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26.07.27

群衆の殺到、AIで防げ!夏のイベントを守る最新技術

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
コメンテーターはダイヤモンド・ライフ編集長、神庭亮介さんです。
けさのテーマはこちら!


「群衆の殺到、AIで防げ!夏のイベントを守る最新技術」

吉田:お祭りや花火大会などイベントが増える夏。雑踏に群衆が殺到して事故が起きることを防ぐため、AIを活用する動きが広がっています。そこで今朝は雑踏事故を減らすための取り組みや課題について、神庭さんに解説してもらいます。AIを使った雑踏警備、一体どんなものなのか、教えてください。


神庭さん:警備会社「KB-eye」では、群衆事故が起きる傾向をAIカメラでいち早く察知して、ウェアラブル端末を装着した警備員に通知する仕組みを提供しています。同社サイトなどによると、カメラなどは持ち運び可能で、警備員が現場に持っていくだけで使うことができる。混雑予想エリアの雑踏密度の推移をリアルタイムで解析して、危険な兆候がないかAIでモニタリングしているそうです。LED表示板に注意書きや迂回路を表示して、観客を誘導することもできるということなんですね。


ユージ:そこまで進化してるんですね。


神庭さん:日経新聞によれば、例年多くの人が訪れる京都の祇園祭や八坂神社の初詣にもKB-eyeのシステムが導入されているそうです。橘田孝一CEOは、日経の取材に「明石のような雑踏事故をなくしたいとの思いがあった」「警備に携わる人間の経験や勘に依存せず、安全なイベントを届けようとシステムを開発した」というふうに仰っています。そして、兵庫県明石市の雑踏事故からは今年で25年が経つんですよね。


ユージ:もうそんなに経つんですね。


神庭さん:2001年7月に起きた明石花火大会歩道橋事故では、歩道橋に見物客が殺到して群衆なだれが起きて、10歳に満たない子ども9人と高齢者2人の合計11人が亡くなり、247人が重軽傷を負いました。兵庫県警の資料には、事故に遭遇した人たちのこんな証言が記録されています。「人の重みと圧力で息ができなくなり、目の前が真っ暗になり数秒であると思うが気を失った」「あちこちで子供をかばう親の声が飛び交い、『子供が死んでしまう』『子供だけでも助けて』との叫び声……」「超満員の電車のような状況」「大人達が歩道橋の側壁に手をつき人のトンネルを造り、子供達を必死で守っていた。怒号や助けを求める声などで地獄のようだった」など、非常に凄惨な現場だったことが伺えます。


ユージ:非常に痛ましいですね。記憶に新しいところでいうと、4年前にはソウルの梨泰院でもこのような雑踏事故がありましたよね。


神庭さん:2022年の梨泰院の事故では、ハロウィンで多くの人が集まって、日本人2人を含む158人が亡くなりました。生還した後に自殺した方もいらっしゃいます。この事故では亡くなった人の3分の2を女性が占めたんですね。体格の小さな女性や子どもは、雑踏事故で被害に遭いやすいです。こういった事故を未然に防ぐためにも、AIやデジタル技術の導入は欠かせないということなんですね。


吉田:雑踏警備へのAI導入で期待されるメリットは何でしょうか?


神庭さん:事故防止はもちろんですけれども、他にも、少ない人員で効率的な警備ができるとか、混雑のストレスによるクレームやいざこざ、トラブルを防げるといったメリットが期待できます。群衆のなかで1人だけ逆方向に進むとか、不規則な動きをしている人間がいたら防犯対策にも活かせるかもしれないですよね。


ユージ:他にはどんな技術があるんですか?


神庭さん:例えばNECは、防犯カメラの映像をAIで解析して、10分先の混雑状況をリアルタイム予測する技術を開発しています。大阪大などの研究チームは、AIカメラやBluetoothなどから得たデータを使って、コンピューター上に群衆を再現するデジタルツインを構築。東京ドームシティで、野球の試合終了後の観客動向を予測する実証実験も行っています。


吉田:海外でも研究が進んでいるんですか?


神庭さん:アメリカのWaitTime社は、スタジアムや遊園地、空港などで、待ち時間や人混みの密度を可視化するサービスを提供しています。アメリカのCrowd Cushion社は、スポーツや音楽イベントなどの会場で柵・バリケードに群衆の圧力がかかったときに、運営側にリアルタイムで警報を出すシステムを開発しました。ライブ会場で興奮した観客がステージ前に押し寄せるようなケースでは役立ちそうです。サウジアラビアでは、メッカ巡礼に訪れた人たちをAIでリアルタイムに把握して、人混みを管理しています。サウジでは2015年に2000人以上の巡礼者らが亡くなる群衆事故が起きていますので、そういった教訓も踏まえて安全対策をしているのではないかなと思います。


ユージ:最後に、この雑踏事故防止の課題は何でしょうか?


神庭さん:AIは非常に便利なもので、危険の兆候を掴むのには役立つんですけれども、入場を制限する、通路を閉鎖する、アナウンスする、警備員を増員する、といった部分は、人間の側で判断して対応しなければなりません。DJポリスもまだまだ必要になってくると思います。当たり前のことですが、AI任せにするのではなく、人間の意思決定の「支援ツール」としてAIを活かしていく姿勢が大切かなと思います。それに加えて最近技術も発達していますので、監視カメラだけでなくドローンの映像も組み合わせると、より精度高く群衆の状況を掴むことができるはずです。そういった技術面の革新にも期待したいと思います。


ユージ:そうですね、AIの進化もそうですし、カメラ精度も上がっていますし、そういった所を有効活用していただきたいなと思います。

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