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26.07.07

国会空転の異常事態「正常化」は進むのか?

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
コメンテーターはダイヤモンド・ライフ編集長の神庭亮介さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!


「国会空転の異常事態『正常化』は進むのか?」

吉田:7月17日に会期末を迎える国会が空転しています。与党の国会運営に反発し、すべての野党が本会議と委員会への出席を拒否する異常事態です。与野党対立が激化する背景に何があるのか、高市総理が集中審議に応じたことで、正常化は進むのか、神庭さんに解説してもらいます。


ユージ:改めてなんですが、なんでこんなに揉めているんでしょうか?


神庭さん:大きく3つの理由があります。1つ目は中傷動画やサナエトークンの問題で高市総理が、答弁の代わりに秘書の陳述書を出して幕引きしようとしたことです。総理の側からすると週刊誌報道をもとに延々と追及されるのはたまらないですからそういう形を提案したのだろうと思いますが、文書を出してチャンチャンだと、やりとりが議事録に残りません。野党は国会軽視だということで反発して、参院予算委員会での集中審議を求めてきました。それに応えるということが今決まっているわけですけれども。2つ目、3つ目は、衆議院の議員定数削減法案と副首都構想の関連法案です。与党はこの2つの法案の審議入りを衆議院で強行しました。これに対して全野党が一致して、本会議や委員会への出席を拒否するという手に打って出ました。


ユージ:野党が強硬に反発している理由はなんでしょうか?


神庭さん:定数削減と副首都のどちらも、日本維新の会の肝煎りの政策です。自民・維新の連立合意書にもうたわれています。高市さんとしては維新との約束を果たすんだ、という強い思いがあるのかもしれませんが、野党は野党で必死です。特に定数削減の方は自分たちの存続にもかかわってきます。与党が出してきた法案は、「法律の施行から1年以内に結論が得られなければ自動的に衆院の比例代表を45議席減らす」という内容です。中小政党ほど比例での風を受けて議席を獲得しているので、比例の削減は野党の方に不利になります。だから野党は「与党が有利になる」「党利党略だ」と猛反発しているわけです。


吉田:審議拒否は今までにもありましたが、今回は何が違うのでしょうか?


神庭さん:右から左まですべての野党が一致して動いているところだと思います。最近、ある政党がXに投稿した文書が拡散されました。そこにはこんな風に書かれています。「民主主義の根幹を揺るがしかねない与党の暴走が起こっています。自分たちは衆議院選挙で勝ったのだから、野党の意見は聞く必要がない。うるさい野党を排除するために与党に有利な選挙制度をつくり、自分たちの地元に開発利権を引っ張ろう。与党側のそうした思惑が見え隠れするので、思想や政策の壁を越えてすべての野党が連携し審議拒否をしているのです」という文言なのですが、これを聞いて、中道改革連合かな?それとも共産党かな?と思った方はハズレです。実は参政党が「号外」として出したものなんですね。参政党と言えば保守色の強い右派政党ですから、意外な印象を受けた人も多いのではないでしょうか。


吉田:つまり、考え方の違う野党が結束している点が、これまでと違うということですか?


神庭さん:その通りです。「なんでも反対」の左派政党が審議拒否をするのはいつもの話で特に意外性がありませんが、今回は「いつメン」以外も参加しているところにニュース性があります。国旗を傷つける行為を禁止する「国旗損壊罪」が6月30日の衆院本会議で可決されました。この法案は国民民主党や参政党も共同提出していて、チームみらいも委員会採決では賛成していましたが、3党とも本会議での採決を欠席しました。法案を出した側が欠席するのは異例のことです。しかも国旗損壊罪なんて参政党が最もアピールしたいはずなのに、あえて出席しませんでした。ここに今の国会の異質さを感じます。


ユージ:これから正常化に向かっていくのでしょうか?


神庭さん:高市総理が集中審議に応じるということで、3つの問題のうちの1つ、サナエトークンについては解決の道筋がつきつつあるんですけれども、定数削減と副首都っていう、残り2つの問題が、依然くすぶり続けているわけなので、混乱は続くのではないかなと思います。衆議院の森英介議長は1日、与野党7党の幹事長に対して、定数削減と副首都の2法案について「互譲の精神」(互いに譲り合う精神)で協議してほしいと要請しました。皇室典範の改正案を最優先で審議するように呼びかけました。自分たちの看板政策を後回しにするように言われたわけで、維新は当然不満です。ANNによると、維新の中司幹事長は「議長としていかがなものか」と疑問を呈しました。先に2つの法案を処理したかった官邸の幹部からも「森議長のやったことはクーデターだ。シナリオがひっくり返った」という声が出ているそうです。自民党内でも官邸主導でゴリゴリ進めたい人たちと、穏健的な国会運営を望む人たちとの間でどうも隙間風が吹いているようです。


吉田:国会の空転、神庭さんはどう見ますか?


神庭さん:次の焦点は国会の会期延長があるかどうかです。17日の会期末まで今日を入れても11日間しかありません。定数削減や副首都法案を参院で否決されても、衆院で3分の2以上の賛成があれば再可決できます。衆院の優越がありますので。参院が60日以内に議決しない場合も、否決したものとみなされて再可決の対象となります。与党のなかには、「会期を60日延長して、もう衆院で再可決してしまえばいいじゃん」という強硬論も出ています。私は重要な法案ほど衆参両院でしっかりと議論を尽くして決めるべきだと考えますが、「会期延長」「みなし否決」「衆院再可決」のこのトリプルコンボが発動するっていうシナリオも現実味を増してきているので、注視していく必要があると思います。

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