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26.07.21

55%の世帯が「生活が苦しい」と回答、本当に必要な対策とは?

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
コメンテーターはダイヤモンド・ライフ編集長、神庭亮介さんです。
神庭さんが注目した話題はこちら


「55%の世帯が『生活が苦しい』と回答、本当に必要な対策とは?」

吉田:厚生労働省(以下、厚労省)が15日、2025年の「国民生活基礎調査」を発表しました。生活が「苦しい」と答えた世帯は55.4%に達し、特に母子世帯や子育て世帯で「苦しい」という回答が目立ちました。今朝は、生活苦の背景や取るべき対策について神庭さんと考えます。


ユージ:まず、詳しい調査結果を教えてください。


神庭さん:約33万世帯を対象にした厚労省の調査で、生活が「大変苦しい」と答えた人は23.2%、「やや苦しい」は32.2%で合計55.4%を占めました。前年の58.9%に比べると3.5ポイント減少したものの、依然として多くの人が生活の苦しさを感じているということですね。世代や属性別で見ると、高齢者世帯では「苦しい」が52.1%で全体平均を下回った一方で、子どものいる世帯は61.5%、母子世帯では82.1%と全体を大幅に上回りました。子育て世帯が大きな負担感を抱えている実態が浮き彫りになったということで、そりゃ少子化も進むわな……という調査結果ですね。


吉田:「苦しい」という声が多い背景は、やはり物価高などでしょうか?


神庭さん:大きく3つあって、一番大きいのはインフレです。NNN(日本ニュースネットワーク)は厚労省の「飲料や食料品の物価高が影響した可能性がある」という見解を伝えています。数年前までコンビニおにぎりは120円くらいで買えていましたが、今では200円が当たり前ですから大変ですよね。円安も物価高に拍車をかけています。iPhone 17は最近、12万9,800円から14万2,800円に値上げされ、Pro Maxも2万円アップの21万4,800円に引き上げられました。スマホで14万円超は痛いという感じですが、アメリカだと799ドル。ドルベースで見ると、ああそうか、そんなもんかな、という感じ。iPhoneが高いというより、円の価値がダダ下がりしています。


吉田:2つ目の要因は何でしょうか?


神庭さん:賃金の伸び悩みです。2025年度の実質賃金は前年度比0.5%減で、4年連続のマイナスです。国民の「苦しい」という声には、物価高に対して、なかなか伸びない賃金事情が反映されています。実は5月の実質賃金は前年同月比1.4%増で、2026年に入って5カ月連続でプラスにはなっているんです。ようやくインフレを上回る賃金上昇が見られるようになってきたのはいいことですが、今回の国民生活基礎調査はあくまでも2025年時点のものですから、2026年に入ってからの賃金上昇は加味されていません。


ユージ:そして、生活が苦しい3つ目の理由は何でしょうか?


神庭さん:再分配に偏りが生じていることです。再分配というのは税金や社会保険料などの形で集めたお金を、必要な人や分野に配り直すこと。国家の中核的な役割のひとつです。ジニ係数といって、社会の不平等さや、格差の度合いを示すモノサシがあります。再分配の前と後でジニ係数がどう変化するかを比較すると、高齢世帯では格差が大幅に縮まっているのに対して、現役世代の方は小さな改善にとどまっています。日本の再分配は年金や医療・介護など高齢者に偏っていて、子育て世帯や現役世代への支出が相対的に少ないです。OECD(経済協力開発機構)平均と比べても、現役世代への再分配が手薄なのです。結果として負担のしわ寄せが偏り、子育て世帯の6割超、母子世帯の8割超から「苦しい」という声があがっているのかなと思います。


ユージ:厳しいですね。どうしたらいいのでしょうか?


神庭さん:個人としてできることと、国として取り組むべきことの2つに分けて説明します。まず個人としては、投資によってインフレの力を家計に取り込むことも選択肢になると思います。インフレ下では現金や銀行預金の価値が相対的に目減りしていきます。一方で、株式や不動産などの資産はインフレに強く、価値を維持しやすいです。新NISAやiDeCoなどの税制優遇を上手に使いながら、毎月コツコツ長期分散投資をしていくことは有効な家計防衛術になり得ます。間違ってもレバレッジを効かせて、一発逆転の大勝負を狙うようなことはしないでください。韓国ではハイリスクな取引で大損する人が続出して社会問題になっています。新NISAやiDeCoだとレバレッジ取引はできないですが、それなりに値動きが大きい商品はあるので、自分が取れるリスクをよく見極めて。日々の値動きに心乱されるような金額を投資に回すのはNGです。「NISA貧乏」にならないように、余剰資金の範囲で自己責任でやっていただきたいなと思います。


吉田:政府にはどんな対応が求められますか?


神庭さん:高齢世帯に偏った再分配を改めて、現役世代や子育て世代を支えていくことです。超党派の「社会保障国民会議」は中低所得者向けの新たな給付制度を2029年度に本格導入する方針を決めました。働く中低所得の人たちを支えようという方向性はいいのですが、問題は「具体的にどの範囲で配るのか?」ということですよね。結局バラマキに終わるのではないかという不安は尽きないです。当初は給付付き税額控除と言っていたのに、いつの間にか「控除なし」の「給付」だけになっているのも不可解です。困っている人にスピーディーにお金を届けるのと同じくらい、特に困ってない人にはムダなお金を配らないことも大切なので。納税者に納得感のあるような制度を構築していただきたいと思います。

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