腸内細菌と免疫の専門家であり、第一人者の薬学博士・國澤純先生をお招きしています。今日のコードは「「腸活」新常識!~國澤純先生に聴く腸内細菌と健康の深い関係~」です。
■今週のChordは“「腸活」新常識!~國澤純先生に聴く腸内細菌と健康の深い関係~”
ユーミン:夏の疲れが出てくるこの季節、胃腸の調子が今ひとつ・・・というあなたの救世主!
今日は、腸内細菌と免疫の専門家であり、第一人者の薬学博士・國澤純先生をお招きしています。
先生には、腸のすごい世界、その最新研究について伺っていきますが、本題に入る前に、素朴な疑問を。
腸の専門家が、必ず毎日食べているものって何ですか?
國澤:実はですね、これは逆で、「毎日同じものを食べない」ということを心がけています。
ユーミン:そうですか。発酵食品とかどうですか?
國澤:発酵食品もとるんですけれど、発酵食品も、例えば、ヨーグルトを食べたり、納豆を食べたり、キムチを食べたり、日替わりにしています。腸内細菌はいろんな種類がいた方が良いので、マンネリ化しないように、毎日違うものを与えるということを心がけています。
ユーミン:いきなり核心に触れた感じがします。
國澤:最近の研究ではお腹のなかにも味覚を感知するものがあるということがわかってきていて、もしかしたら我々は、舌で感じているだけじゃなく腸で味覚を感じて、「これ、美味しくて身体にええで」ということを感じながら“これを食べよう”と決めているのかもしれないという、そういう話まで、今、出てきています。
ユーミン:あらためて、今日のゲストをご紹介します。
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 医薬基盤研究所副所長 で、ヘルス・メディカル微生物研究センター センター長をつとめる薬学博士、國澤純先生です!
國澤:今日はよろしくお願いいたします。
ユーミン:よろしくお願いします。
今日のコードは、「「腸活」新常識!~國澤純先生に聴く腸内細菌と健康の深い関係~」。
・・・と、いうことで、さっそく、基本の「キ」から伺っていこうと思うんですが、腸は私たちの体内でどんな仕事をしているんでしょうか?
國澤:腸というと、消化管という言葉をよく使うんですけれども、要は食べ物を食べて、消化して吸収して、そしてうんちとして出す、という臓器です。大きく分けると小腸と大腸とあるんですけれども、基本的には小腸は食べたもの分解して吸収する。大腸は残ったところの栄養や水を吸収するということで、どちらかというと、小腸が大事だよね・・・と思われていたんですけれども、ただ最近では、ほとんどの腸内細菌がいるのが大腸なんですね。その腸内細菌が、実は我々の健康にとても影響しているので、小腸だけじゃなく大腸もとても大事だよね、というところで、注目されるようになってきています。
ユーミン:私たちが生きていく上でかなり大事な役割を果たしている腸ですけれど、腸内細菌の働きについても、ぜひ、詳しく教えてください!
國澤:元々、腸内細菌というのは、私たちが増やすことができる菌だけをみてきていたんですけれど、最近、いろんな全容がわかってきていて、まず、数の面でいうと、私たちの身体が大体30~35兆個の細胞でできているといわれていますが、腸内細菌は大体50~100兆個くらいいる。なので、我々の細胞の数より多い数の菌が、お腹のなかにいるということで、我々は「お腹のなかで腸内細菌を持っています」と言っているんですけれど、もしかしたら腸内細菌からすると、エサを運んでくれるところに我々は乗っかかっているという形になるかもしれないというくらい、非常に多くの数がいます。
ユーミン:原生動物みたいなものなんですか。
國澤:そうですね。生物学的には原核生物というんです。私たちの細胞っていろんな種類の細胞がいて、それが身体を構成しているんですが、腸内細菌も、ひとつの菌ができることは限られているんですけれど、いろいろ役割分担をする菌が集まって、あたかも集団としてひとつの生命体みたいな働きをしています。
なので、人間という生命体のお腹のなかに、もうひとつ、腸内フローラとか、腸内細菌叢(そう)といいますが、集団で生命体になっているようなものがいるということで、これが私たちの免疫だとか代謝だとか、最近はメンタルとかにも影響するというので、非常に健康に重要な働きをしているのではないかと注目されているところです。
ユーミン:たしかにお腹の調子が良いときは、気分も良いです。
さて、「腸脳相関」の最新研究ってどんなところまで進んでいるんですか。
國澤:まさに今、脳と腸が繋がっているというところなんです。みなさんは多分、明日大事な発表があるといって緊張するとお腹が痛くなる・・・という、脳の、メンタルの状態がすぐお腹にでるということは体感されていると思います。逆に最近、腸の状態が脳に影響するということで、ストレス軽減とか睡眠の質向上といった、いろいろな乳製品がでていると思うんですけれども、そういった形で腸を良くするとメンタルも良くなるということがわかってきました。
そこに、腸内細菌が大事な働きをしているということがわかってきていまして。例えば、幸せホルモンといわれているセロトニンというものがあるんですけれども、これは脳だけじゃなく腸でもたくさん作られています。腸で作られているセロトニンが脳に行くわけではないんですけれど、どうも腸の神経とかにはたらきかけて、その状態が脳に影響しているんじゃないか、ということで、まだまだメカニズムがしっかりわかっていないところはたくさんあるんですけれども、現象としては確実にあるよね、ということで、これからいろんなことがわかってくると、“このメンタルのときにはこれを食べたら良い!”とかできてくるんじゃないかと期待されているところです。
Serenade of Water / Men I Trust
ユーミン:聞くところによると、「脳がない生物はいても、腸のない生物がいない」・・・そうですか!
國澤:はい。腸の方が先にできてくるというかたちですので、非常に大事なんだと思います。
ユーミン:私も常々、人間は管だ、と思っているんですけれどね。
生命を司る中枢ともいえる腸を整えるのは、健康な生活を送る上で最優先ともいえます。そこで、腸内の環境を整えるために必要なことを、ぜひ、教えてください!
國澤:腸活というと、今まで「○○菌をとりましょう」みたいな感じでスーパースターな菌がいて、その菌ををとれば大丈夫、みたいな感じだったんですけれども、当然、そういった菌がいなくては困るんですけれど、いても働けないときがあります。要はサッカーとかと一緒ですよね。エースストライカーだけがいても点は入らない。アシストする選手もいますし、ディフェンスする選手もいるし、キーパーもいる、それで初めて成り立つということを考えたら、スーパースターの菌をサポートするような菌もいなきゃいけないということで。
ユーミン:それは、菌同士が知性のようなものがあって、連携するんですか。
國澤:知性までいくかわからないですけれども。
ユーミン:意識というか。
國澤:結局、エサの使い方になってきたときに、私たちが食べたものをそのまま使える菌もいますけれども、それが使えなくて、例えば最初の菌が分解してくれたものだったら使えます、となってくると、その最初の菌がいないとエサがないから死んじゃいます、みたいな感じで、エサをみんなでちょっとずつ分解しながら・・・「ここまで分解したら、次は俺がやるね」というようなかたちで、これを私は「菌のリレー」といっているんですけれど、食べたものをどんどんいくつかの菌で分解しながら、自分たちの栄養にしつつ、そして健康に良いものを我々にもたらしてくれるというかたちになっています。
結局、いろんな種類の菌を育てなきゃいけないんです。なので、私たちはいろんなものを食べて、いろんな種類の菌にエサをあげるということを考えなきゃいけないということで、最初に少しお話したんですけれど、なるべく毎日同じものを食べないで、いろんなものを食べていろんな菌を育てましょう、ということを心がけています。
それと、この研究領域自身も、良い菌はわかってきた、次はこの良い菌を上手に働かせるためには、どんな菌がいてどんな環境だったら良いの?というところに注目が集まっています。
ユーミン:あと、「腸もれ」という言葉を今日初めて聞いたんですけれど。
國澤:英語で言うと「リーキーガット」という言葉になっています。腸は食べ物の消化をするので、いろんなものが入ってきて通過します。それが私たちの身体のなかにちゃんと消化されて吸収されるべきものだけが入るようになっているんです。
そのために、腸の細胞はしっかり手をつないで変なものが入らないようにして、必要なものだけを取り込むようにしているんですけれども、腸の元気がなくなっちゃうと、しっかり握っている手がゆるくなっちゃう。そうするとちょっと消化しきれなかったものだとか、腸内細菌の破片みたいな小さいものが入ってくる。そうすると、腸って免疫の細胞がいっぱいますから、「何か変なものが入ってきた、でも、病原菌ほど変なものじゃないよね」と、なんだろうとワチャワチャするような状態になって、常にずっと動き続けなきゃいけなくなっちゃう。そうするとそこにエネルギーが使われちゃうので、「何かだるいよね」「疲れやすいよね」というような症状が出てきます。
あと、免疫がバックグラウンドとしてちょっと高めになっちゃっているので、例えば、本来は、そこに何か病気の原因が入ってきても、レベルが低かったら病気のレベルまで上がらないんですけれど、同じ状態になっても病気が発症しやすくなってしまうんです。
なので、万病のもとになっているし、普段の疲れやすさにも影響するので、「腸もれ」をいかに抑えるか・・・これも腸活のひとつの大事なポイントになってきています。
ユーミン:何か調子が悪いという人は、立ち返って考えてみてください。
あと、みんなリスナーが気になると思うんですけれど、「瘦せ菌」というのがあるそうで。
國澤:一時期、「瘦せ菌」と「デブ菌」という言葉がかなり注目されていました。これは非常に大きなインパクトを与える実験がありまして。やった実験は非常にシンプルなんですけれども、太った人と瘦せた人からうんちをもらってきて、これをそれぞれ腸内細菌を持っていないネズミに移植したらどうなるの?とやってみたら、結果はすごくインパクトが大きくて、太った人のうんちを移植すると、それだけでネズミがブクブク太っちゃった。
ユーミン:へ~!
國澤:なので、よく私たちが「太りやすい体質で」とか「何を食べても太れない」といいますが、これは両親からもらった遺伝子だと思っているんですけれど、一卵性の双子ちゃんを見てもらうとわかるように、生まれたときの外観は両親の遺伝子がものすごく大きいんですけれど、だんだん見た目や健康状態が変わってくるのは、そのひとつが実は腸内細菌だということで注目されるようになりました。
今のはデブ菌の話でしたけど、世の中のニーズは痩せ菌の方が非常に高いということで、実はヨーロッパでは、「アッカーマンシア菌」という菌をあまり太ってない人がたくさん持っていると。これをネズミに飲ませると太りにくくなってくるということで、既にサプリメントみたいな形で開発して良いですよと承認されていて、実用化されてきているくらいの段階になっています。
一方で、私たち日本人。世界的にみるとめちゃくちゃ肥満が少ない人種です。なので、私たちが日本人の腸内細菌を15000人くらい見ていて、さぞかしアッカーママンシア菌をたくさん持っているだろうと思ったら、持っている人はごくごく一部しかいない。アッカーマンシア菌以外に日本人特有の瘦せ菌がいるんじゃないかと調べると、「ブラウティア菌」というのが出てきました。この菌もネズミに飲ませると太りにくくなりました。普通の食事をしていても瘦せないんですけれど、例えばいっぱい脂の入ったエサを食べるとどんどん体重が増えるんですけれど、体重が増えるのだけを抑えてくれる、という非常に都合の良いかたち・・・飲んでも瘦せないんだけれど、たくさん食べても太らない、という、そういう菌が見つかってきています。
ユーミン:まだまだ、お聴きしたいことがたくさんあるんですけれど、残念ながら、今日はここまで・・・。
でも!来週もお越しいただけるということなので、専門家も実践する具体的な腸活法や、未来の腸活事情などについて、教えてください。
先生、来週もよろしくお願いします!ゲストは國澤純先生でした!
天までとどけ / 松任谷 由実
今日は、“「腸活」新常識!~腸内細菌と健康の深い関係~”というコードで、腸内細菌研究の第一人者、國澤純先生をお迎えしてお話を伺いました。
機能性の乳酸菌の話とか、乳酸菌だけじゃなくて本当にたくさんの腸内細菌が協力しあいながら私たちの健康を守ってるんだなというのを聞いて・・・あと、「腸もれ」についてもびっくりしました。初めて聞いたので。
國澤先生は来週もご登場くださいますので、お聴きのがしなく。
また、今日のお話をもう一度復習して、腸について学びたい!という方は、このあと1週間、radikoのタイムフリーで聴くことができますので、ぜひ、じっくりお楽しみください!
そして・・・『THE WORMHOLE TOUR』の第三期もスタートしています。みなさんにパワーをお届けできるよう、しっかり腸を整えつつ、ステージに立つ所存です!
さらに!来年のデビュー55周年を記念したスペシャル企画、「ユーミンと私のプレイリスト」も、ぜひ、チェックしてみてくださいね。
くわしくは、松任谷由実公式ホームページでご確認ください。
そのほか、私の最新情報や近況は、松任谷由実公式ホームページ、XやInstagram、TikTokなどでお知らせしています。
ぜひ、チェックしてみてくださいね。