network
リポビタンD TREND NET

今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

24.06.24

通常国会が閉会、その成果は?
null

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。


今日はダイヤモンド・ライフ副編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。神庭さんが注目した話題はこちらです。


「通常国会が閉会、その成果は?」

吉田:今年1月26日に召集された通常国会が昨日、閉会しました。政府は62の法案を提出し、このうち61法案が成立。法案の成立率は98.4%でした。そこで今朝は、今国会のポイントについて神庭さんに解説してもらいます。


ユージ:今回の国会、「裏金国会」とも揶揄され、政治資金規正法ばかりが注目を集めていた印象がありましたよね。


神庭さん:時事通信や朝日新聞のまとめによると主にこんな法案が成立しました。やはり一番の注目は、話題になった政治資金規正法の改正案です。この他、お金にかかわる分野では1人当たり4万円の定額減税を盛り込んだ税制改正関連法、個人や企業から「支援金」1兆円を徴収する改正子ども・子育て支援法、子どもに関する領域では、離婚した後も父母双方が子どもの親権を持つ「共同親権」を可能にする改正民法、番組でも何度か解説してきた「日本版DBS」を導入する、こども性暴力防止法といった法案も成立しました。


ユージ:やはり、今国会といえば「政治資金規正法」です。改めて政治資金規正法の課題について、神庭さんはどう見られていますか?


神庭さん:一言で言えば、抜け穴だらけのザル法ということです。パーティー券購入者の公開基準を「20万円超」から「5万円超」に引き下げましたが、あくまでも1回単位の金額です。パーティーの開催回数に制限はありません。例えば、何度も開催して「4回分」で合計20万円徴収した場合、今まで通り購入者の名前を非公開にできます。しかも、20万円から5万円に引き下げるというだけで、自民・公明の間で散々、モメてました。使い道がブラックボックスで、二階さんが5年で50億円受け取っていたことで批判を集めた「政策活動費」も廃止せず存続することが決まりました。項目ごとの支出金額を年月単位で報告する、10年後に領収書を公開するといった一応の改善策は盛り込まれたのですが、何とも生ぬるい。どうせ黒塗りの、のり弁みたいな領収書を出すのではと思います。開示が10年後というのも遅すぎます。


ユージ:遅い。そもそも10年後に開示ですが、その前に時効がくるらしいですね。時効が迎えてからの公開になるので、問題があっても特に取り上げられない可能性がありますね。


神庭:廃止も含めて議論すべきだと思いますね。


吉田:他の法案で、神庭さんが気になったものは何でしょうか?


神庭さん:1人当たり4万円の定額減税に関しては、仕組みが複雑怪奇で企業に大きな負担を強いることになりました。その上、給与明細に減税額を明記することを義務付けるなど、恩着せがましいです。定額ではなく定率減税、一時的ではなく恒久減税にするなど、もっとシンプルで効果的な制度設計にすべきだったんじゃないかなと思います。そもそも「税収が増えたから国民に還元する」と言っていたのに、減税しきれない人には給付金で補填します、というのも矛盾ですよね。「払ったものを返す」のが還元であって、払っていないのにお金を渡すなら、それは還元ではありません。物価高で低所得層への対策が必要だと考えるのであれば、それは「還元」とはまた別のロジックで進めるべき話です。政策目的と効果の整合性がとれていません。お金に関する法律だと、子育て支援法もかなり引っかかる部分がありました。


ユージ:どんなところですか?


神庭さん:政府は少子化対策のために児童手当を拡充し、所得制限を撤廃するといったメリットばかりを強調しているのですが、重要なのは財源、負担です。1兆円の「支援金」制度をつくり、医療保険料に上乗せして徴収します。負担をするのは主に現役世代で、74歳以下が9割以上を占めます。現役世代が子どもを生み育てやすくするための少子化対策なのに、高齢者よりも現役世代の負担の方がずっと重いです。1人当たりの負担額はいくらなのか?岸田総理は2月に「500円弱」と答弁したのですが、これは数字マジックがあって実は子どもや赤ちゃんも含めた保険加入者全体で割った数字。その後、4月に政府が出した試算によれば、年収400万円の方は月650円、年収600万円は1,000円、年収800万円は1,350円、年収1,000万円は、1,650円になります。


吉田:最初に言っていた「500円」とは随分、開きがありますよね。


神庭さん:そうなんです。しかも今言った金額は、労使折半した後の数字です。企業負担分も含めたら、その2倍を子育て支援金として徴収されるということです。本来的に保険というのは、自分や家族の将来のリスクに備えて保険料を払うものです。目的外利用じゃないかなという気がします。そういう支出は本来、税で手当てすべきものですが、増税すると叩かれるから、取りやすい社会保険料を上げて「ステルス増税」しているということです。政府はそうした負担の議論を誤魔化すために「実質負担ゼロ」と言っていますが、サンドウィッチマンの「カロリーゼロ」よりあり得ない話です。


ユージ:確かにそうかなと思いますが、具体的に説明するとどういうことですか?


神庭さん:岸田さんは国会で「歳出改革と賃上げによって実質的な社会保険の負担軽減の効果を生じさせ、その範囲内で構築することにより、全体として実質的な負担を生じさせない」と答弁しています。ちょっと何言ってるか分かりません。そもそも賃上げされたら、その果実を得るのは労働者であって、賃上げで給料が増えても、支援金で相殺されたら意味がありません。誤解のないように少子化対策はどんどんやった方がいいですが、集めるだけではなくて最初から集める額を減らせばいいだけです。子育て世帯の可処分所得を増やしたいなら、支援金を集める前に、年少扶養控除を復活させるなど、そっちをやって欲しいなと思います。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。





過去の #ユジコメ を音声でCHECK!!

  • X
  • Facebook
  • LINE
Top