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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

26.07.22

国旗損壊処罰法、成立…懸念は処罰対象の曖昧さ

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。

情報社会学がご専門の学習院大学 非常勤講師の塚越健司さんにお話を伺います。
塚越さんに取り上げていただく話題はこちら!


『国旗損壊処罰法、成立…懸念は処罰対象の曖昧さ』

吉田:日本国旗の損壊行為を処罰する「国旗損壊処罰法」は先週金曜の参議院本会議で自民党、日本維新の会、国民民主党、参政党などの賛成多数で可決、成立しました。日経新聞によりますと、処罰対象の線引きに曖昧さが残り、今後の運用に慎重さを求める声が出ている、ということです。塚越さん、この「国旗損壊処罰法」について、詳しく教えてください。


塚越さん:まず、この法律は高市総理が就任前から必要と主張していたもので、去年10月の自民と維新の連立合意書にも盛り込まれていました。その上で、今回はこの2党に加えて国民民主と参政党を含む4党で法案を共同提出して可決したということです。簡単にいうと、国旗を「著しく不快、または嫌悪の情を催させる方法」で公然と壊したりした場合には、2年以下の拘禁刑、または20万円以下の罰金を科すものです。具体例はのちほどお話しします。他にも、高市総理をはじめ、保守色の強い政治家は以前から望んでいたことや外国の国旗を同様に燃やした場合はすでに処罰される法律があるので、日本の国旗についてのルールもつくったというのが大枠としての背景です。


吉田:どのような行為が処罰の対象になるんですか?


塚越さん:今お話しした内容でいえば、確かに国旗は大事ですし壊すのはよくないので法律があってもいいと思う人もいらっしゃると思います。ただ、細かく見ていくと、やっぱりちょっと疑問点も出てくるんですね。簡単にいうと、“どういう行為がダメなのか?”、“何はいいのか?”などの線引きが曖昧なんですよ。例えば、国旗の定義は「国旗として用いられていると社会通念上認められる有体物」とされています。これも具体的ではないので難しいところがありますが、自民党内で議論された内容や国会に提示された資料にはいくつかの事例が出ています。まず、“国旗って何?”というと、私たちがすぐに思いつく、布や紙でできていて、さおに掲げられているものですね。では、処罰の事例としていくつかあげられているものですが、たくさんある中で例えばですが…
一つ目は、公共の場で持参した国旗を引き裂く、燃やす、切り刻むこと。二つ目、国や自治体の建物に掲げられた国旗を降ろして投げ捨てること。これはそもそも、窃盗や器物損壊罪などでNGだと思います。三つ目が公園などで国旗を踏みつけて泥だらけにする。四つ目、自室で切り刻みながら、その状況をライブ配信すること。といったことが処罰の対象になるということですね。一方、資料では処罰の対象にならない国旗もあげています。それが「お子様ランチの旗」や「絵画の一部」、あとはアニメやゲーム、生成AIといった「創作物」も対象外です。お子様ランチの旗くらいは気にするなということだったり、ゲームや映画の表現の一環で国旗を損壊するシーンはあるわけで、これらは大丈夫といったところです。あとは、国旗を中心に寄せ書きすることもありますが、これも対象外ということです。


ユージ:悪意を感じなければ大丈夫といったところなのかな?


塚越さん:基本的にはそうなんですけれども、こうした事例は分かるんですが、逆にいえば、そこまで細かくルール付けしないと分からない程度に処罰の境界が曖昧というところです。他にもたくさんの処罰の対象/対象外の事例がありますが、一方で、政治表現や芸術表現の名を借りて、社会的に許されない行為の場合は違法性を問われる可能性があるともされています。私はこれが一番問題かなと思っていて、結局、「不快」の定義は曖昧で社会の空気によっていくらでも罰せるか罰せないかが決められてしまうということなので、国旗を壊すのは良くないのは前提としても、法律としてはかなり微妙な、法として通用できるのか?と思わざるを得ない内容かなと思います。


ユージ:ルールを作るとなると難しいですよね。 お子様ランチの国旗は大丈夫となると、じゃあ、お子様ランチの国旗を燃やそうぜ!とか、そういう輩もでてきたりするかもしれないし。そうしたら、それはどうなの?ってなるし…。「国旗損壊処罰法」、塚越さんはどうご覧になりましたか?


塚越さん:基本的に、破ったりするのは良くないというのは大前提だと思うんですけど、不快ということと、それを犯罪にすることは別問題で、今お話しした通り、曖昧だったじゃないですか?保守派の政治家は、国旗を大事に守ろうという気持ちを醸成するという意見もあったんですけど、逆にいうと、国旗が怖くなってしまう。万が一、破れたり汚れたりしちゃうと怒られちゃうのかなと…。


吉田:お子様ランチの国旗いらないです。とか言いたくなっちゃいますよね。


塚越さん:ちょっと怖いという気持ちの方が醸成されちゃうし、そもそも本当にこの法律っているの?と…。こういうのを「立法事実」というんですけど、実際に問題があったときには法律は必要ですけど、今現在、現状で問題になるのかというのを考えたときに、高市総理もやりたかったでしょうけれども、日本ってもっとやることいっぱいあるじゃないですか?


ユージ:そうですね。特に今はやることいっぱいある時期ですね。


塚越さん:やることがいっぱいある時期にコレということで、総理の支持率下がってますけれども、こういった運用はデメリットが多かったんじゃないかなと思います。

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