく経済効果があって儲かるんだ」「おいしい話なんだ」というのであれば、できるだけ民間や地元に任せるべきで、国がしゃしゃる話ではありません。国費は出さず、そこで得られる果実は地元・関西にすべて独占していただくのがいいのかなと思っています。逆に「どうも儲かりそうもない」「赤字になりそうだ」というなら、やはり国民の納得感を得られないので国費を投入すべきではないと思います。地元で完結する形であれば、予算が何千億円、何兆円に膨らもうと大阪府民、大阪市民が納得している限り、他のエリアの人は何も文句を言えないわけです。思う存分、盛大に万博をやればいいとのこと。やりたい人が、やりたい人のお金でやるのが一番かなと思います。
ユージ:お金以外に、万博には様々な価値があるという見方をする人もいますが、いかがでしょうか?
神庭さん:そこは考え方で、維新は積極的に行財政改革を進めることで、関西を中心に支持を得てきました。コストカット路線で教育や医療が空洞化している批判もありますが、実際に大阪や関西の人たちが「自分達の暮らしが良くなっている」と実感しているからこそ、維新は根強い人気を誇ってきたわけです。僕も税金のムダ遣いは大嫌いなので、なるべくムダを減らして民間にできることは民間に任せようという姿勢には共感する部分もあるのですが、こと万博に対するスタンスは「あまり維新らしくないな」と感じる部分もあります。だからこそ、維新らしさを発揮して欲しいです。「お金に代えられない価値があるんです」と言うのなら、そこは関西以外の納税者にもきちんと説明して理解を得る必要があるのではないかと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) June 25, 2024
#ユジコメ ②…
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) June 25, 2024