network
リポビタンD TREND NET

今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

24.06.13

起用が始まった"AIモデル・タレント"の現在地
null

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
本日は、情報社会学がご専門の城西大学助教、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!


「起用が始まった"AIモデル・タレント"の現在地」

吉田:衣料品専門店大手のファッションセンターしまむらが、販促にAIモデル「瑠菜」を起用をしたことが話題になっています。AIモデルは、去年の9月にお茶の日本で初めてCM起用されましたが、CMや広告で見かける機会が増えてきているのではないでしょうか?そこで今朝は、”AIモデルタレントの現在地”について塚越さんに解説いただきます。


ユージ:お茶のCMを見ていましたけど、かなりリアルですよね。塚越さん、CMや広告にAIのモデルやタレントが使われるのが、当たり前になりつつありますね。


塚越さん:そうですね。AIモデルは「デジタルヒューマン」などとも呼ばれますが、日本では2015年に「SAYA」という女子高生のAIモデルが登場して話題になりました。実はAIが人間に似てくると「不気味の谷現象」があって、すごく似てるけど、ちょっとでも違和感があると、すごく不気味にみえてしまうという現象がありました。これを「不気味の谷」と言われているのですが、映像レベルでは数年前にほぼ克服されたとみられています。今のAIは違和感がなかったり、逆に人間ぽい不完全さを演出することも可能です。そんな中、今回のしまむらのAIモデル「瑠菜」は、二十歳の服飾専門学校生で、モデルを目指すためSNS活動を開始したという設定になっています。若い女性からの支持を意識したビジュアルに仕上げて、5月23日にオープンした下高井戸店の販促ポスターチラシにも起用され、今後もSNSをベースに広告で活用するとのことです。


ユージ:いま瑠菜さんのInstagramの写真を見ていますが、すごい自然ですよね。


塚越さん:そうですね。


ユージ:映像になると、先ほど話した「不気味の谷」の口角がぴくっとした感じが気になりますが写真だと分からない!レベルが高い!


塚越さん:もうひとつ、お茶のCMで今と30年後の未来の自分が別人に見えないように、きれいな年齢の重ね方をしようという内容を表現するため、生成AIによるAIタレントを起用しています。どちらもAI modelという会社が作成しています。この会社は3月から三越伊勢丹と協業して、ECストアで専用のAIモデルを提供しています。このように、AIを利用した広告は今後も広がっていくとみられています。非常にクオリティが高いからということですよね。


吉田:メリットとしては何があげられますか?


塚越さん:しまむらによりますと、今回AIモデルを起用したのは、10代〜20代の若い女性客の取り込みだったり、変化のはやいファッショントレンドに迅速に対応するといった目的があります。AIは、スケジュール調整や撮影時間がかからないこともあり、AIのレベルがここまでくれば、人間よりコストを抑えつつ、より見せたい広告を展開できるということです。もっと言うと、AIモデルはスキャンダルを起こさないし、SNSで変なことを言いませんよね?中国では、AIモデルやデジタルヒューマンが日本以上に普及しており、バーチャルアナウンサーやバーチャルインフルエンサーが、イベントの司会やニュースを放送しています。また中国では、特に政治的発言に関して日本よりもセンシティブなので、人間よりAIモデルが求められる傾向にあります。


ユージ:とにかくAIは、0スキャンダルだからね。そこは大きいかもしれませんね。AIモデルというと、去年の6月に集英社が”さつきあい”というAIグラビアアイドルの写真集を発売しましたが、およそ1週間で発売中止になったことも記憶に新しいかなと思います。


塚越さん:さつきあいは、「実物のアイドルに似ているのではないか?」という点が問われました。証明するのは難しいですが、AIをつくるのに現実の人間をどれくらい学習させているかとか、どういう風に人間の画像を使われているのか?著作権はどうなのか?といったことも問われました。他にも、人間のタレントやカメラマンの仕事を奪うのではないか?など、法律だけでなく、社会的な倫理の問題も問われたこともあり、集英社はこうしたAIの課題に関する検討が不十分だったということで、発売を中止しました。この問題もあって、生成AIの利用ルールなどについて注目が集まりました。


ユージ:企業がAIモデルを起用する際の課題はありますか?


塚越さん:法的な問題は細かくありますが、生成AIでつくったものが、あまりにも現実の人と似ている場合は「創作的寄与(創作に関与している)」という形で法的に問われる可能性はあります。海外では、自分で作った曲に別のアーティストの声で歌わせた曲を一般人が配信サイトにアップして問題となり、アーティストの所属レーベルが削除要求を行って曲が削除されたこともあります。著作権について色々議論されていることもありますが、他には企業の場合は人間と似ていないかどうかもチェックする必要があります。


ユージ:AIモデルの起用は、これからも進んでいくでしょうか?


塚越さん:これは便利なので、人間よりも時間がかからないです。どんどん進んでいくことがあると思いますが、逆にあまりにも全部AIになってしまうとこれはこれでつまらないので、消費者の気持ちの問題です。そうなると、協業していく。ある程度、AIも出つつ人間も出てくると思いますが、おふたりは芸能の仕事ということもありライバルですかね。


ユージ:CMに関してはAIに置き換わる可能性がありますが、テレビのトークに関してまだ置き換えられないと思います。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。






過去の #ユジコメ を音声でCHECK!!

  • X
  • Facebook
  • LINE
Top