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26.07.08

政府、現金給付にマイナンバー活用へ…その課題は?

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。

情報社会学がご専門の学習院大学 非常勤講師の塚越健司さんにお話を伺います。
塚越さんに取り上げていただく話題はこちら!


『政府、現金給付にマイナンバー活用へ…その課題は?』

吉田:共同通信によりますと、デジタル社会の実現に向け、政府の取り組みをまとめた重点計画案が今月2日、判明しました。マイナンバーを活用し、政府が直接、国民へ現金給付する仕組みを構築するのが柱です。塚越さん、こちらの「重点計画案」について、詳しく教えてください。


塚越さん:今回の計画案は、特にコロナ禍での行政手続きに関して、デジタル化の遅れが目立ったことを背景に災害や感染症等の非常時に備えた『給付の仕組み』をつくると強調しています。給付で思い出すのはコロナ禍の1人10万円の給付ですよね。あの時は銀行口座に振り込まれましたが、自治体の実務現場では混乱もあり、課題が浮き彫りになりました。特に今回の計画案の原案では、コロナ禍の経験を『デジタル敗戦』と位置づけるなど、反省といいますか危機感を抱いているということですね。そういうこともあり、今も給付作業は自治体に委ねているのですが、今後は地方に負担をかけずに、国が迅速に行うとしています。具体的な方法としては、予算執行などを管理する官庁の会計システム『ADAMS』を使うことを想定しています。振り込みを指示すると日銀から各金融機関を経由してマイナンバーとひも付けた『公金受取口座』に振り込まれるということで、このシステムについては、今年度からデジタル庁を中心に具体的な検討を始めるということです。


吉田:『マイナンバーを活用し、政府が直接、国民に現金給付する仕組み』の構築。こちらは、どのような課題があるのでしょう?


塚越さん:まず、『マイナンバー』という『番号』は全員に付いていますが、マイナンバーカードはまた別であって、マイナンバーカードの取得や給付を受け取る口座の登録は任意になっています。課題はですね、そうなると給付の受取口座ですよね。口座の登録は、今のところ5割程度にとどまっています。なので、今回想定している仕組みを使うなら、登録率をかなり上げて、それこそ100%近くまで上げないといけないということです。『任意のもの』をどうするのかというのが大きな課題になりますし、あとは、登録する時も、口座が本人のものかどうかの確認が必要になるんですね。どういうことかというと、3年前に公金受取口座に別人の口座がひも付けられるミスが相次いで、社会的にも大きく報じられ問題になりましたよね。あの混乱を繰り返してはいけないという課題もあります。ほかにも、給付を行う際の人員確保とか組織の整備といった問題もありますので、この給付システムがいつ導入できるかが今後の課題であり焦点だと思います。


ユージ:『重点計画案』には、このほかにもデジタル社会の実現に向けた取り組みが盛り込まれているんですか?


塚越さん:はい、そうなんです。まずは運転免許証の情報をスマホに記録する『モバイル運転免許証』を早期に実現することを目指すと計画書には初めて明記されるということです。今の道路交通法では、通常の運転免許証かマイナンバーカードに情報を記録した『マイナ免許証』のいずれかを携帯しなければならないのですが、『モバイル運転免許証』、つまりスマホに登録できれば、実物のカードを携帯しないで済むということですよね。あとは、外国人政策のデジタル活用も盛り込まれていて、来年3月からマイナンバーを活用して、出入国在留管理庁が税や保険料の情報を取得できる仕組みをつくり、滞納などがあると在留資格の更新を認めないといった対応を行うことで、未納を防ぐということです。これは有効かもしれませんが、外国人の生活の土台に深く関わることなので、悪質な未納か制度が理解しきれずの未納かなど機械的な処理ではなく、実態に沿って対応することや場合によっては異議申し立てなどの仕組みも必要だと思います。どうしてかというとですね、それだけ情報が集約されることは便利なんですけど、大量のデータを処理するということは、これによっていろんな管理・選別ができるので、そこで不利益が出る可能性があるので運用方法については検討が必要かなと思います。


ユージ:デジタル社会の実現に向けた『重点計画案』。塚越さんは、どうご覧になりましたか?


塚越さん:給付システムについては便利になるということで、基本的には賛成ですが、この仕組みって、事実上インフラになるわけですよね。そうすると、もともと任意だった公金受取口座の登録を100%くらいにしないといけない、では、どうするんだろうか。マイナンバーカードの時はポイントを配布して取得率を上げたわけですけど、今回もそういうことをするのかと…?だったら、高市総理が国民にちゃんと説明をすること、そして、第三者機関がいろいろな問題に対して検証できる制度も必要だと思います。それができないのであればもう一度考え直さないといけないくらい、だからこそ、政府の方からちゃんと説明をして、そこから初めて義務化の議論になるのかなと思います。ある程度、国民が納得できるかということが重要であって、今の高市政権は支持率は高いですけど、少し説明不足と言われていますので、ここでちゃんと説明できるのかということが、やはり重要になってくると思います。

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